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出生率、東京「0.99ショック」 時間や住まいの余裕乏しく

2024-06-05 18:52:32 | 日本・天皇・神道・文化・思想・地理・歴史・伝承


東京都の出生率は全都道府県で唯一、1を割り込んだ

 

厚生労働省が5日発表した2023年の合計特殊出生率は1999年以来、24年ぶりに全都道府県で前年を下回った。

なかでも深刻なのは東京都の0.99で、全国でただひとつ1を割り込んだ。未婚や晩婚の影響に加え、子育ての時間や住まいの余裕が乏しいことが背景にある。

 

 

都の吉川健太郎少子化対策担当部長は5日、記者団に「重く受け止めている。婚姻数の減少、価値観の変化、地価や家賃の上昇、将来に希望を持てなくなっているなど複合的な要因が絡まっている」と語った。

東京の出生率が1を下回ったのは2003年の0.9987以来となった。厚労省は当時「一時的な現象」と説明していた。

出生率と出生数はその後に改善したものの、近年はともに右肩下がりの状況にある。

 

 

その要因として未婚率の高さがあげられる。国立社会保障・人口問題研究所によると、東京の50歳時点の未婚率は男性が32.15%、女性が23.79%(いずれも20年)でともに全国で最も高い。

出生率の分母は15〜49歳の女性となっており、独身の女性が多い地域で出生率は低く出る傾向にある。

 

都が21年に実施した未婚者調査で、独身のメリットについて「行動や生き方が自由」との回答が78%で最も多かった。以下は「家族を養う責任がなく気楽」「金銭的に裕福」が続いた。東京は女性の平均初婚年齢も30.7歳と全国で最も高い。

結婚しても、子育てにあてる時間は少なくなりがちだ。18年の住宅・土地統計調査によると、通勤に45分以上かけている人の割合は東京都で47%に上った。

 

神奈川・千葉・埼玉3県に次いで全国で4番目に高かった。22年の毎月勤労統計調査では、東京の平均残業時間は月11.7時間で愛知と並んで最も長く、仕事に縛られている。

教育費の高さも、子どもを多く持ちにくい要因として指摘される。23年の家計調査(2人以上世帯)で東京23区は月2.4万円と全国平均の2倍を超えた。私立学校の授業料や塾などの費用がかさむ。

 

 

これらの点に加えて、近年の住宅価格の高騰や住まいの狭さも問題点としてあげられる。結婚して子どもができても、都外に引っ越すケースは目立つ。

東京都豊島区によると、22年に区外へ転居した子育て世帯のうち、63%は最年長の子が0〜6歳の時に転出していた。子どもが大きくなると、比較的安価で広い家に住める都外に出ていく人が多いとみる。

 

豊島区は住戸面積が50平方メートル以上の共同住宅の割合が33%と、23区で3番目に低い。区には「ファミリー物件が少ない」といった声が寄せられている。

区は10月から一定規模以上の物件を対象に、マンション事業者などに家族で住める広さの確保を義務づける。同様の動きは23区内で広がる。

 

不動産経済研究所(東京・新宿)の調査で、23区の新築マンションの平均価格は23年に前年を39%上回る1億1483万円となり、1億円を初めて突破した。希望する住まいの確保には逆風が吹く。

地方の市町村レベルでは出生率の向上につなげた自治体もある。福井県は北陸地方で最も高く、おおい町は18〜22年の出生率が1.91に達した。子育て世帯向けの給付金を充実させ、23年度には大学生の子を持つ世帯への所得制限を撤廃した。支給額は月2万円で、4年制大学なら子ども1人あたり計96万円もらえる。

 

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※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

石塚由紀夫のアバター
石塚由紀夫

日本経済新聞社 編集委員

ひとこと解説

魅力的な仕事も娯楽もあふれる東京は、そもそも家族形成に関心が薄い人が流入してくる傾向があり、出生率回復は容易ではありません。

とはいえ昨今のマンション価格の高騰などは異常事態。普通に働き、結婚して子どもを持ちたい若い人たちにとっては絶望的な状況です。

出生率回復に行政ができることはまだまだあります。 一方で、ほかの自治体は東京都に少子化の責任を押しつけているだけではいけません。

やりがいのある仕事があり、旧来の家族観にとらわれずに柔軟な家族形成が許されるならば若い世代の都市部への流出を防ぎ、出生数も増やせるはずです。

若い世代にとって魅力的な地域をどうつくるのか。地方の自治体も真剣に考えるべきです。

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日経記事2024.06.05より引用
 
 
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陰る「ドル1強」、円一時154円台に上昇 米景気指標が減速

2024-06-05 17:25:39 | 世界経済と金融

 

外国為替市場で「ドル買い」に陰りが出ている。4日に対ドルの円相場は一時154円台半ばまで上昇し、5日も154円台後半で推移する場面があった。

米経済指標が市場予想比で下振れするケースが相次ぎ、米金利が低下したためだ。粘り強い米経済とインフレ高止まりへの警戒は薄れ、市場の目線は「ソフトランディング(軟着陸)」シナリオに再び向かっている。

 

「『ドル1強』の様相が変わってきた」。りそなホールディングスの井口慶一シニアストラテジストは5日、円安圧力の弱まりについてこう解説する。

円相場は早朝に154円台まで上昇し、その後は実需の円売り・ドル買いによって156円前後まで押し戻される展開となったが、ドル買いに以前のような勢いはない。

 

複数の主要通貨に対するドルの強さを示す「ドル指数」は4日、一時103台と4月9日以来およそ2カ月ぶりの水準まで低下した。

ドル一極集中の流れが変わったきっかけは、米景気指標に映る減速感だ。5月以降、市場予想比で下振れが続いている。

 

 

4日のニューヨーク時間に発表された米雇用動態調査(JOLTS)は非農業部門の求人件数が805万9000件と前月から減少し、2021年2月以来の低水準に沈んだ。

市場予想(840万件)も大きく下回り、減速感が意識されやすかった。

 

JOLTSは米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が重視する指標として知られる。

労働市場の逼迫度を映す「失業者1人当たりの求人数」は1.24人となり、新型コロナウイルス感染拡大期前の水準(約1.19人)に近づいた。労働需給が緩めば、賃金上昇圧力は低下し、米利下げ期待につながりやすい。

 

4日、米利下げ観測の高まりから米長期金利が4.3%台まで低下(債券価格は上昇)した。日米金利差の縮小が意識され、外為市場ではドル売り・円買いが進んだ。

前週末発表の4月の米個人消費支出(PCE)は物価影響を除く実質可処分所得が前月比で減少した。3日発表の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数も好不況の分かれ目となる50を下回った。

 

米アトランタ連銀が経済指標から国内総生産(GDP)を予測する「GDPナウ」は足元で1.8%台と、5月に付けていた4%台から大幅に低下している。

大和証券の谷栄一郎チーフストラテジストは「市場は米経済の強さを過信していたのではないか、という意識が醸成されつつある」と指摘する。

 

足元で米長期金利が4.3%まで低下している点を踏まえ「『粘り強い米経済とインフレ』というこれまでの前提に揺らぎが生じている」と話す。

 


 

米経済の強さを受けて4月ごろまでは「米再利上げ論」が浮上する時期もあったが、今では鳴りを潜めている。

景気指標に減速感が出始めているとはいえ、米経済が不況に陥るとの見方は強まっていない。市場は景気後退を回避しながらインフレが沈静化する「ソフトランディング」の見通しへの自信を深めている。

 

実際、FRBの利下げ観測にも変化が生まれている。米金利先物の値動きから市場の織り込む政策金利の予想を示す「フェドウオッチ」によると、現時点で9月利下げ予想が最も多い。

1週間前(5月28日)は「9月据え置き」が最多だった。

 

FRB側はあと数カ月分のデータを見極めたい考えを示している、5日に公表を控えるADP全米雇用リポートやISM非製造業景況感指数、7日発表の5月の米雇用統計といった指標は新たな手掛かりとなる。

今後の景気指標も同じく減速を示すような展開になれば、米利下げ期待は一段と高まる。市場では「1ドル=151円台程度までドル売り・円買いが進む余地もある」(りそなホールディングスの井口氏)との見方もあった。

 

「中長期的なドル高基調が崩れたわけではない」(邦銀ディーラー)との声もあるが、ドル買い一辺倒の様相は徐々に変わり始めている。

米金利の低下を受け、5日の国内債券市場でも長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは一時0.990%まで低下(債券価格は上昇)した。前日からは0.025%低く、5月下旬以来の低水準を付けた。

 

5日の東京株式市場では金利低下が逆風となった。日経平均株価は続落し、前日終値から一時500円近く下げた。目立ったのはメガバンクや地銀株の下落だ。業種別日経平均株価の「銀行」は前日比3%下げた。

しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネージャーは「金利上昇による利ざや拡大期待で買われてきたなか、短期的な思惑で動く一部投資家の利益確定売りが出やすい」と指摘する。

 

円高進行は自動車など輸出関連企業にとっても重荷だ。トヨタ自動車は一時3%下げ約4カ月ぶり安値をつけた。この日は東京エレクトロンなど半導体関連株への売りも目立ち、東京株式市場はけん引役不在に陥っている。

(生田弦己、河井優香)

 

イチからわかる 外国為替市場
 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

小黒一正のアバター
小黒一正
法政大学経済学部 教授

分析・考察

別記事でもコメントしましたが、景気循環を判定するNBERのデータによると、アメリカの景気後退の平均期間は概ね10か月です。

アメリカ大統領選挙後の政策変更(例:減税)の可能性はいうまでもないですが、もしアメリカの景気が本格的な調整プロセスに入っているなら、それくらいの期間で景気調整が終了して、再び景気拡大のプロセスに乗る可能性も視野に入れておく必要があると思います。

なお、Bloombergの記事(6/3付)では「トランプ氏が勝利する確率が上昇し続ければ、10年物米国債利回りは選挙前に5%に近づくリスクがある」(資産運用会社クロックタワー・グループ)との指摘もあり、注意が必要に思います。

 

 (更新)
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日経記事2024.06.05より引用
 
 
 
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衆議院解散、秋以降の公算 支持率低迷で今国会は見送り

2024-06-05 16:20:25 | 日本政治・外交


衆院政治改革特別委に向かう岸田首相(中央、5日、国会)=共同

 

岸田文雄首相は今国会での衆院解散・総選挙を見送る。
次期衆院選は9月の自民党総裁選後の秋以降となる公算となった。自民党派閥の政治資金問題で内閣支持率は低迷しており、信頼回復に向けた政治改革やデフレ完全脱却のための経済政策を優先する。

6月23日までの今国会の会期は延長せず、政治資金規正法の改正案の成立をめざす。

立憲民主党などが内閣不信任案を提出する場合も与党の反対多数で否決する方針だ。終盤国会の情勢を踏まえて最終判断する。

 

首相の党総裁任期は9月末に切れる。首相には総裁選前の衆院選で勝利し、その勢いで総裁選で再選する流れをつくるとのシナリオがあった。

2025年10月の衆院議員の任期満了まで1年半近くある。首相は総裁選で再選されれば、その後に改めて解散の時機を探る。

 

首相は政治とカネの問題への対応にめどをつけた後も成長型経済へ移行させる政策に注力する。

6月下旬にまとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に次世代半導体の量産支援などを盛り込み、夏以降はその具体化を進める。

 

 

6月からは1人あたり4万円の定額減税が始まった。物価高を上回る所得増を実現し、消費・投資と賃上げの好循環を軌道に乗せる必要がある。

外交日程は来週にイタリアで開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)に続き、7月にワシントンで北大西洋条約機構(NATO)首脳会議、日本で「太平洋・島サミット」などと目白押しだ。

 

首相は4日、記者団に「今は政治改革をはじめ、先送りできない課題に専念している。それらの結果を出すこと以外は考えていない」と語った。

日本経済新聞社の世論調査によると、内閣支持率は5月まで6カ月連続で20%台だ。自民党は4月の衆院3補欠選挙で全敗し、地方選挙でも党推薦候補の苦戦が続く。自民党内は早期解散への反対論が大勢で、公明党も否定的な立場を伝えていた。

 
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日経記事2024.06.05より引用

 

 


トランプ法廷劇場の代償 米政治は「韓国化」するか 本社コメンテーター 西村博之

2024-06-05 14:23:29 | 米大統領選2024


米ニューヨーク州の裁判所を後にするトランプ氏(5月30日)=ロイター

 

 

まさに劇場だった。トランプ前大統領の不倫口止め料をめぐる不正会計事件の最終弁論が行われた5月28日、ニューヨーク市マンハッタンの裁判所前には俳優のロバート・デニーロ氏まで現れた。

「トランプが勝てば自由におさらばだ。彼は決して去らない」。民主党を支持する名優の演説にトランプ陣営はすぐ反撃した。「焦ったバイデンは落ち目の俳優まで借り出した。裁判の政治利用だ」

2日後、トランプ氏は重罪で有罪評決を受けた米史上初の大統領経験者となった。目先は11月の大統領選への影響が注目されるが、より長期の懸念もある。とりわけ深刻なのは、米司法の独立性に疑念の種がまかれたことだ。

裁判の正当性に疑念

裁判の焦点は2016年の大統領選直前、トランプ氏の不倫相手とされるポルノ女優に支払われた13万ドル(約2000万円)の口止め料だ。フィクサー役の弁護士がまず立て替え、後にトランプ氏の会社が補塡した。その際に「弁護士費用」として会計処理したことが罪に問われた。

評決後のロイター通信などの世論調査では、トランプ氏に投票する可能性が「減った」との回答は共和党支持者で10%、無党派で25%だった。逆に「増した」との回答も一定程度あり、投票日まで5カ月という期間を考えると選挙への影響は決定的ではない。

むしろ調査で注目すべきは裁判の正当性への受け止めだ。裁判の目的を「法の支配の維持」とみる有権者は52%。46%は「トランプ再選を阻む政治的な意図」を見て取る。裁判を「魔女狩り」と呼ぶトランプ氏の言動が一因なのは間違いないが、それだけだろうか。

 

まさに劇場だった。トランプ前大統領の不倫口止め料をめぐる不正会計事件の最終弁論が行われた5月28日、ニューヨーク市マンハッタンの裁判所前には俳優のロバート・デニーロ氏まで現れた。

「トランプが勝てば自由におさらばだ。彼は決して去らない」。民主党を支持する名優の演説にトランプ陣営はすぐ反撃した。「焦ったバイデンは落ち目の俳優まで借り出した。裁判の政治利用だ」

2日後、トランプ氏は重罪で有罪評決を受けた米史上初の大統領経験者となった。目先は11月の大統領選への影響が注目されるが、より長期の懸念もある。とりわけ深刻なのは、米司法の独立性に疑念の種がまかれたことだ。

裁判の正当性に疑念

裁判の焦点は2016年の大統領選直前、トランプ氏の不倫相手とされるポルノ女優に支払われた13万ドル(約2000万円)の口止め料だ。フィクサー役の弁護士がまず立て替え、後にトランプ氏の会社が補塡した。その際に「弁護士費用」として会計処理したことが罪に問われた。

 

評決後のロイター通信などの世論調査では、トランプ氏に投票する可能性が「減った」との回答は共和党支持者で10%、無党派で25%だった。逆に「増した」との回答も一定程度あり、投票日まで5カ月という期間を考えると選挙への影響は決定的ではない。

むしろ調査で注目すべきは裁判の正当性への受け止めだ。裁判の目的を「法の支配の維持」とみる有権者は52%。46%は「トランプ再選を阻む政治的な意図」を見て取る。裁判を「魔女狩り」と呼ぶトランプ氏の言動が一因なのは間違いないが、それだけだろうか。

 

 

「奇っ怪な国だろ?」。有罪評決が出た30日、裁判所の近所に住む弁護士のジョナサン氏は、評決に抗議するトランプ支持者らに冷ややかな目を向けつつ、今回の裁判への違和感も口にした。

「民間会社の不正会計は微罪なのに、それを重罪に仕立てた検察の論理は乱暴だ。法治国家としての米国の信頼を損なう」

「接ぎ木」の重罪認定

微罪である不正会計が重罪になるのは不正によって他の犯罪の実行・隠蔽を意図した場合だ。だが、その第2の犯罪をニューヨーク州法では厳格に認定する必要がない。結局、検察は第2の犯罪が有権者を欺いた選挙法違反だと主張したが、この本丸の罪では起訴も十分な検証もなかった。裁判は終始、「隅っこの事業記録に焦点を当てた」(ブルッキングス研究所のジュラシック氏)。

違法でない口止め料の支払い、微罪の会計不正、認定不要の選挙法違反を「接ぎ木」した重罪認定を、民主党寄りのワシントン・ポスト紙も「疑惑を連結させた複雑な論理」と評した。

 


トランプ氏の有罪評決後、記者会見するブラッグ・マンハッタン
地区検事(5月30日、米ニューヨーク)=ロイター

 

現に連邦検察は立件を検討しながら難しいとみて断念した。

今回の捜査を率いたニューヨーク州マンハッタン地区検察のブラッグ検事も当初は尻込みし、これに抗議し補佐役が22年に辞職した。

その穴を埋めたのがトランプ氏捜査の経験もある司法省元幹部のコランジェロ検事補で、バイデン政権の指示を勘繰る下院司法委員会のジョーダン委員長(共和)は証言に呼んだ。泥仕合が司法の独立性への疑念を強めうる。

 

トランプ氏は20年の大統領選の結果転覆などに絡み、他に3つ刑事裁判を抱える。

特に21年1月6日、支持者が連邦議会を襲った事件は民主主義の根幹に関わるだけに、トランプ氏の関与も含め真相の徹底究明が求められる。

 

司法に「武器化」の恐れ

翻って今回の裁判は深刻度が低く、無理も目立った。

結果こそ有罪だが、他の訴訟の正当性まで攻撃するトランプ氏の主張に一定の説得力を与える恐れがある。

 

 

問題はその先だ。トランプ氏が司法を用いた報復に動くことは避けられまい。

バイデン氏だけでなく「政府高官の多くも身構えている」と著名な政治アナリストは話す。

 

あからさまな司法の乱用には本来なら側近や共和党から異論が出るはずだが、国民の多くが司法への政治介入を疑うなかでは歯止めが利きにくい。

米国では今後、政権交代のたび前任者をさばく報復合戦が根付く素地がある。

 

これは米政治の「韓国化」にほかならない。韓国では1987年の民主化後も4人の大統領経験者が逮捕された。

家族や側近の摘発も絶えず、国民もこれを支持したが、社会の溝は深まり、強大な検察の政治性に不信は募った。

 

長く軍政が続いた韓国の場合、民主政治の生みの苦しみという面はあった。

「大統領経験者の訴追は軍政時代からの汚職の慣行をあぶり出し、民主政治は一進一退しながらも前進してきた」と南カリフォルニア大のデビッド・カン教授は前向きに評価する。

 

喜劇から悲劇へ

腐敗をけん制・浄化するため司法が元権力者の不正を追及するのは当然だ。問題はそれが政争の具となる危険性と隣り合わせという点だ。

政治の分断が深まるなか、司法には以前にも増して厳格な中立性と規律、そして「李下(りか)に冠を正さず」の姿勢が要る。

 

司法が政治の「武器」と化せば、為政者は権力掌握や政敵つぶしにエネルギーを注ぎ、政策運営は二の次になる。権力を手放すのを恐れる為政者が不当に居座れば、もう民主主義とは言えない。

「トランプは去らず」とのデニーロ氏の予言は大げさにも響く。だが3年前の連邦議会への襲撃事件を思い返せば笑い飛ばせない。

喜劇は容易に悲劇へと暗転しうる。それを防ごうとの司法の勇み足が、逆効果となっては皮肉だ。

 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

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池上彰

ジャーナリスト・東京工業大学特命教授

ひとこと解説

アメリカは民主主義の国。民主主義は選挙に支えられる。結果、アメリカでは検事が選挙で選ばれ、ブラッグ検事は民主党の検事。

実際には市民から選ばれた大陪審の審理を経てトランプ前大統領は起訴されましたが、「民主党の検事が裁判に持ち込み、有罪の評決を実現した」という印象を与えます。

なんでも選挙で決めるのが民主主義という考え方は、ときに深刻な政治的分断をもたらすのです。

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日経記事2024.06.05より引用