青い壺(新装版)文春文庫
有吉佐和子著
この作品の紹介をしたテレビ番組を見て、読んでみたくなり本屋で探した。
1977年4月に刊行され、1980年に文庫化されたものの絶版になり本屋から姿を消したが、2011年に復刊されてからじわじわと売れ続けているという。
確かに、私が寄った本屋では平積みされていた最後の一冊だったので、思わず買えてよかったと思った。
それから、家で読み、電車の中で読み、次のページが、その次の話が待ち遠しいという感じで読み進んだ。
一話ごとに主人公となる人物はいるのだけれど、全話を通しての主人公はといえばどの話にも登場する『青い壺』なのだ。
壺は何も言わないし、積極的に出会う人物に働きかけることもしない、ただ、そこにいる。
作者はそこで何が起きたかを小説にして書きついでいく。
読者は何が起きた、これからどうなる、あっ、壺は、壺は!と心の中で探し回る。
そして、そこに描かれる人間の姿、生活に興味惹かれて読み進み、時間と場所を旅していくのである。
半世紀前に書かれた小説が、ついに累計60万部を超えました。
昭和も令和も変わらぬ人間模様、リアルな生活描写を
青い壺が絶妙に映し出す、絶対品質保証のエンタメ作。
シングルマザーの苦悩、すれ違う夫婦、
相続争いに悩む娘の言葉を聴いてドキリとする親…
人間の奥深く救うドロドロした心理を
小気味よく、鮮やかに描き出す絶品の13話の中には
あなたの知っている人が必ずいます。
「誰かと語り合いたくなる」—-
壺にハマる人、ますます増えています!~文藝春秋BOOKSより