中学の修学旅行。
みんなで大浴場に入った。
なぜかはわからない。
その当時、私は杉山君が妙に気になっていた。
杉山君は昨年、山奥の分校から転校してきた。
ただ単に田舎者の転校生ということで気になったのか。
それとも、杉山君が純朴で、小柄で、毛深くて、縄文人のように野性的だったから気になったのか。
いまとなっては思いだぜない。
軽い好奇心のつもりだった。
杉山君が風呂に入っている間に、私は杉山君の下着入れを覗いた。
編みかごの下着入れの中に、パンツが広げたまま脱ぎ捨てられていた。
特段パンツに関心はなかったが一目見てギッとした。
パンツのお尻のあたりにもっこりとうんこが付いていた。
もっこりである。
面ではなく立体のうんこである。
隆起したうんこである。
あり得ない大きさである。
漏らしたかどうかの問題はこの際どうでもいい。
それよりも、なぜこのような状態であけっぴろげにパンツを置けるのだろう。
私には到底理解できない謎だった。
やはり杉谷君は野人なんだと思った。
郵便局にレターパックを届けにいく。
ついでに切手をたくさん買う。
50円、100円、120円、140円、205円切手を10枚ずつ買う。
使い道の多い10円切手は20枚買う
家に帰って、30分ほど経ってのこと。
郵便局から電話がかかる。
さっき切手を売ったおばちゃんの声だった。
「誠に申し訳ありませんが10円切手を10枚しか渡してませんでした。
不足分の切手を郵送で送ってもよろしいでしょうか」
という、お詫びの電話だった。
まったく構いません、といって電話を切る。
それは問題なかったのだが、ほかの疑問が湧き上がる。
なぜ、おばちゃんは私の電話番号を知っているのだろう。
私の名前を知らないのに、どうやって電話番号を調べたのだろう。
不足分の切手を郵送で送るということは当然住所も知っていることになる。
私はあそこの郵便局では切手しか買ったことがない。
郵貯はオカンしかやらないし、郵貯はあそこの郵便局を利用していない。
もちろん私はおばちゃんと身元を話すほどの仲ではない。
では、いったいなぜ、おばちゃんは私を知っているのだろう。
もしや、これは個人情報漏えい。
あの郵便局が。
いや、侮るなかれ郵便局。
表の顔は、古くから地域に溶け込む親しみ深い郵便屋さん。
されどその実態は、年間売上高17.5兆円、総資産額292兆円を誇る企業なのだ。
資産額においてはあのトヨタも太刀打ちできない。
文字通り世界トップクラスの超巨大企業なのだ。
その情報網たるや!
!
いや、まて。
謎は解けた。
あのとき、私はおばちゃんにレターパックを手渡したのだった。
そこには私の所在が…
家には建築の専門書がいっぱいある。
調べものをするときにとても役に立つ。
でも、あまたある専門書の中から必要とする資料にたどり着くのは容易ではない。
本が多すぎて、探し出すのに多大な時間を要してしまう。
これと同じ理屈が脳でも起きる。
人は老いると物の名前が出にくくなる。
これを「ボケた」ととらえがちだがそうではない。
脳内のストックが増大しすぎて検索に手こずっているだけのこと。
若者のように情報微少なスカスカの脳みそならこんな弊害は起きないのである。
一本目。
安倍総理と会食に行った。
バイキング形式だった。
人が多すぎて料理を取るのに苦労する。
結局とれたのはご飯と唐揚げ一個だけ。
なぜか総理の皿にはいっぱい料理が盛られていた。
要領がいいのだろう。
私は頭にきたので大声で、
「料理がないぞ!」
と、叫ぶ。
一瞬、会場がシーンと静まり返る。
気まずい雰囲気がしばらく続した。
あきらめて、ご飯と唐揚げ一個を食べる。
会場を出る際に厨房の中を覗く。
橋下さんが皿洗いをしている。
なぜかスーツ姿である。
「スーツで皿洗いですか」
と、話しかけると、
「皿洗いも公務ですからね」
と、強い返事が返ってきた。
もう辞めたくせして。
二本目。
家に帰るとリビングに藤井フミヤがいた。
うちのリビングの中を勝手にいじくっていた。
壁の一面にフミヤ自慢の大きなスピーカーが4台並んでいた。
私のオーディオは部屋の片隅に追いやられていた。
フミヤが自慢げに自分のスピーカーを鳴らしてみせる。
ドォーーーン。
と、大きな音が響き渡る。
たしかに迫力はある。
だが、ぜんぜん音はよくない。
鳴っているだけの音楽である。
私は不満げに自分のスピーカーを元の状態に動かす。
動かしながら、フミヤに聞く。
「このスピーカーいくらとしたと思う」
フミヤが答える。
「15万」
こりゃまたずいぶん安く見られたもんだ。
~~~
12月19日の夢より
今朝10時50分。
ベットの中。
眠くて起きれない。
寒くて起きれない。
ここ一か月無休で働いた。
とくに今月は土曜、日曜含めて一日平均12時間以上働いている。
そろそろ限界だ。
今日は昼まで寝よう。
今朝は珍しくなにもない。
ここんとこ朝の検査が続いた。
今日は検査はない。
思う存分に・・・!
ん?
ん?
あれ?
あっ!
たしか。
なにーーーーー!!!
今日も検査だった。
K邸の完了検査。
たしか10時半。
慌てて1階に降りる。
携帯を見る。
10時45分に着信あり。
現場担当者からの着信。
すぐさま電話をかける。
「すみませーーーん。風邪ひいていけませんでした」
それしかいえない。
検査はすでに終わっていた。
幸い指摘箇所なし。
検査官は現場でまだ私を待っているらしい。
「すみませーーーん」
それしかいいようがない。
苦しそうにすこししゃがれ声で、
「すみませーーーん」
佐野常民公。
日本赤十字社の創始者。
いま、佐野常民公の小説『火城』を読み始めたところ。
まずは顔を知っとこうと思い、画像を検索してみる。
あった。
この時代の佐野常民公は岡村によう似とる。
12月16日。
寒さが身に染みる小雨混じりの昼下がり。
自販機で温かい缶コーヒーを買う。
小銭がないので千円札を自販機に入れる。
「ジョジア至福の微糖」のボタンを押す。
おつりがジャラジャラと音を立てて出てくる。
間髪入れず、ガタゴトッと音を立てて缶コーヒーが出てくる。
ここで、選択肢がふたつある。
缶コーヒーを先に取るか。
おつりを先に取るか。
人はそのいずれかを選択しないといけない。
缶コーヒーを先に取る人は、まれにおつりを取り忘れてしまう。
おつりを先に取る人は、まれに缶コーヒーを取り忘れてしまう。
警察署で印紙が買える。
今日も買った。
車で大通りを右折して警察署に入ろうとする。
対向車がわざわざ止まって道を譲ってくれる。
なんか刑事になったようで誇らしい。
おそらく、道を譲った人も私を刑事と思っているのだろう。
ちょっとドヤ顔でハンドルを切る。