「瑕疵」という言葉の廃止
売買の目的物のキズを表す用語として、「瑕疵」という言葉が廃止され、買主が救済を求める為に、キズが「隠れた」ものである必要がなくなります。民法には、引き渡された目的物にキズがあったとき、買主が売主に対してどのような請求をなしうるのか、ルールが定められます。以前の民法は、目的物のキズを「瑕疵」という言葉で表し、瑕疵が隠れたもの(隠れた要件。買主が善意で、かつ知らないことに無過失)であったことを条件として、買主が、売主に対して、瑕疵担保責任を追及できるものとしています。新民法は、「瑕疵」という言葉を廃止し、目的物のキズを「種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない」(以下、「契約不適合」という)と表現しました。また、瑕疵担保責任を追及するため必要とされていた「隠れた要件」を不要としました。買主が目的物のキズを知っていても、あるいは知らないことに過失があったとしても、契約不適合の責任は否定されません。買主が目的物のキズを知っていたことや、知らないことに対する過失は、契約内容を確定する過程において判断材料とされ、加えて、過失相殺の有無において考慮されることになります。なお、改正によって、契約書の重要性が高まるのではないかという議論もあります。しかし、これまでも契約書は重視されていたのであり、また新民法のもとでも契約内容が契約書に記載される事項に限られるわけではなく、契約書の重要性については、改正の前後で変わることはありません。ただ、新民法のもとでは、売主の責任は直接の契約に基づくことになります。その意味でいえば、契約書の重要性に変わるところはないけれども、契約内容の重要性は高まるものということができるでしょう。
売買の目的物のキズを表す用語として、「瑕疵」という言葉が廃止され、買主が救済を求める為に、キズが「隠れた」ものである必要がなくなります。民法には、引き渡された目的物にキズがあったとき、買主が売主に対してどのような請求をなしうるのか、ルールが定められます。以前の民法は、目的物のキズを「瑕疵」という言葉で表し、瑕疵が隠れたもの(隠れた要件。買主が善意で、かつ知らないことに無過失)であったことを条件として、買主が、売主に対して、瑕疵担保責任を追及できるものとしています。新民法は、「瑕疵」という言葉を廃止し、目的物のキズを「種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない」(以下、「契約不適合」という)と表現しました。また、瑕疵担保責任を追及するため必要とされていた「隠れた要件」を不要としました。買主が目的物のキズを知っていても、あるいは知らないことに過失があったとしても、契約不適合の責任は否定されません。買主が目的物のキズを知っていたことや、知らないことに対する過失は、契約内容を確定する過程において判断材料とされ、加えて、過失相殺の有無において考慮されることになります。なお、改正によって、契約書の重要性が高まるのではないかという議論もあります。しかし、これまでも契約書は重視されていたのであり、また新民法のもとでも契約内容が契約書に記載される事項に限られるわけではなく、契約書の重要性については、改正の前後で変わることはありません。ただ、新民法のもとでは、売主の責任は直接の契約に基づくことになります。その意味でいえば、契約書の重要性に変わるところはないけれども、契約内容の重要性は高まるものということができるでしょう。