Renaissancejapan

哲学と宗教、財閥、国際政治、金融、科学技術、心霊現象など幅広いジャンルについて投稿しています

OPECプラス、増産巡りトランプ氏と温度差 原油安警戒

2025-02-04 10:51:57 | トランプ政権


OPECプラスは3日の合同閣僚監視委員会で現状の減産政策の維持を確認した=ロイター

 

石油輸出国機構(OPEC)にロシアなど非加盟の産油国が加わる「OPECプラス」は3日、2026年末まで協調減産を実施するとの従来の方針を据え置いた。

トランプ米大統領の原油価格引き下げ要求には応えず、相場の下支えで結束を示した。もっとも減産の継続はOPECプラスのシェア低下につながりかねず、減産縮小に向けた最適なタイミングも見極めようとしている。

 

OPECプラスは3日、2カ月に1度の合同閣僚監視委員会(JMMC)を開いた。現在実施している3種類の原油減産について、24年12月の会合で決めた内容を維持した。

参加国全体での日量200万バレルの協調減産は26年末まで実施するほか、一部参加国による同220万バレルの自主減産縮小を始める時期も4月からと据え置いた。

 

今回市場が注目していたのは、トランプ氏の要求に対してOPECプラスがどう反応するかだった。

同氏は1月23日の世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で「サウジアラビアとOPECに原油価格の引き下げを求めるつもりだ」と発言した。原油価格の下落がロシアのウクライナ侵略停戦につながるとの見立てだ。

 

 

トランプ氏の圧力にもかかわらずOPECプラスは生産方針を維持し、原油価格の安定という共通の目的に向けて主要産油国が一致して行動する姿勢をひとまず示した

市場の管理にはロシアの協力も欠かせない。米国原油指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は、3日の終値が1バレル73.16ドルと前日から1%上昇した。

 

楽天証券経済研究所の吉田哲コモディティアナリストは「OPECプラスはいかに原油相場を下支えするかということを考えている」と話す。

24年12月の会合では、25年末としていた協調減産を26年末まで延長したほか、25年1月から始める予定だった自主減産縮小も3カ月先延ばしにしていた。

 

第1次トランプ政権下でも原油価格の引き下げ要求はあったが「OPECプラスの反応は限定的だった」(吉田氏)。

例えば19年には、トランプ氏が「原油価格は高すぎる」とSNS上で発言したのに対し、OPECプラスは当時実施していた協調減産をむしろ延長していた

 

世界の原油需要と供給のバランスを見ると、25年は供給過剰が見込まれている。国際エネルギー機関(IEA)の見通しでは、通年で日量70万バレルほど供給が需要を上回る。

需給バランスがほとんど均衡していた24年に比べて原油の余剰感が生じ、価格には下押し圧力がかかりやすい。石油収入を維持するために減産を続ける動機は大きいとみられる。

 

日本エネルギー経済研究所の小山堅専務理事は「原油価格が1バレル80〜90ドルの水準であれば増産に踏み切りやすいが、70ドルで増産すれば自らの首をしめることになる」と指摘する。

一方、「長引く減産が限界に近づいている」(第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミスト)との見方もある。米エネルギー情報局(EIA)によると、24年の世界の原油生産量に占めるOPECプラスの割合は47%と、発足翌年の17年以降で最低だった。24年には減産を緩和するタイミングを3度逃していた。

 

英キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、キエラン・トンプキンス氏は「トランプ氏の増産要求が、サウジの(石油供給という)蛇口を開ける口実になるかもしれない」と指摘する。

今後もトランプ氏の増産圧力が続く可能性はある。日本総合研究所の栂野裕貴研究員は「米国だけではなくOPECプラスの石油増産をテコに、対外関税の強化など物価高につながりうる政策を推し進めたいのではないか」とみる。

 

サウジはトランプ政権の出方をうかがいつつ、米国との良好な関係を続ける方針に変わりはない。実力者ムハンマド皇太子はトランプ氏の大統領就任2日後の電話協議で、今後4年間で対米投資と貿易を6千億ドルに拡大するとの意向を示した。

原油価格の引き下げを巡ってトランプ氏と産油国の温度差がある。25年は双方の政治的な思惑が原油相場を左右する場面が増えそうだ

(真田湧生、ドバイ=福冨隼太郎)

 

 
 
 
 
 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

 

 

中空麻奈のアバター
中空麻奈
BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部 副会長
 
別の視点

OEPCプラスの判断はまっとうに見える

原油は政治情勢と需給が反映され、価格の幅が広い。

原油価格が安定していれば産油国の景況感、財政状況が安定することはわかっており、減産維持は正しい。

もっとも、座礁資産となる石油にどこまでも依存する産油国のビジネスモデルを踏まえると、“化石燃料を掘って掘って掘りまくれ”政策およびパリ協定の脱退などには、心の底では歓迎している部分もあるのかもしれないが。

とはいえ、こうしたせめぎあいをしている場合では本来ない。

CO2排出量が増えることを承知で化石燃料に回帰するのは本当にいいのだろうか。CO2排出に多大なペナルティをかけ、米国もそこから逃げられない仕組みが必要だ。

<button class="container_cvv0zb2" data-comment-reaction="true" data-comment-id="50183" data-rn-track="think-article-good-button" data-rn-track-value="{"comment_id":50183,"expert_id":"EVP01026","order":1}">いいね2</button>
 
 
 
 
 
小山堅のアバター
小山堅
日本エネルギー経済研究所 専務理事 首席研究員
 
ひとこと解説

OPECプラスは、協調減産体制の維持を選択したがこれはサプライズでは無かった。

OPECの盟主、サウジアラビアのムハンマド皇太子とトランプ大統領の関係は良好で、トランプ政権1期の際には「蜜月」と称された。

バイデン前政権の初期の軋んだ関係とは対照的である。現在の石油市場は微妙な需給バランス状況にある。

トランプ関税の影響も含め世界経済リスクでマクロ的には価格下押し圧力が作用しやすい。

ここで増産に応じれば原油価格が大きく低下し、産油国は自ら首を絞めることになりかねない。

今後、原油価格が地政学リスク要因などで上昇する動きを示すようなときであれば、サウジアラビアも増産によって協力を示すことが考えられる。

 (更新)
<button class="container_cvv0zb2" data-comment-reaction="true" data-comment-id="50179" data-rn-track="think-article-good-button" data-rn-track-value="{"comment_id":50179,"expert_id":"EVP01053","order":2}">いいね7</button>
 
 
 
 
 

 

 

日経記事2025.2.5より引用

 

 

<picture class="picture_p166dhyf"><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5952890003022025000000-3.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=425&h=539&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=81bd952fde4393a783500a9262c69645 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5952890003022025000000-3.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=850&h=1078&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=3a5bbab1ae7e0b2a60167fab31165e55 2x" media="(min-width: 1232px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5952890003022025000000-3.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=425&h=539&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=81bd952fde4393a783500a9262c69645 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5952890003022025000000-3.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=850&h=1078&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=3a5bbab1ae7e0b2a60167fab31165e55 2x" media="(min-width: 992px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5952890003022025000000-3.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=425&h=539&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=81bd952fde4393a783500a9262c69645 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5952890003022025000000-3.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=850&h=1078&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=3a5bbab1ae7e0b2a60167fab31165e55 2x" media="(min-width: 752px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5952890003022025000000-3.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=425&h=539&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=81bd952fde4393a783500a9262c69645 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5952890003022025000000-3.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=850&h=1078&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=3a5bbab1ae7e0b2a60167fab31165e55 2x" media="(min-width: 316px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5952890003022025000000-3.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=425&h=539&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=81bd952fde4393a783500a9262c69645 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5952890003022025000000-3.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=850&h=1078&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=3a5bbab1ae7e0b2a60167fab31165e55 2x" media="(min-width: 0px)" /></picture>


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。