
静嘉堂文庫美術館

曜変・油滴天目-茶道具名品展-
期間:1月22日(火)~3月24日(日)

曜変天目茶碗
国宝。大名物。稲葉天目と呼ばれる。黒い碗の内側に大小の斑紋が浮かびその回りを七色の光彩が取り巻く。小さな茶碗の中に小宇宙が存在する。日本に、いや世界に三碗しか存在しない稀有な作品。
徳川家光から春日局に与えられ、孫の稲葉正則に渡った事から以降は淀藩稲葉家に伝来した。
油滴天目茶碗
朝顔形の大振りの茶碗に銀色の油滴斑が無数に浮かぶ。曜変天目とは違い碗の内外に斑紋が有り、しかも大振りなことからこちらの方が豪華に見える。
唐物茄子茶入 付藻茄子
大名物。乱世の梟雄・松永弾正久秀がこの茄子茶入を織田信長に献上し死を免れた逸話は有名。また珠光が九十九貫で購入したとか、婆娑羅大名・佐々木道誉が足利義満に献上した等の伝説をもつ。大坂夏の陣で罹災したが徳川家康の命で探し出され塗師の藤重藤元・藤巌父子によって修復、その出来栄を絶賛した家康はこの茶入を藤重藤元に与えた。
伝来は足利義満-義政、山名礼部・越前の朝倉宗滴・松永久秀・信長・秀吉・有馬法印(則頼)・豊臣秀頼・家康と天下人に渡っている。
唐物茄子茶入 利休物相
銘は形が飯を盛る器「物相」に似ている事から。また「木葉猿」とも呼ばれる。利休所持でその後柳営御物となった。徳川家光より伊達政宗に与えられ以降、仙台伊達家に伝来した。
唐物瓢箪茶入 稲葉瓢箪
細かな斑紋や抜け模様など変化に富んだ茶入。天下六瓢箪のひとつで春日局の孫である稲葉美濃守正則が所持した事から稲葉瓢箪の銘をもつ。
黒楽茶碗 銘 紙屋黒 長次郎作
口径広く低めの形の黒楽茶碗。博多の商人・神屋宗湛が所持したことから「紙屋」黒と呼ばれる。文禄の役の際に博多に立ち寄った豊臣秀吉を宗湛はこの茶碗で持て成したとされる。長次郎の茶碗としては動きの多い作りとなっています。
竹二重切花入 古田織部作
後方に湾曲した形が織部らしい花入。底の節部分が突き出しているため、置くには不安定なため掛花入として作られた。
竹一重切花入 銘 老婆 江月宗玩作
佐久間将監より贈られた竹から防寒具の脚婆と共に作った花入。やや大振りで素直な作。
江月宗玩は堺の商人で茶人としても有名な津田宗及の子。臨済宗の僧で大徳寺156世住持。小堀遠州や松花堂昭乗等と親交があった。
住吉釜
芦屋で造られた釜で住吉神社の景色をあらわしている。住吉屋宗無や伊丹屋宗不が所持した。
共筒茶杓 銘 両樋 千利休作
節上だけでなく節の下にも樋のような窪みがあるところから「両樋」と付けられた。
共筒茶杓 銘 かりがね 細川三斎作
非常に薄作りな茶杓。共筒には「可りか年 三」と記されている。
共筒茶杓 銘 半身 千宗旦作
ゆるめの櫂先で直腰。筒には「半身 不審」と記されている。
猿曳棚 地袋板絵 伝狩野元信筆
元は武野紹鴎が所持していた袋棚。伊達政宗に茶頭として仕える事になった弟子の清水道閑に師の古田織部が贈ったとされる。
圧巻の展示品。それを一挙に観れる事はありがたかったです(善・後期で入れ替えはありましたが)。