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NIPTについて説明するPDnaviの西山深雪社長(写真はカウンセリングのイメージ)
胎児の染色体異常を調べる新出生前検査(NIPT)の認証施設が400施設を超えた。関連学会が認証要件を緩和し1年余りで4倍近くに増えた。ところが無認証の施設で精度が不確かな項目まで調べる妊婦も多いままだ。確定検査は流産のリスクもある。妊婦も検査の限界を理解する必要がある。
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「認証要件が緩和されたおかげで、検査希望者をようやく受け入れられるようになった」。胎児診断と遺伝学的検査が専門のFMC東京クリニック(東京・千代田)の中村靖院長は話す。クリニックはNIPTの実施医療機関として認証を受け、2022年10月から半年間で妊婦430人が検査を受けたという。
NIPTは妊娠9〜10週以降に妊婦の血液中に含まれる胎児の染色体を調べる検査。2本1組で計46本ある染色体数が異なると先天的な病気を発症する可能性がある。
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関連学会が要件を緩和したのは、認定を受けずに検査する施設が急増してしまったためだ。
関連学会は13年から独自に実施施設を認定。常勤の専門医や分娩の取り扱いなど要件は厳しく、認定施設は大病院を中心に全国約100施設のみだった。対象も原則35歳以上とした。
このためインターネットなどで「年齢制限なし」「休日検査も可能」と宣伝する専門外のクリニックの参入が相次いだ。20、21年の無認定施設数は認定施設を上回った。
関連学会は常勤の小児科専門医がいなくても、大病院など基幹施設と連携すれば認証するなど要件を緩和した新認証制度を22年7月に導入。認証施設は連携施設を中心に23年4月時点で414施設と3.8倍に増えた。年齢制限も「本人が強く希望すれば」という条件付きとなり、事実上撤廃した。
ところが厚生労働省の研究班が新制度移行後にNIPTを受けた妊婦の検査施設を調べたところ、認証と無認証がほぼ同数で要件緩和前の20年とほとんど変化はなかった。特にネット予約が可能な点や費用の安さといった利便性に関する点で、妊婦は無認証施設を選択していた。
オンラインカウンセリングを手がけるPDnavi(東京・千代田)の西山深雪社長は「新しい認証施設が大幅に増えたことはよかったが、いまだ無認証施設も選ばれやすい」と指摘する。
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妊婦自身も検査の限界を理解する必要がある。
関連学会が年齢制限を設けたのは35歳未満では染色体異常の発生率が低いからだ。検査結果は偽陽性の可能性もあるが、羊水検査で染色体異常を確認する必要がある。子宮に注射器を刺すため300人におよそ1人は流産のリスクがある。
検査対象も日本医学会が指針で定めるのは、成長や発達の遅れなどが生じる①ダウン症(21トリソミー)②エドワーズ症候群(18トリソミー)③パトウ症候群(13トリソミー)だけだ。
精度が不確かな指針外の疾患を検査すれば、費用が高額になるうえ、妊婦の不安や不要な確定検査が増えることになる。
無認証施設ではメールや郵送で結果を伝えるだけの施設も多い。もし陽性になっても、確定するための羊水検査を受ける医療機関を妊婦自身が探さなければならないことが多い。
日本医学会が設置した「出生前検査認証制度等運営委員会」のホームページ(https://jams-prenatal.jp)には基幹施設や連携施設の一覧が掲載されている。連携施設で困難な確定検査は基幹施設が対応する。サイトにはNIPTを含めた出生前検査の詳しい解説も掲載されている。
(上月直之)
カウンセリング不可欠
要件緩和で認証施設は増えたものの、分娩を扱う全国約2600の医療機関の2割弱にとどまる。美容外科クリニックを中心に全国で約100カ所の無認証施設を展開するある企業は「新制度後も検査件数はまだ増える」と見込む。
認証制度の立ち上げにも関わった昭和大学医学部の関沢明彦教授は「無認証施設で検査を受ける流れを変えるには、認証施設を現在の約2倍となる800カ所以上に増やす必要がある」とみる。
カウンセリング体制の充実も急務だ。厚労省研究班の調査では「検査前の説明が15分未満(説明なし含む)」と回答した妊婦は無認証施設で6割と高かったが、認証施設でも3割に上っている。
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
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宅摩佳代
フランス国立社会科学高等研究院(EHESS)訪問研究
貴重な体験談
長男を35歳、次男を37歳といずれも高齢出産でしたので、大学病院でNIPTを受けました。当時は費用が一回当たり20数万円で、夫婦で詳細なカウンセリングを受けねばならず、また結果も対面で伺う必要があり、スケジュール調整が大変でした。今は費用が少し下がっているようですが、それでも高額です。NIPTとネット検索をすると、検査に関する適切な情報提供より前に、様々なクリニックによるサービスが表示されるのも問題かと思います。より安価に、より手軽にNIPTを受けたいと望むのは妊婦として自然な思いです。NIPTに関する産婦人科での適切な情報提供など、環境の整備も必要だと思います。
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医学の進歩はすごいものがあります。 同時にいつも倫理・哲学・思想が関わってきますね。
私は出生前検査(NPT)賛成派です。罪のない子供が一生苦労するのが分かっていて、また母親も一生、子供に罪悪感を感じながら苦労する。 これほど不幸なことはないように思います。
一生、医療費・介護費・生活費の面倒見れる財力あれば別の話ですが、そんな庶民はいません。
同じ両親から生まれる子供の可能性は70兆通り
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Renaissancejapan