国際通貨基金(IMF)や世界銀行の年次総会に合わせてG7も開催した(米ワシントン)
【ワシントン=大島有美子】
主要7カ国(G7)は25日、ロシアによる侵略を受けるウクライナに対し、ロシアの凍結資産を活用する支援策で合意したとの首脳声明を発表した。
総額500億ドル(約7.5兆円)の融資を確約し、12月末までの資金拠出を目指す。
同日、米ワシントンでG7財務相・中央銀行総裁会議を開いた。会議にはウクライナのマルチェンコ財務相も対面で参加した。
会議を終え記者会見した加藤勝信財務相は「G7が一致してウクライナを断固支援する姿勢を示すという意味で、大変有意義だ」と述べた。同日公表した会議後の共同声明にも合意について明記した。
首脳声明では「ロシアは違法な侵略を終わらせ、ウクライナに与えた損害を賠償しなければならない」と明記した。ウクライナとの戦争が終結した後も、ロシア資産を凍結し続ける方針だ。
財務省同行筋は25日、「仮に和平がなされても、賠償されていないということなら支払いはしていないことになる」と説明。「その段階では制裁は続くということを、政治的に首脳レベルも含めてコミットしている」と述べた。
加藤財務相は、凍結資産によって返済原資が確保されているため「国民に追加的な負担が生じるものではない」と言及した。
首脳声明に合わせてG7財務相による閣僚声明も公表した。融資の枠組みはG7構成国とウクライナの2国間融資で実施するとした。融資は遅くても2025年6月末までに発効すると言及した。資金は世界銀行が設けるウクライナ支援向けの基金など複数のルートを通じて支払われる。
総額500億ドルの融資に関しては、米国と欧州連合(EU)、英国、日本、カナダが分担して拠出する。
米国は200億ドル分を担当すると発表し、そのうち100億ドルは軍事支援に充てる考えを明らかにしている。日本などは明らかにしておらず、今回の声明で分担額は明記しなかった。加藤財務相は、各国の拠出額を含む詳細は「議長国から近日中に公表される」と語った。
日本の資金は世界銀行のもとに置く基金を通じて出す。EUと英国はウクライナに直接融資する。
G7は6月にイタリアで開いたサミット(首脳会議)で、約500億ドルを12月末までに融資することで大筋合意した。ロシアの凍結資産から生じる運用益を、G7がウクライナに実行する融資の返済原資に充てる。ロシアの海外資産は主にEU内にあり、西側諸国がウクライナ侵略後に制裁として凍結した。
G7サミット(主要7カ国首脳会議)の議題や各国首脳の動きなど最新ニュースをまとめました。
日経記事2024.10.26より引用