地主が「期間満了により契約の終了を請求する」ことの可否に関して考えてみます。借地期間の満了にともない、地主から「契約終了」の申し出があり、借地人がその申し出に応じれば借地契約は終了します。しかしながら、借地権の存続期間が満了した時点で借地上に建物が存在するときで、借地人が契約の更新を希望する場合において、地主が期間満了で借地契約を終了させるときには「正当な事由」が必要とされます(借地借家法第5条、第6条)。この場合の正当事由としては、借地借家法第6条において「地主と借地人のどちらがその土地を必要とするか」のほか、「借地権に係る従前の経緯」「明渡しの対価の支払い」等を挙げていますが、判例等から考えると、正当事由は「地主と借地人のどちらがその土地を必要とするか」であり、他の要素は正当事由を補完する要素と考えられていることに注意が必要です。すなわち、借地人がどうしてもその建物を必要とするために借地契約の更新を希望するようなときには、地主の側が莫大な立退料(明渡しの対価)を支払うことを主張したとしても、正当事由をめぐる訴訟となったときは、必ずしも地主の側の正当事由が認められるわけではないと考えるべきです。なお、借地人の側が借地権の更新の請求をするときには、期間満了時に建物が存在することが基本となります。たとえば、借地人が借地上に居宅を所有していたものの、その後借地上の建物が必要でなくなったので建物を解体して青空駐車場として利用しているようなケースは、建物所有目的とはいえなくなります。このような場合に、期間満了時に地主が明渡しを求めたときは、借地人は借地借家法の適用を受けることができなくなるおそれがあることに注意が必要です。
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