Eos5D写真三昧 格安の海外旅行記と国内旅行のすすめ

海外旅行の情報を旅行記として綴った記録。EOS5Dとiphoneで撮った写真をあげております。

六日目:鍵の行方は?

2009年09月30日 21時06分52秒 | スイス旅行記2009年8月
EF24-105mmF4L

今日はホテルのチェックアウトの日。さて、今日の宿泊はどうしよう?と朝考えるが、鍵を無くしているので考えがまとまらない。ツェルマットにもう一泊するかどうか。それもこれも鍵が見つかるかどうかに懸かっているのだが、もしも宿を手配するなら体力があるうちのほうが良い。ヘトヘトになって宿を探すのはとても苦しいことを私は経験上知っている。・・・なんてことを駅へ向かう途上で考えていた。まぁ、考えていても答えは出ない。とりあえず今日は動き回ることになるだろう、という事を覚悟していた。差し当たって荷物になるリュックが邪魔である。泊まるにせよ、鍵が見つかった後ツェルマットを発つにしろ、まずはこの重いリュックをなんとかしないといけない。そこで、リュックを駅のロッカーに入れることにした。カメラだけを首からぶら下げて、まずは軽装になった。
さて、その後すぐさまツェルマットのゴルナーグラート鉄道のキップ売り場の窓口に行った。そして窓口の人に、紛失物はないかと尋ねた。ダメ元での質問である。これで「無い」というならば、もう一度昨日のコースをなぞるしかない。窓口の人はこう答えた。「あるが、何を落としたんだ?特徴は?」と。この言葉ですこし光明が見えた。・・・だが、落し物を駅で預かるというのは珍しいことではない。問題は私の鍵がそこにあるかどうかだ。電車内で忘れたのなら、届けてくれる可能性はあるだろうが、外で落としたらそれも難しいだろう。仮に電車内で落としたとしても、始発のツェルマット駅にすべての紛失物が集められるようなシステムになっているのか?そんな事を考えながら、私は自分が落とした鍵の特徴をこう説明した。

「車の鍵だ・・・、そしてそれには金庫の鍵もついている。他にも倉庫の鍵もついている。」

金庫の鍵だ、と、私が言った時に、窓口の人は「オーー」っと同情の声を上げたのを私はよく覚えている。そう、事は深刻なのだ。そして窓口の人は「ちょっと待っていてくれ」と言い、奥に向かって歩いていった。
さぁ、審判の時である。この時間は本当に長く感じた。私は答えながら、頭の中では昨日のコースをどうなぞるかを既に考えていた。
しばらくして窓口の人が戻ってくる。その手には・・・なんと、見覚えのある鍵の束が握られているではないか!そう、あったのだ。駅に届けられていたのだ!
私は嬉しさのあまり、思わず「そうだ!それだ!!!」と叫んでしまった。窓口の人にお礼をいうと、その人も私の表情が異常に嬉しいことに気づいたようで、同じように素晴らしい笑顔になって、「そうか、そうか、よかったな」と言ってくれたのである。
この結末は、奇跡と言っても良いかもしれない。結局、嬉しさのあまり、どこでこれが落ちていたかについては聞かず仕舞いになってしまったので、今でもその場所については分からないのだが、おそらくは電車の中ではあるまい。確実に屋外である。それを観光客の誰かがおそらく届けてくれたのだろう。西洋人の凄いところは、こういうことをほとんど皆がやってくれることである。

かくして、前日の午後9時に発覚した事件は、翌日の午前8時には解決した。おかげでこの後の旅も、士気が下がることもなく続けられる。まさに幸運というべきである。もしも、私が鍵の紛失に気づくのがあと1、2日遅れていたら、もっと厳しいことになっていただろう。その場合は、ツェルマットをおそらくは発っていただろうから、また戻ってこなければならないし、鍵の落とした可能性のある場所も、もっと領域が広がっていて、場所を特定できなかったかもしれない。また、仮に昨日のハイキングの途中で気づいたとしたらどうだろうか?その場合は、ヘトヘトになりながらも、来た道を引き返して、延々と探し続けていたに違いない。その場合、体力はボロボロになり、おそらく翌日にも疲れを引きずることになったかもしれない。結果的に、私は最高のシチュエーションで鍵を紛失したことに気づいたわけだ。速すぎず、遅すぎず・・・である。

午前8時に解決。この事実は、なにか今日一日が、ボーナスタイムかのような錯覚を私に起こさせた。つまり、いきなり自由に使ってよい日になったのだ。もしも窓口で見つからなければ、半強制的に昨日のコースをなぞることは決まっていたのだが、それが一気になくなった。

さて・・・急に、やるべき事がなくなった。今日はどうしよう?・・・という贅沢な悩みが沸いてきた。思いがけないフリーな時間が手に入ったので、今日はマッターホルンの麓まで行って、そこで半日ブラブラとハイキングすることにした。目指す目的地はシュヴァルツゼー(黒い湖)である。

(写真は、紛失した鍵を取り戻した後に撮ったもの。ツェルマットのゴルナーグラート始発駅である。この日は日本人の団体さんが多く、ご覧のように写真の中に写っている黒髪の人達は、すべて日本人である。)

次回はシュヴァルツゼー。

再びゴルナーグラート鉄道に乗る(8月23日:五日目) その2

2009年09月30日 04時43分45秒 | スイス旅行記2009年8月
EF15mmF2.8 Fisheye

山登りには、水分補給は必須である。高所では、水分が失われている事に気づきにくいという。水分欠乏になると高山病にかかりやすくなるという話もあるので、毎朝必ず1リットルのペットボトルを持って山に登ることにしている。これでも足りないくらいで、一日平均2リットルは山歩き中には飲む。これでスーパーでハムとチーズなどを買って持っていけば、ハイキングの途中の休憩で軽食が摂れるというワケである。とにかく外食を抑えれば、それだけ安くすませられるし、良い景色の場所で一息ついて食事をすれば、ハイキングがいっそう楽しい。連れがいればもっと楽しいのだろうが、今回は自由気ままな一人旅を選んだので、これは仕方のないことである。



EF24-105mmF4L

ゴルナーグラート駅からモンテ・ローザ方向にしばらく歩くと、写真のように下りの分岐道がある。この道を降りると、最終的には氷河の場所まで行ける。行けることには行けるのだが、しかし問題がある。例えば、線路沿いの道を歩けば、最悪でも駅までたどり着けるだけの体力を残しておけば、少々無茶をしてもかまわないが、この道を下った場合、下でヘトヘトになってしまったらアウトである。かならずこの場所に戻ってこなければならないので、自分の体力と相談して決める必要がある。
私の出した答えは「ムリ!」であった。




NIKKOR 28-200mmF3.5-5.6 +マウントアダプター

ニコンのマウントアダプターを着けて、200mmで撮影。折角様々なレンズを持ってきたのだから、使わないと勿体ない。その度にリュックを開けたり閉めたりと忙しいのだが、時間はタップリあるので問題ない。
この写真は何気なく撮ったものだが、現像して等倍で見てみると驚いた。



また人だ。この山の名前はブライトホルン。前日にクラインマッターホルン頂上に行った時にも、同じ場所に登山者がいた。時刻はまだ正午にもなっていない。おそらく早朝から登り始めたのだろう。今日の天気は非常に良いので、あそこからの景観はおそらく最高なのだろう。ブライトホルンの頂上に、毎日人が絶えないということに、ただただ驚いた。



EF24-105mmF4L

ご覧のように、所々に湖(というか池)がある。もっとも大きい湖は、この写真の場所よりすこし下がった場所にあるリッフェル湖である。風が穏やかな日であれば、マッターホルンを湖面に映し出すことが出来る。私が行った日は、残念ながら風が出ていたので、それを写真に収めることはできなかった。まぁ、この辺りまで歩いてくると、正直ヘトヘトになっていて、風が収まるまで待っていられなかった・・・というのが真相であるのだが・・・。


さて、この後下山して、夕食を摂ってホテルに帰った。シャワーを浴びて、一息ついたらもう午後9時になっていた。私の旅行中の日課は、夜に、その日の撮ってきた写真を、日本から持参してきたノートパソコンに落とすことだった。その日もいつものようにリュックからUSBケーブルを取り出し、作業を始めようとした時である。「あれ!?」・・・と、何かが無いことに気づく。実は私は日本に置いてある車の鍵を、この旅行に持ってきてしまったのだが、その鍵が所定の場所に無いのである。たしかリュックの下のポケットに入れていたハズだが・・・。どこかに移動したか、とリュックのワキのポケットなども調べるが、見つからない。おかしいな、と思い、全てのポケットを調べるが、やはりない。嫌な予感がした。同時にしまったと後悔した。私は今日の撮影にあたり、全てのレンズを持っていこうとして、貴重品の入ったリュックにレンズを詰め込んで持っていった。それはまだ良い。だが、次の行為が致命的だった。それはレンズを入れる場所である。取り出しやすいように、リュックの外側についているポケットにレンズを入れ込んだのだ。そして、そのポケットには貴重品である日本の車の鍵が入っていたのだった。さぁ大変だ。どこで落としたか? 今日、レンズを取り替えた回数は、それこそ無数にある。その度にリュックのポケットを開いてきた。おそらく、その中のどこかの一回の時に、鍵を落としたのだろう。つまり、鍵はゴルナーグラート~リッフェルアルプ間のどこかにあるのである。
さらに事態を深刻にしていたのは、その鍵には、車以外の鍵も一緒につけていて、その鍵が金庫の鍵だったという点である。現在時刻は午後9時。この時間ではアクションを起こしても、全ての施設は閉まっているから無意味である。だが、不安と焦燥感は募るばかりである。
「しまった。しまった。あんな大事なものをリュックの外側のポケットなんかに入れておくんじゃなかった。」、と後悔するが、とき既に遅し。「これは、明日、今日と同じルートの道をもう一度なぞらなければいけないか?」と考え始めた。だが、その考えにはウンザリした。明日はハイキングという気分にはなれないだろう。同じルートを二日続けるだけでもお腹いっぱいである。しかも今日歩いたコースはかなりシンドイルートである。それに、同じルートを歩いたからといって、鍵が見つかるとも限らない。もし谷底にでも落ちていれば、絶対に見つからないのだ。その可能性は十分ある。さらに、それとは別の問題もあった。ホテルの宿泊は今日までで、明日の朝にはチェックアウトしなければならないのだ。このように一度歯車が狂うと、次々と問題が重なってくる。
鍵を探すのは諦めるか?とも考えたが、それはあんまりである。見つけておかなければ、この後の旅の士気にも影響する。だが見つかるのか?・・・という不安の堂々巡りをしばらく続けるが、今日の夜に考えていても一向に解決しない。とりあえず、明日駅に行ってみよう、と割り切って寝ることにした。

どうして、日本の車の鍵をスイスにまで持っていったのか?という疑問を持たれた方もいるだろう。理由は、私の自宅から最寄の駅まで車で行って、駅の駐車場に車を停めて、それから成田に電車で向かったからである。

この結末は次回に明らかになります。