23日、ロシアのプーチン大統領㊨と握手を交わすイランのペゼシュキアン大統領=AP
【ドバイ=福冨隼太郎】
イランのペゼシュキアン大統領は23日、訪問先のロシア西部カザンで同国のプーチン大統領と会談した。
両国の関係の強化を確認したほか、中東情勢などをめぐって協議した。両首脳の直接会談は今月2回目で、米欧からの制裁を受ける両国は結束を強めている。
カザンで開かれたロシアや中国など有力新興国で構成するBRICS首脳会議に合わせて会談した。
両国は包括的協力協定の締結を目指している。ペゼシュキアン氏は会談でプーチン氏に対し「なるべく早く協定を結ぶことを望んでいる」と強調した。
プーチン氏は欧米による制裁への対応などを念頭に「グローバルな課題に対するロシアとイランのアプローチは近い、あるいは完全に一致している」と発言。2国間の外交連携を強める考えを示した。
イランはガザ衝突をはじめとする中東情勢や核開発などをめぐって、ロシアもウクライナ侵略でそれぞれ米欧との対立を深めている。
西側諸国はイランがロシアに無人機(ドローン)やミサイルを供与してウクライナ侵略に加担していると批判する。ロシアはイラン製ドローンをウクライナへの攻撃に使ってきた。
イランとロシアは、イランを経由してロシアとインドなどを結ぶ輸送回廊の構築でも協力するなど経済面でも関係を強めている。
イランでは7月に大統領に就任した穏健派のペゼシュキアン氏が、これまで対立を続けてきた米欧との対話を通じて制裁解除を目指すと訴えてきた。
ただ、米国が支援するイスラエルと、イランが後ろ盾のイスラム組織ハマスやレバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの衝突が激化するなど、対話実現の見通しは立っていない。
今月1日にはイランがヒズボラ指導者のナスララ師殺害などへの報復としてイスラエルを弾道ミサイルで攻撃した。イスラエルは報復を明言している。
ペゼシュキアン氏は22日にはインドのモディ首相と会談した。アラグチ外相もミサイル攻撃後にアラブ諸国を相次いで訪れており、イスラエルとの対立が激しくなるなかで外交的な孤立を防ぎたいとの考えが透ける。
ロシアもウクライナ侵略が長引くなかで、友好関係を続けるイランと軍事面、経済面で関係を深めることを重視する。
ロシアが中国などと目指す世界の多極化に向けて、BRICSに加盟したイランの協力を得る狙いもある。
米国や欧州など西側諸国は、イランとロシアが軍事面での連携を一層深めることを警戒している。
主要7カ国(G7)外相は9月、イランがロシアに弾道ミサイルを輸出していると非難する声明を出した。米国や英国、欧州連合(EU)はイランの航空会社や、イラン政府関係者、イラン革命防衛隊幹部などへの制裁を相次いで強化した。
イスラエル軍は2024年10月1日、レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラに対し、イスラエルと国境を接するレバノン南部で「限定的」な地上攻撃を始めたと発表しました。
その後、イスラエル軍は、イランがイスラエルに向けて同日にミサイルを発射したと発表しました。最新ニュースと解説記事をまとめました。
日経記事2024.10.24より引用