雲跳【うんちょう】

あの雲を跳び越えたなら

サッド ヴァケイション

2008-07-16 | 映画
『Helpless』『ユリイカ』の青山真治監督が贈る≪北九州サーガ≫の集大成『サッド ヴァケイション』


『Helpless』は二回ほど観たけど、正直、いまいち理解しきれなかった。『ユリイカ』は、観てない。やたら長いから・・・。

 それでも、この『サッド ヴァケイション』は良かった~。一応、前二作と話は繋がっているんだけれども、たぶん観てなくとも大丈夫。前半部分はちょっと不可解になるかもだけれど、それらを差っ引いて余りあるほどの豪華キャスト(浅野忠信、石田えり、宮崎あおい、中村嘉葎雄、オダギリジョー、光石研、等々)だし、それに北九州の壮大な映像もこれまた圧巻。
 もちろん、ストーリーも、昨今の邦画に見られるやたらベストセラーの小説やヒットした漫画などのつまんない焼き直し原作ではなく、青山真治監督、原作・脚本だし、モロ監督色の作品で素直に心を抉られる。

 中村嘉葎雄が石田えりをぶっ叩くシーンは、特に秀逸。


 ここ最近の邦画にはあまり食指が動かなかったけれども、これは素直にイイ映画だなぁ、と思えた。
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白光/連城 三紀彦

2008-07-16 | 小説
 幼い少女が殺された。

 少女は誰に殺されたのか?何故、殺されたのか?

 ある空白の時間に起こった殺人事件。そこには、他所からは窺い知ることのできない、怨念、後悔、嫉妬、裏切り、愛憎が渦巻いていた。

 犠牲になった少女を取巻く穢れた者たちの≪救いなき物語≫



 そんなに派手さがあるわけでもなく、むしろかなり地味目なミステリー小説。それでも真犯人が二転、三転、いや、四転、五転くらいする流れはかなり読み応えあり。
 ある家庭での事件だけれど、なんだか社会の縮図を見ているような、そんな気持ちにさせられました。

 ミステリー小説に≪救い≫なんてないんだろうけど、この小説は必死に≪救い≫を求めている。でも、そこに≪救い≫は、ない。

 なんとも「ジメっ」とした、梅雨時にはもってこい(?)の作品です。
 
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