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「金利ある世界」トレーダー獲得へ号砲 年収20億円もアリ 変わる 債券村㊤

2024-12-02 15:46:21 | 世界経済と金融


ヘッジファンドや外資系金融機関は即戦力のトレーダー獲得、国内金融機関は育成に力
(岡三証券のトレーディングルーム)

 

日銀が3月に17年ぶりの利上げに踏み切り「金利ある世界」が戻りつつある。金融機関やヘッジファンドの間では優秀なトレーダーの獲得競争が始まった。

トップ級になれば年収は数十億円とされる世界だ。低金利時代に縮小が続いてきたJGB(日本国債)などの取引を担う「債券村」に変化が訪れている。

 

「人材は不足しており、取り合いだ。結果が出ずに解雇されてもすぐに声がかかる」。

人材会社モーガン・マッキンリーの熊沢義喜ディレクターは、国債などの債券や親和性が高い金利スワップといったトレーダーの人材市場をこう評する。

 

債券や金利スワップのトレーダー人材市場が盛り上がっている(大手投資銀行による求人情報を映したパソコン画面)

 

目立つのは外資系金融機関から海外ヘッジファンドなど運用会社への移籍だ。

この2年ほどでも、モルガン・スタンレーMUFG証券から債券運用大手ピムコへ、三菱UFJモルガン・スタンレー証券からシンガポールのヘッジファンド、ダイモン・アジア・キャピタルへの移籍などの事例があったという。

 

ピムコへの移籍は同社のウェブサイトで確認でき、ダイモンやモルガン・スタンレーMUFG証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は「ノーコメント」と回答した。

 

 

ヘッジファンドでは自らが生み出した利益に対する取り分が20%に及ぶこともあるとされる。

仮に年間100億円の収益を稼いだ場合、20億円を報酬として受け取れる計算だ。熊沢氏は「ヘッジファンドは柔軟に報酬を払える。20億円以上稼ぐ人もごろごろいる世界だ」と話す。

 

外資系金融機関のトレーダーが所属するマーケット部門は顧客に運用をアドバイスするセールス担当などもいて、小所帯が多いヘッジファンドより人員が多い。

外資系金融機関のトレーダーの収益に対する取り分は数%とされ、一流のトレーダーともなれば数億円を稼ぐことも夢ではないが、ヘッジファンドのトレーダーと比べれば報酬は少ないのが一般的だ。

 

対して国内金融機関の報酬は総じて見劣りし、外資系金融機関やヘッジファンドへのトレーダー人材の供給源となっているという。

人材の獲得競争が活発化したのは2023年から。日銀は22年12月に当時採用していた長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)で、操作目標である長期金利の許容変動幅を上下0.5%(従来の2倍)に拡大すると決めた。

 

世界的なインフレを背景に長期金利に上昇圧力が働くなかで「事実上の利上げ」となり、その後に金利が動く場面が多く見られるようになった。

その後も日銀は24年3月に16年からのマイナス金利政策を解除し、07年以来の利上げを決めた。7月には追加利上げに動いた。こうした経緯から金利の変動が大きくなっている。

 

 

 

長期金利の指標となる新発10年物国債利回りの前日比の変動幅の平均を計算すると、24年はこれまでで2ベーシスポイント(bp、1bpは0.01%)程度だ。

金利を強力に抑え込むマイナス金利政策やYCCが導入された16年以降で最も低かった17年と比べ、変動幅は3倍に拡大している。金利水準が変わっているため単純比較はしづらいが、金利が動きやすくなっていることが分かる。

 

変動幅の拡大は国内外の大手金融機関を中心とした債券村にとって久々に訪れた市場での大きな収益機会だ。

そこに海外勢が目を付け、その資金の受け手となりやすい外資系金融機関やヘッジファンド自身が存在感を高める新たな構図がある。

 

外資系金融機関やヘッジファンドが優秀な人材の引き抜きを狙う中で、国内金融機関も手をこまねいているわけではない。もとより報酬面で見劣りする国内金融機関は新入社員を含めた若手の育成で人材確保に努めてきた。

人材市場にトレーダー経験者はそう多くないという状況もある。岡三証券の後藤田晋専務執行役員は「育てるのに時間はかかるが、内部でいかに育成するかが重要」と力説する。

 

社内公募をかけ、23年10月に支店で機関投資家向けの営業をしていた社員をトレード部門に引き抜いた。

「足元の金利上昇についてどう考えるか」というテーマで論文の作成を求め、部長が面談。異動後はベテラントレーダーのもとで経験を積んでいる。チームの要も20年夏に個人向け営業から引き抜いた人材だ。

 

外部人材の採用にあたり、新たな報酬制度も導入した。業績に連動して上限を定めずに報酬を支払う。

後藤田氏は「報酬で報いることで外部への人材流出リスクを下げたい」とし、プロパー社員に対しても同様の制度を導入したい考えだ。

 

債券市場では、日銀が次回12月かその次の25年1月の金融政策決定会合で追加利上げに動くとの観測が強まっている。ますます金利動向に動きが出る見込みで、債券市場は一段と熱を帯びそうだ。

 

 

国内勢、部門統合・リスク許容増で商機探る動きも

国内金融機関では債券などの部門統合やトレーダーが取れるリスク許容量の拡大で攻勢に出る例もある。

みずほ証券はJGB(日本国債)を扱うチームと金利スワップを扱うチームを統合し、これまで金利スワップのみを手がけていたトレーダーも国債を取り扱えるようにした。
 
 
トレーダーが取れるリスクの上限も拡大し、幅広い銘柄の国債を在庫として抱えられるようにした。国債、金利スワップともに大口取引に応じられる体制を整えた。

橘川貴士金融市場部長は「以前は国債入札で在庫を多く抱えても消化できる確信が持てない局面もあった。結果的にリスクを取るのを抑えすぎてしまうことも多かった」と振り返る。
 
 

営業面では海外投資家への接触を増やし、顧客の幅を広げる。橘川部長は「JGBは一丁目一番地。欧州の営業拠点でもJGBの優先順位を高めている」と話す。

もっとも、国内金融機関がこぞって取引拡充に動いているわけではない。地銀の間では、金利上昇が見込まれる中、貸し出しの利ざや収入で十分稼げるという見立てがあるためだ。
 
 
地域金融機関向けの運用助言を手がける和キャピタルの伊藤彰一専務は「金利上昇についていける地銀、そうでない地銀で二極化している」と話す。
 
 
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ビットコインETF保有、1200社超に拡大 米年金など

2024-11-30 17:51:15 | 世界経済と金融

暗号資産(仮想通貨)ビットコインを組み入れた米上場投資信託(ETF)を保有する機関投資家の裾野が広がっている。

日本経済新聞の調べでは、3月末比で2割増え、1200社を超えた。公的年金など長期保有を前提にする投資家が金(ゴールド)と同様にインフレ耐性の資産として投資する動きが増えている。

 

情報サイトの米コインマーケットキャップによれば、11月30日午後3時(日本時間)のビットコイン価格は9万7000ドル前後で、24時間前比で約1%上昇した。11月は連日で最高値を更新しており、この1週間は10万ドルを試す展開が続く。

 

 

 

昨年末比での上昇率は2倍超と、2割高の世界株(MSCI、現地通貨建て)や3割高の金を上回る。ビットコインを含む仮想通貨市場全体の時価総額は、約3.3兆ドル(約500兆円)と、米マイクロソフトアップルエヌビディアなど米巨大テック企業に並ぶ。

背景にあるのは米国の仮想通貨への規制が強化から緩和に転換するとの見方だ。

 

米証券取引委員会(SEC)は11月21日、バイデン大統領が任命したゲンスラー委員長の退任を発表した。ゲンスラー氏は仮想通貨規制派の筆頭で、トランプ米次期大統領が解任を公言してきた経緯がある。

投資マネーの受け皿になっているのが、SECが1月に承認したビットコインの現物に投資するETFだ。足元の運用資産の合計は約1000億ドル(約15兆円)に達した。

 

日経新聞が11月中旬までに米国の機関投資家がSECに届け出た報告書(フォーム13F)をQUICK・ファクトセットのデータを基に集計したところ、9月末時点のビットコイン現物ETFの保有が判明した機関投資家は1224社で、3月末比で2割増えた。

 

 

英キャプラ・インベストメント・マネジメントなどのヘッジファンドに加え、長期運用を基本とする米国の年金基金もビットコインETFに資金を振り向けている。

公的年金などを管理するウィスコンシン州投資委員会が継続保有しているほか、ミシガン州退職年金制度が新たに690万ドル保有したことも分かった。

 

米投資銀行ゴールドマン・サックスも新たに「保有者」に加わった。

同社は自己勘定ではなく顧客資産勘定でビットコインETFを管理する。富裕層からの保有ニーズに対応している。

 

 

 

機関投資家をビットコイン投資に向かわせるのは、トランプ氏が仮想通貨業界の振興に取り組むとの期待に加え、関税の引き上げや減税の恒久化といった政策がインフレ圧力を強めるとの見方だ。

長期目線の富裕層や年金基金はインフレで保有する現金の価値が低下することを警戒する。インフレによる購買力低下を回避する手段として金(ゴールド)を保有資産に組み入れる、といったことが広く行われてきた。

 

ビットコインは発行総量に上限があり、埋蔵量が限られる金になぞらえる向きがある。無国籍で特定の発行体による信用リスクがないことも一部の長期投資家がインフレ耐性のある価値保存の手段として、ビットコインに注目する理由だ。

ビットコインETFを提供する世界最大の運用会社、米ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者は「ビットコインはデジタルゴールドだ」と述べている。

 

金はETFを通じて市場を成長させてきた。04年にステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズが手掛ける金ETFがニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場すると、金売買が活発化し、ドル建て価格は約6倍に膨らんだ。

ビットコインを金や他の伝統的資産と同列に扱うことには異論も多い。

 

野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「株式や商品と同列とは思わない」と指摘する。犯罪に利用されやすいことや、ハッキングのリスクを挙げ、価値保存の手段として適さないとの立場だ。

京都大学の川北英隆名誉教授も「ビットコインの採掘に多大なエネルギーを要するためESG(環境・社会・企業統治)の精神に反する」と指摘し、年金基金は投資すべきではないと主張する。

 

 

懐疑派の代表格、著名投資家ウォーレン・バフェット氏は「目に見える価値を生み出さない」と指摘する。企業が稼ぐ利益や配当などが裏付けとなる株式と違い、需給で動く要素が強いからだ。

金は宝飾品や通貨として人類の歴史と共に歩んできた。インフレ回避の手段として機能してきた長年の実績もある。

 

ビットコインは誕生からまだ15年で、長期投資の要件を満たしているかどうか判断するのはまだ早い。ただ一部の富裕層や年金が先駆者として動き始めたことは確かだ。

(河井優香、高山智也、篠崎健太)

 

 

 
 
 
 

 

 

日経記事2024.11.30より引用


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(関連情報)

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ビットコイン最高値圏、コール買いが拍車 米規制焦点に

2024-11-28 20:48:05 | 世界経済と金融


代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコイン価格が最高値圏にある。米トランプ次期政権への仮想通貨を巡る政策期待が相場上昇の引き金となった。

急騰に拍車をかけたのがオプション市場のコール(買う権利)取引だ。一段高を見込む投資家の買い需要が膨らむ一方、コールの売り手が損失回避のため現物コインの買いを迫られ相場を押し上げている。

 

ビットコインは28日の東京時間午後3時時点で1ビットコイン(BTC)=9万5000ドル台となった。22日には一時9万9000ドル台後半と節目の10万ドルに迫った。

足元は利益確定売りに押されつつも、なお2023年末比2倍の最高値圏にある。

 

 

資金流入の背景にあるのは、親仮想通貨の姿勢のトランプ次期政権下で業界への規制緩和が進むことへの期待感だ。

21日には米証券取引委員会(SEC)のゲンスラー委員長が、次期政権が発足する25年1月に退任すると表明した。

 

SECはこれまで、投資家保護を掲げ仮想通貨の事業者に強硬な姿勢をとってきたが、トランプ氏の意向を受けて軌道修正を迫られた形といえる。

ビットコインのオプション市場では、投資家の強気心理が色濃く映る。データ分析サイトのコイングラスによると、世界の主要なオプション取引所の総建玉(未決済残高)は22日に460億ドルと、米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)などで取引が始まった20年以降でみて最高水準まで積み上がった。

 

オプション市場では、将来の特定時点に特定の価格(行使価格)で原資産を買う権利(コール)や売る権利(プット)を取引する。

未決済残高に占めるコールの比率は28日時点で6割強とコールに偏った分布だ。仮想通貨交換業者ビットバンクの長谷川友哉マーケット・アナリストは「上昇相場に乗ろうとする個人投資家の投機的な買い」 とみる。

 

 

仮想通貨のオプション取引所大手デリビットでは、10万ドル以上の価格帯のコールに需要が集まる傾向が顕著だ。

27日時点の建玉をみると、最も多いのが行使価格10万ドルのコール、次いで12万ドルのコールだった。

 

投資家のコール買いが急増する裏側では、コールの売り手である流動性供給業者(マーケットメーカー)による損失回避のための現物買いも増える。

例えば、相場価格が1BTC=8万ドル台の時に、将来の上昇を見込んだ投資家が権利行使価格10万ドルのコールを買ったとする。その後、現物コインの価格が上昇し10万ドル台に近づいてくると、マーケットメーカーは現物コインを買い建てて投資家への売却に備える。この動きが上昇相場を加速させる。

 

 

ブラックロック運用のビットコイン現物ETF(上場投資信託)「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)」への資金流入も、マーケットメーカーによる買いを示唆する。

米国に上場する11本の現物ETFの日次フローをみると、26日は高値圏での利益確定売りで資金流出した銘柄が多かった一方、IBITには約2億ドルの純流入が続いた。

 

IBITは19日に、他のETF銘柄に先駆けて米ナスダック市場でのオプション取引が始まった。

米ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリストによると、取引初日の売買は想定元本ベースで約19億ドル。そのうちの8割強をコールが占めたという。

 

仮想通貨アナリストの西山祥史氏は「IBITのコールの買いが膨らむ中、マーケットメーカーがコールの売りと合わせてIBITそのものを買っている」とみる。

一方、市場では急上昇を警戒する声も多い。マーケットメーカーが足元で現物コインや現物ETFの買いを迫られているのは、コールの権利行使価格が近いためだ。

 

投資家の期待ほど相場が上がらずに行使価格帯から遠ざかれば、「マーケットメーカーが買っていた現物コインやETFを手放す可能性もある」(西山氏)。

高値圏では投資家の利益確定売りも出やすい。調査会社グラスノードによると、ブロックチェーン上(オンチェーン)の投資家の実現利益額は、11月下旬に日次で約40億ドルまで膨らむ場面があった。

 

売り圧力をこなすだけのコール買いが続くかどうか。トランプ次期政権による仮想通貨の位置づけ、規制緩和の進め方などを見極める必要がある。

(河井優香)

 

 

 
 
 

バフェット氏、22年ぶり「債券投資家」に 米国株への警鐘

2024-11-23 14:33:39 | 世界経済と金融


著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイが22年ぶりに「債券投資家」になった。

運用リスク抑制に動くバフェット氏の姿勢は、米国債利回りに比べて異例の割高さを示す米国株相場に対する警鐘と受け止められている。

 

「良い球しか振らない」

毎四半期、バフェット氏の投資手法を垣間見ようとバフェット・ウオッチャーたちは米証券取引委員会(SEC)のウェブサイトにアクセスする。

米国の大手機関投資家が提出する報告書「フォーム13F」は四半期末の保有銘柄を一覧にする。

 

バークシャーが14日に開示した2024年9月末の保有リストで目を引いたのは米ピザ宅配大手ドミノ・ピザ株、5億4900万ドル(約850億円)相当の新規取得だった。

バークシャーが傘下に抱えるファストフード大手デイリークイーンの知見が投資判断に影響した可能性がある。

 

だが話題を呼んだ新規投資案件も、主要株の保有圧縮の前ではかすむ。バフェット氏がかつて「宝」と評したアップル株は保有株式数を3カ月間で25%減らし、4四半期連続の売却となった。米銀大手バンク・オブ・アメリカ株など金融株の圧縮も目立った。

キャッシュの山は積み上がっている。広義の手元資金は9月末に前年同期比倍増して3252億ドルとなった。総資産の3割近くを占め、円換算では約50兆円だ。

 

 

 

 

手元資金のほとんどは換金性の高い短期債の一種、米財務省短期証券(Tビル)だ。Tビル以外の債券投資も合わせると、バークシャーが保有する債券投資額は9月時点で3040億ドルに及び、株式投資額2716億ドルを上回った。

形式上、バークシャーは債券を主な投資対象とする機関投資家となった。過去の年次報告書を遡るとドットコムバブル崩壊期の01〜02年以来、22年ぶりの事態だ。

 

 

 

 

 

なぜ、バフェット氏は「債券投資家」となったのか。

「資金ため込みの一因は、経営・投資の自由度を高めた状態で次世代に承継する準備だ」。米運用会社スミード・キャピタル・マネジメント創業者で、バークシャー株を長期保有するビル・スミード氏のような見解が一部にはある。

 

多くのバフェット・ウオッチャーの意見に共通するのは、魅力的な投資機会の乏しさだ。バフェット氏自身、5月の株主総会で「良い球が来た時しかバットを振らない」と語っていた。

22年前にヒントがある。ドットコムバブル当時もバフェット氏は債券投資に傾斜していた。2000年には米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の株式を全て売却し、売却資金を債券投資に充てていた。

 

幅広い銘柄の株価が高騰していた当時の米国株市場は、バフェット氏には極めて割高に映った。00年代初頭の総会でもバフェット氏は投資機会の乏しさを嘆いていた。

株式と債券のどちらが割高かを測る指標には、企業が稼ぐ年間の1株利益を株価で割った益回りと債券利回りを比較するイールドスプレッドがある。米S&P500種株価指数の予想益回りと米長期金利の差は現在、22年前と同様に株価の割高感を示している。

 

 

 

 

ドットコムバブル期には株価が高く、益回りが長期金利を下回る状態だった。02年になってようやく明確に益回りが長期金利を上回り、この構図が続いていたが、足元で22年ぶりに両者は肉薄。21日時点で約0.13%にまで接近している。

現在、米国の政策金利はなお4.5〜4.75%。バフェット氏は割高な株式より無リスクで高い利回りを得られるTビルを選んだもようだ。

 

 

バリュー投資の神髄

7〜9月期に新規投資したドミノ・ピザ株は、例外的な「良い球」だったのだろうか。7月18日に出店計画の下方修正などが嫌気されて株価は1割強下落する場面があった。

バフェット氏がドミノ・ピザに競争上の優位性を見いだして企業価値がより高い水準にあると見ていたなら、この日の急落は買い場に映ったかもしれない。

 

見方を変えれば、よほどの水準訂正がない限り買えるものはないという、バフェット流投資の根本をなすバリュー投資の考えに行き着く。

8月初旬の短期的な急落を除けば、しばらく調整らしい調整を経験しないまま米国株は長期上昇を続けてきた。発射台が高いだけに「今後10年間の米国株の期待リターンはゼロに近いものかもしれない。バフェット氏もそう考えているのではないか」。

 

米運用会社LRTキャピタル・マネジメントの創業者ウーカシュ・トミチ氏は推察する。

バフェット氏は短期的な相場予想はしない。ただしバークシャーの22年ぶりの債券シフトは、米株相場の先行き警戒感を色濃くにじませている。

(ニューヨーク=竹内弘文)

 

 

 
 
 
 
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日経記事2024.11.23より引用

 

 

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