ボルボはEVシフトで先行する=PA・AP
【フランクフルト=林英樹】
スウェーデンの高級車ボルボ・カーが6日発表した2024年12月期通期の決算は、営業利益(合弁・関連会社を除く)が5%増の270億クローナ(約3800億円)、売上高が微増の4002億クローナだった。
いずれも2年連続で過去最高を更新した。欧州で電気自動車(EV)需要が低調な中、先行者利益を確保した。
「市場全体の需要は急速に減退しているが、バランスの取れた車種ラインアップで受注は好調。販売に勢いがある」。同日の決算会見でジム・ローワン最高経営責任者(CEO)は自信をみせた。
EBITマージン(売上高に対する利払い・税引き前利益の比率)は23年比0.4ポイント増の6.8%だった。
24年の新車販売台数は76万3000台で過去最高だった。けん引役は欧州車大手の中で当初からシフトを表明していたEVで、新車販売におけるEV比率は23年の16%から23%に高まった。
EV比率は欧州車大手の中で最も高い。プラグインハイブリッド車(PHV)を加えた比率は、全体の46%に達した。
ローワン氏は「競争の激化で業界全体のリスクが大きくなる可能性が高く、これまでのペースで成長できるとは考えていない」と述べ、25年12月期の業績については厳しい見通しを示した。
ボルボは欧州連合(EU)の中国製EVに対する追加関税を回避するため、売れ筋の多目的スポーツ車(SUV)型のEV「EX30」の生産ラインの一部を、中国からベルギーに移管した。生産コストの上昇も収益悪化の要因となりそうだ。
日経記事2025.2.6より引用