フェロモンも身を縮める細さのスーツ姿にマフラーだけ巻いて歩く先生が「僕は転んでもただでは起きないってよく言われるんだよ」と言うときは大抵自著の宣伝だったらしい。今になってそう思われるということだが。渡辺先生が渡辺淳一と水上勉を足して3.5で割ったような面立ちで「ここの卒業生は、賢さはないが素直でいいって企業では喜ばれるんだ」と言うのを何度聞いたことか。洗脳か。ご自身も卒業生だったりする。
中嶋さんは本当に転んでもただでは起きない。
それにしてもあんまり転びすぎだ。
否、この際いくら転んでもいいからせめて釣り銭ぐらいは余計に拾ってこい。
中嶋さんと飯田橋で待ち合わせて六義園のしだれライトアップを見に行った。
気が済んだ。
ら、中嶋さんがカラオケできる時間ね、と言う。
「大阪で生まれた女」が歌えてうれしかった。前回歌えなかったところをツクッたからだ。新しい歌を覚える気が現在ゼンゼンのきっぱり、ない。私は十代のころ演歌も森山良子も好きではなかったがいろいろトライした。
昔は歌の寿命が長かったから好きでなくても生まれる前の歌でも結構歌えると思い込んでいて実際に歌えることもあるし中嶋さんと歌うと覚え違いが多いことも知る。嫌いだった歌で泣けた「愛する人にうたわせないで」