人との出会いも然り、本との出会いもまた然り・・・などつらつら、いや実感している昨今である。
夏葉社のもう一つのレーベル「岬書店」から刊行された「絵本のなかへ帰る」もその一冊、幸せな出会い。
長野県茅野市にある今井書店の2代目店主である著者の高村志保さんはこの本の中で27冊の絵本を紹介し、
そしてその一冊一冊に子どものころの思い出、家族のこと、絵本を通してつながっていく過去、現在、そして未来のことを語り紡いでいく。
絵本の名前がそのまま目次となり、まずその本の名前を眺めるだけで楽しくなる。
27冊目に登場する絵本は「とうだい」(福音館書店:斉藤倫 文/小池アミイゴ 絵)。
その最後に記された「私にとって絵本は帰る場所だ。灯台だ。・・・」というきっぱりした言葉に深く共感した。
私には親から絵本を読んでもらったことより、息子に、というか息子と読んだ絵本のことをこの本を読みながら思い出していた。
昔お気に入りだった昔話の絵本を親がみんないとこに譲ってしまったことが残念で残念でならなかった思いを引きずっていたので、息子と読んだ絵本は大事にとってある。
あまりに何度も読んでぼろぼろになってしまったものは、それはそれでいとおしく、言葉の繰り返しなど今でも懐かしく思い出される。
そして時に手に取り、読んでいる。
まさに、私にとっても絵本は暗い航路を照らす灯台なのだと思う。