インタビューに応じるノジマの野島社長(13日、横浜市)
ノジマの野島広司社長は13日、日本経済新聞の取材に応じ、買収を発表したパソコン(PC)メーカーのVAIO(長野県安曇野市)について、「日本の製造業の手本にしたい」と話した。
VAIOブランドを残し、国内で製品の開発から製造、販売戦略策定までを完結させることで競争力を高める考えを強調した。
ノジマは11日に日本産業パートナーズ(JIP)からVAIOの株式の9割超を取得すると発表した。2025年1月に子会社化する。
VAIOの現経営陣には続投してもらう考えで、「ノルマを課したり、無理やり首を引っ張って走らせたりすることはしない」と話した。VAIOの買収を発表後、野島社長が報道機関の個別取材に応じるのは初めて。
野島社長はVAIOについて「業界で初めてカメラ搭載のPCを発売するなど、付加価値の高い製品をつくり、新しいことに挑戦する文化がある。
それなのに、過去には海外との安売り競争に負けて収益が取れなくなっていた」と分析した。
VAIOは主力製品を国内生産する
野島社長は国内のメーカーについて「多くが海外生産になり、開発・製造・販売が三位一体になっていないのが問題だ」と指摘。
国内に開発・製造拠点を置くVAIOについて「(低利益で)どんどん量を出すのではなく、価値を認めてくれる人に高品質のものを販売する形で、日本の製造業の手本になりたい」と期待を込めた。
個人向け製品に関しては「ノジマが独占販売する考えはない」と強調した。
「消費者に近い我々から声を伝えて、よりニーズにあった商品づくりに生かしてもらうのは可能かもしれない」と語った。商品の共同開発は現時点では否定した。開発はVAIOに全面的に任せる方針だ。
PCの市場環境については「VAIOが主力の法人向けは、経済安全保障の観点で純国産の安心感が高まっている」とも語った。
ノジマとのシナジーについては「グループ全体で1000人以上いるノジマのスマホなどの法人営業網を活用する。PCやスマホ、(傘下のニフティなどの)ネット通信を一体提案できれば、非常に良いサービスになる」とした。
(平嶋健人)
日経記事2024.11.13より引用