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世界大戦の主原因は石油  トルコ石油(イラク石油会社に改名)と欧米列強

2023-04-14 11:53:16 | 麻薬・阿片・石油

 

世界大戦の主原因は石油 アラビアの獅子王
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/29d99a3288c7221984a872115443d10c
からの続き

 

イラク王フェイザルの急死は、こうした協定が成立した後だったので、英国の石油権益には何ら影響ありませんでした。 既に石油開発の事業は始まっていて、フェイザルの死はむしろ邪魔になったとも言えます。 だから、王は怪死を遂げたとも希釈されます。 イブン・サウードはメソポタミアには手を付けず、英国の権益は安全に守られていましたが、このアラビアの獅子王はその他の地方に於いて、年々その勢力を拡大していきました。

1934年には隣国イエメンを征服して、回教徒の聖都メッカを手に入れることに成功しました。イエメンは英領アデンに接しています。ここはスエズ運河に向かう全汽船の燃料補給所となっている重要な港なので、英国にとっては不安材料でした。 しかし、諜報部のジョン・フィルビーは従来からイブン・サウードとの関係を利用して巧みに立ち回ったので、メソポタミアのキルクーク油井はひたすら石油を噴き続けるが出来ました。

メソポタミア平原の彼方には、近代国家となったトルコがあり、いかにも物欲しそうに、豊富なモスール油田を眺めています。 近東の石油は依然として、危険な地域でした。 目そ歩民の石油は、一般にモスールに代表されてます。 モスールからは石油を算出しないし、そこには一本のデリック(クレーンの一種)も見ることは出来ません。

モスールはモスリン(木綿や羊毛などの梳毛糸を平織りにした薄地の織物の総称、ヨーロッパでは薄手の綿織物)の産地であり、モスリンは、メソポタミアのモスールに地名に由来しています。広い砂漠のなかでは、5マイルや6マイルの距離の違いは物の数ではなく、この地方の石油問題に首を突っ込んだ政治家が、地理を知らなかったために、間違ったものでした。 こうして、メソポタミアの石油はモスールによって代表されることになります。

 

この付近には、アッシリア人とかカルディア人とか、歴史で有名な民族が未だに住んでいました。 1933年8月、クルド人とフェイザル王傘下の兵が、付近のアッシリア人やカルディア人の殺戮を開始したとき、人は旧約聖書や古代史に出てくる古典的な民族の名前を聞いて、いまだにそう言って民族が地上に存在している事実を知り、驚きました。

ちなみに、東アジアでは、日本が昭和不況を受けて、中国を侵略し、満州帝国を設立したのが満州事変を興した半年後の1933年3月1日です。 ちょうどこの頃、世界がきな臭くなってきた時期でした。

このモスール付近は紀元前には、文化の花を咲かせたバビロンがあった場所で、付近に住むカルディア人は5千年前、その先祖が使っていたのと同じカルディア語を未だに使用していたのです。イラク王国のバクダッドは、もはやアラビアンナイトの町ではありませんでした。それはさながら英国の植民都市の観を呈し、市内には自動車が縦横に走り、チグリス河を上下するランチの汽笛は伝説の都の古い夢を破りました。 汽車はバクダッドとモスールの中間にある石油都市キルクークとの間を盛んに往復しました。

このキルクークこそが、メソポタミア石油の中心地です。そこには怪奇なデリック(クレーンの一種)が林立し、これまた貯蔵庫は怪奇な影を投げ、地下には送油管が走っていました。ここの石油を支配しているのはトルコ石油会社です。トルコ石油会社は世界大戦前の設立において、アングロ・ペルシャン(英・イラン)石油会社が50%、ロイヤル・ダッチ・シェルとドイツ銀行が各々25%の比率で投資したものでした。

 

ここで何度も言っていますが、ロスチャイルドGrの巨大石油会社、ロイヤルダッチシェルについて説明しておきます。 東南アジア市場で、米国のロックフェラー率いるスタンダード石油会社と、デターディング率いるオランダのロイヤル・ダッチ石油会社、およびマーク・サミュエル率いる英国のシェル輸送会社(石油やタンカーなど製造・販売)が戦っていました。 しかしスタンダード石油会社相手に苦戦していました。 

そこで。ロスチャイルドの仲介によりロイヤル・ダッチ石油会社、シェル輸送会社が合併し、その時ロスチャイルドも資本参加して設立されたのが、ロイヤル・ダッチ・シェルです。

 

日本市場でのロイヤル・ダッチ・シェル vs スタンダード石油 販売戦争
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/f9b0c8415ececd8eb83f86f3c2271c80
極東における血みどろの石油販売戦争
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/f22623351b78925c3350ffb60ea56de9
ロックフェラーを倒したロイヤル・ダッチ・シェル(デターディング・サミュエル連合)https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/f8dee26c06fec6a31193a3eee46ad2c9

 

しかし、間もなく世界大戦が勃発するなり、英国はっメソポタミア遠征軍を送って、ここの石油権益を確保しました。 世界大戦後、英国はメソポタミア石油の独占を図りましたが、フランスはサイクス・ピコ秘密協定を盾にとって、メソポタミア石油に対する優先権を主張しました。

ロイド・、ジョージはフランスの要求を拒否して、『サイクス・ピコ協定の権利は断念して英国に譲れ、その代わりアナトリア、アルメニア、およびドイツではフランスがどんな勝手な事をしても大目に見る』となだめましたが、クレマンソーは頑として聞きません。言うまでもなく、クレマンソーは大戦の経験によって、「血の一滴は石油の一滴に等しい」ことを痛感していたので、メソポタミアの石油を看過することはできなかったのです。

ここにサン・レモ協定が成立し、英国はトルコ石油会社の株25%を、フランスに譲らざるを得ませんでした。

ところが、かねてから、石油世界制覇を目指している米国は、サン・レモ協定に異議を申し立て、ここに英・米両国間は危機をはらむ対立を見るに至りました。

遂に1923年のローザンヌ会議によって、英国は再び譲歩し、アングロ・ペルシャン(英・イラン)石油会社の持ち株の約半分を米国のスタンダード石油に譲渡せざるを得なかったのです。 

 

こうして、メソポタミアの石油は、ババ・グルグールだけで、一日に3万6千バレルを算出しています。 そして、この石油は二本の送油管によって、一つは東地中海の英軍基地のハイファへ、もう一つはシリアのトリポリへと送り出されて、英・仏両国の艦隊を動かしています。

しかし、実験を握っているのは、英国海軍を背景に持つ、アングロ・ペルシャン(英・イラン)石油会社であることは明らかです。英国のこの方面に対する石油帝国主義は、必ずしも不動の基礎の上に立っているとは言い難く、歴史的なドイツの東方進出政策、イタリアの地中海制覇の野望は常に虎視眈々として窺っています。

更に重要なことは、回教諸国における,熾烈な民族復興運動です。モスールから地中海に出る送油管線(パイプライン)の警備について、英・仏政府は莫大な犠牲を払うべことを余儀なくされています。 それは幾度か土着民の反乱にょって送油管を破壊された経験を持っているからです。

モスールによって代表されるメソポタミア石油、そのモスールはその昔バビロニア文化が華やかし頃の名都ニネヴェです。 その昔のニネヴェの文化を調査すべく、英・独の考古学者が砂漠を掘っているとき、数マイルをへだてた油田では、現代文明の血液である石油を汲み出しているのが対照的で、興味深いものがあります。

 

 

(参考、 石油の話、今までの投稿)

世界大戦の主原因は石油 アラビアの獅子王
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/29d99a3288c7221984a872115443d10c
英国人宣教師ハーウッド師と若き宣教師スパイ
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石油地帯の傀儡王フェイザル王
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世界大戦の主原因は石油 アラビアのベル嬢
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世界大戦の主原因は石油 カリブ海のバルカン化
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/07e8547405cea8d34d75dfbd54042377
世界大戦の主原因は石油 パナマの覇者
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/92992cfd4c62bd16260fdcd32ddb01f0
世界大戦の主原因は石油 英国監督油田会社の正体
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/11734cee89b686d7d8892f9c9a252ff5
世界大戦の主原因は石油 パナマ運河 英国 vs 米国
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世界大戦の主原因は石油 南米の独裁者・ゴメス
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世界大戦の主原因は石油  英米 vs ソ連(ロシア)
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第一次世界大戦 本当の主原因は石油
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極東における血みどろの石油販売戦争
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ロックフェラーを倒したロイヤル・ダッチ・シェル(デターディング・サミュエル連合)https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/f8dee26c06fec6a31193a3eee46ad2c9
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