ナチス・ドイツは悪いやっちゃという一例でしたが、なかなかどうして、イギリスもワルでは負けてません。
彼らもまた歴史の一時期に、他国(アメリカ)に対して通貨偽造戦争を仕掛けた経験があります。
それはアメリカの独立戦争開始時の1775年のことです。 このときアメリカ議会は、歴史上初めての全米統一通貨である「コンティネンタル」という通貨を発行しています。
その主たる目的は、独立戦争の資金調達のためです。 独立戦争は、アメリカの支配国であったイギリスから独立するためのアメリカvsイギリスの戦争です。
これを知ったイギリスは、アメリカを潰すため、「コンティネンタル」の偽造通貨を大量に作り、アメリカに秘かに持ち込んで大量にばらまきました。
そのため、「コンティネンタル」は通貨としての価値を急激に失い、消滅してしまいました。 アメリカはこの経験から、通貨発行権限を合衆国憲法に盛り込みました。
つまり、アメリカ連邦政府は憲法で各州の通貨発行を奪い、それを連邦に集中させることにしました。 1787年の事です。
そして1791年に「第一合衆国銀行」が設立され、通貨発行権限を独占しようとしましたが、この試みは迷走しました。 ロスチャイルドは、そんなに甘くありません。
大統領の警護で有名な、アメリカの「シークレット・サービス」は、もともと偽造通貨を取り締まるために組織された機関です。
今でもシークレット・サービスの主体業務は偽造通貨取り締まりです。歴史は古く、1865年7月5日にまでさかのぼります。
実は1861年に始まった南北戦争の当時、アメリカで流通していた通貨の約3分の1は偽造通貨でした。
何故なら独立以来、アメリカでは1600もの様々な銀行が乱立していて、それぞれの銀行が通貨を発行していたからです。
その通貨の種類は7000にも上っていたと言います。
このような状態だから、誰かが偽造通貨を作ってしまえば、それを本物と見分けるのは困難でした。
そこで、まだ南北戦争中の1863年、北軍のリンカーン大統領は、合衆国全国統一の紙幣を発行します。
これにより偽造紙幣の取り締まりが、より容易になると考えたからです。
そして偽造通貨取り締まり目的で、1865年にシークレット・サービスが設立されました。
シークレットサービスは、現在も偽造通貨の取り締まりを業務として遂行しています。
もちろん彼らは、その後付け加えられた業務である大統領警護の任務も負っていますし、情報収集の業務はFBIなどの捜査当局に引き継がれました。
しかし、シークレット・サービスの主たる業務として、コンピューターを使った金融犯罪の取り締まりにも拡大注力しています。
こうした犯罪は地球規模の及ぶため、その取り締まり網も地球規模に及んでいます。
ちなみにシークレット・サービスは、大量のコンピューター・エンジニアを擁する職員数約700名以上の大所帯です。
たとえば、クレジットカード情報を盗みだしたり、あるいは百貨店のサーバーから顧客情報を盗み出したり、個人のデビットカード情報を盗み出し、銀行から引き出すという犯罪も、シークレット・サービスの取り締まり対象となっています。
当然ながら、クリプト・カレンシーにかかわる犯罪は、シークレット・サービスが取り締まる金融犯罪の対象尾の一つとなっており、彼らが最も注目している犯罪に一つです。
それでもシークレット・サービスの主たる業務は、やはり偽造通貨の撲滅です。
アメリカ中の金融機関は、もし偽造通貨を発見すれば、直ちにシークレット・サービスに通報することが義務付けられてます。
一番初歩的な偽造通貨の作成方法は、スキャナーやプリンターを使う方法です。 幸いなことにプリンター用紙はお札の要地とは全く違うので、これで容易に発見されます。
しかし、海外の偽造通貨グループは、最も複雑なオフセット印刷技術と独自に製造した紙を使っています。だから偽造通貨をつくるにも、莫大な費用と時間がかかります。
アメリカで2014年に摘発された通貨偽造集団は、ニュージャージー州のチェリー・ヒルという町の近くに倉庫を構え、かなり巨大なオフセット印刷機に、裁断機やインク調合機など、完璧な印刷工場と言ってよい施設を備えていました。
摘発されて運び出された機械類の量は、巨大トラック1台に積みきれないほどだったといいます。