rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

コレステロールの管理は贅沢医療のように思う

2010-06-22 19:13:41 | 医療
専門医に聞く、LDLコレステロール管理(上)(医療介護CBニュース) - goo ニュース
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西洋医学では急性疾患は治るけれども慢性疾患は治らないので、慢性疾患の治療の目標は急性疾患を予防する「予防医学」の方にシフトしてきている、という話しを現代医療の問題点の整理の項で指摘しました。

コレステロール値を管理することで将来の動脈硬化を抑制し、心血管イベント(心筋梗塞や脳梗塞など)を防ぐ効果があるというのは真実です。しかしコレステロール値が高いこと自体が心血管イベントの直接のトリガーになる訳ではないことも確かです。動脈硬化状態が完成してしまった患者さん(例えば透析患者さん)、或いは70台後半以上の高齢者の見かけのコレステロール値を下げることで心血管イベントが確実になくなるか、と言えば「NO!」です。透析患者さんの脂質管理については外国で大規模前向き試験が行われてはっきりとコレステロールを下げることに意味がないという結果が出ています。脂質代謝などを専門にしている医師達はこの結果を「実に残念!」と表現していました。また「もっと症例を増やして長期で見れば有意差が出るのでは」という意見もありました。

これ、コレステロールでメシを食っている医師達にとって「自分たちが推奨していることに医学的価値を何とか見つけたい」という「あがき」なんですね。製薬業界にとってはコレステロール管理で薬が売れることは半永久的に儲けが出る(なんせ予防ですから死ぬまで薬が売れる事になります)おいしい病気(正しくは病態)ということですし、コレステロール値の正常値をいじることで(大抵は基準を下げて厳しくする事で患者は増えます)病気の人間を作り出せるというのは、本人は何の症状もないのに検査データだけで病人を作れるという「ありがたい」診断基準ということになります。後は厚労省に働き掛けてせっせと健康診断を受けさせれば良いのです。

糖尿病学会では今回糖尿病の診断基準をヘモグロビンA1cの値のみで「糖尿病」と診断して良い、という新しい基準を採用して患者を増やす決定がなされました。スポットの空腹時血糖値や負荷試験を飛ばしてA1cだけで病気と診断されてしまう訳です。

私は外科医で毎日緊張の連続でリスクの高い医療を行なっているので、予防医学に専念していてあまりリスクを負わない医療しかしない医師達にはシビアな目を向けざるを得ないですね。一方で開業医さんでも日々救急医療や小児医療、総合病院循環器のインターベンションのような直接命に係わる医療を行なっている医師達を高く評価しています。本来の医師とはかくあるべきです。

また国民皆保険による保険医療のカバーする範囲は急性期医療、あとせいぜい高血圧や明らかな糖尿病治療に止めるべきではないかと最近思います。1000人を対象に2-3年内服させることで心筋梗塞が20人が10人に減るとか、骨折が30人が20人に減る程度の医療はサプリメントと同じですから自費診療にすべきでしょう。

ソープランドには自費で行くのに何で罹った性病は全国民が負担している保険で治すのか、とかねがね疑問に思っているのですが、美味しいものは自腹で飲み食いしているのですから、その結果おこった高コレステロール血症を治すのも自費で良いではないかと私は思います。医療費が無尽蔵に使える金持ち国家ならば何でも保険扱いで良いでしょうが、税金を上げる議論がなされている今日、医療の保険カバーをどこまでするか、贅沢医療は自費でも良いではないか、という議論が起こってもよいと思いますね。
コメント
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