大ガスは米国のLNG基地を経由してeメタンを調達する方針だ(米南部テキサス州)
大阪ガスは脱炭素に向けた次世代の都市ガスとされる「eメタン」の調達網を構築する。原料の水素を国内より割安に確保できる米国で約1000億円を投じて製造設備などを整備し、既存のインフラを使い輸入する。
2030年に国内導入目標の6割超にあたるeメタンを確保する。
eメタンは水素と二酸化炭素(CO2)を合成してつくる。工場などから回収したCO2を使えば都市ガスとして燃焼した際に出るCO2と相殺され、排出量は実質ゼロとなる。
政府は30年に国内で消費する都市ガスの1%を、50年には90%をeメタンに置き換える目標を掲げる。
大ガスは米中西部ネブラスカ州か西部ワイオミング州にeメタンを製造するプラントを建設する。30年までに最大で年間20万トンを日本に輸入する計画だ。
東京ガスや東邦ガスも米南部ルイジアナ州からのeメタンの調達計画を進める。都市ガス各社はオーストラリアや中東、南米などからの調達も検討している。24年度内に大ガスは国内勢で初めて事業の基本設計に入る。
現在の都市ガスの原料である液化天然ガス(LNG)とeメタンは成分が同じで、既存の輸送インフラが使える。
大ガスは米国で製造したeメタンを同社が出資する南部テキサス州のLNG基地にパイプラインで送り、LNG船で大阪府や兵庫県内の都市ガス供給拠点まで輸送する。
eメタンの価格はLNGの5倍程度とされ、普及には製造コストの低減が欠かせない。特に原料となる水素を再生可能エネルギー由来の電力を使って水の電気分解によってつくる場合には費用がかさみやすい。
大ガスが米国に建設するプラントでは天然ガスを改質する手法によって割安な水素を確保する。米企業と組み、製造時に排出するCO2は回収して地下に貯留する。
割高な再エネ電力の利用を避け、eメタンの調達コストを従来のLNGと同等の水準まで近づけたい考えだ。
都市ガスは水素で代替する案もあるが、全国に張り巡らされたガス管などの設備更新にコストがかかり、船での運搬も容易でない。既存のインフラを生かせるeメタンの確保に向けた投資は広がりそうだ。
分析・考察
日本のガス業界はeメタンを都市ガスの脱炭素化の切り札に位置づけています。
2030年から導入するには、そろそろ投資判断すべき時期に差し掛かってきます。
ただ安価で低炭素なLNGが世界的に再評価され、脱炭素までの「移行期」は意外に長くなるのではとみられています。
化石燃料を掘りまくれ、を政策に掲げるトランプ次期米政権下では、天然ガスの供給が増え、LNGとeメタンの価格差はさらに開く可能性があります。こ
の記事によれば、原料の水素はわざわざ天然ガスから改質し、別途確保するCO2と合成するようですが、それだと単純に天然ガスをLNG化するよりコストと手間がかかるだけ?のような気もするのですが...。
<button class="container_cvv0zb2" data-comment-reaction="true" data-comment-id="48260" data-rn-track="think-article-good-button" data-rn-track-value="{"comment_id":48260,"expert_id":"EVP01107","order":1}">
0</button>
日経記事2024.11.30より引用