マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

ブッシュ

2009年05月03日 | 映画
 角川映画宣伝部からいただいたプレスに「ブッシュ妄言録」という面白いページがある。

①01年7月19日ロンドンでブッシュ大統領は子供たちから「ホワイトハウスはどんなところ?」という質問を受けた。

その答えが、

「君、そんなことも知らないの?大丈夫?『白いよ』」

②00年4月23日、U.S.News and Wold Reportでは

「私のことを大統領として知能が足りないと言っている人たちは、その事実をまだまだ甘く見ている」

③01年11月13日、ロシアのプーチン大統領を迎えてのスピーチでは

「隠れ家に一緒にいてほしいタイプです」


 日本の総理大臣や閣僚の失言もバカ丸出しだが、ブッシュ元大統領はケタ外れに大バカだったと証明してくれる。イラクに大量破壊兵器がなかったにも関わらず、巨額の軍事費用を使ってアメリカ兵を派遣し続けていた。そして、罪もないイラクの市民たちのたくさんの貴重な命を奪っていたのだ。もちろん、派遣された若いアメリカ兵だって犠牲者だ。

 そのつけで、ブッシュ前大統領は更迭されたようなものだが、こんなブッシュを映画にしてしまうアメリカはある意味で偉大な国だと思う。やる時は徹底的にやるからだ。

 監督がオリバー・ストーン。この人しか撮れない映画である。歴代の大統領を映画化した『JFK』『ニクソン』に続き3作目。この中では『ブッシュ』が一番面白かった。というのも、他の2作品とは全く違った切り口で、皮肉とユーモアを存分に使いこなし、ブッシュ大統領を茶化しまくっているからだ。

 ブッシュにとって、レーガン大統領時代に副大統領を務めた父上がどんなに大きな存在だったかも詳細に描いている。この父上の存在がプレッシャーでブッシュ大統領は己を知らないおバカになってしまったのかもしれない。そう考えると、ちょっとブッシュ大統領がかわいそうに思えないでもない。

 アメリカ歴代大統領でワーストワンに輝いたブッシュ前大統領が大失態をしてくれたおかげで、黒人初のオバマアメリカ大統領を誕生させてくれたのも、皮肉と言えば皮肉な話である。
 

 ブッシュ大統領を演じるジョシュ・ブローリンは本当にブッシュにそっくり。ライス大統領補佐官演じるタンディ・ニュートンの日和見主義人間もめちゃくちゃ面白い。政治的映画というよりも、大爆笑の喜劇映画としても大成功している。


5月16日から公開


ブッシュ公式サイト
監督: オリヴァー・ストーン
キャスト
ジョシュ・ブローリン
リチャード・ドレイファス
スコット・グレン
ジェフリー・ライト
タンディ・ニュートン