思いがけず、ぽつっと空いた夏の日。かねてより見たかった西洋美術館で開催中の『内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙』に上野に出掛けた。
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会場:国立西洋美術館 企画展示室
会期:2024年6月11日(火)〜8月25日(日)
開館時間:9:30~17:30(金・土曜日は9:30~20:00)
※入館は閉館の30分前まで
入場料:一般1,700円、大学生1,300円、高校生1,000円
2019~2020年度に3期にわたって開催された小企画展の2期、3期の展覧会で内藤コレクションに初めて接し、その作品の一葉一葉に感激し深く感銘を受けたことはいつまでも忘れられない鮮烈な思い出となって心に残っている。
そして同時に数十年にわたって収集したコレクションを一括してこの国立西洋美術館に寄贈された内藤裕史氏に感動した。
そのコレクションの大多数が一堂に展示されるという『内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙』が8月25日まで開催中で見に行くのを楽しみにしていた。
記事⇒内藤コレクションⅡ、内藤コレクションⅢ
過去の内藤コレクション展の1番目『ゴシック写本の小宇宙— 文字に棲まう絵、言葉を超えてゆく絵』は見損ねてしまっていたので、この展覧会でその折に展示されたものも見られると期待もした。
印刷技術のなかった中世ヨーロッパで薄く加工された獣皮紙に、すべて人の手によってテキストを筆写し、ただそれだけでなく中には余白に美しく華やかな装飾として彩飾が施されたものも多く、それらの前に立ってその一葉一葉を見ているとそこに込められ費やされた労力、時間、アイデアの膨大さに圧倒される。
暗い修道院の一室で一心不乱に羽根ペンを動かしている背中が見えるよう、などと妄想を膨らませてみる。そしてまた、こういう豪華な写本を作成した教会、また王族・貴族といった人々の財力についても想像してしまう。
これだけのコレクションを一堂に見られるとは、まさに宝物のいっぱい詰まった箱の中をのぞいたよう!
作品の保存のためだろうと思うが、冷房が効いていて展示室の中は酷暑の夏を忘れ、寒くなるほどだったが、気持ちは美しいものを堪能した喜びに満たされた。
この展覧会でも一部の『撮影禁止』作品を除き、撮影できるようになっている。
思わずへへっ
と笑ってしまうような獣皮紙の隅に書き込まれた人の顔、鳥、魚、動物などがあるかと思えば、その時代の遠近法で描かれた風景、その時代の植物、装飾の数々に魅了された。
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こんな風に修道士たちが写本を書架において楽譜を指し示しながら聖歌を歌っていたんだなあ。
おっ、楽器たち~♪
真面目な風で、でもなんとなく笑っちゃう。
色んな人、動物たちが次々登場。
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こんな鳥が歌い、花が咲き、そして人々の向こうに広がるその当時、中世の風景。