2022年/88分/ポーランド・イタリア合作
原題:EO
監督:イエジー・スコリモフスキ
出演:サンドル・ジマルスカ(カサンドラ)、ロレンツォ・ズルゾロ(ヴィトー)、マテウシュ・コシチュキェビチ(マテオ)、イザベル・ユペール(伯爵夫人)
ストーリー:愁いを帯びたまなざしと溢れる好奇心を持つ灰色のロバ・EOは、心優しい女性カサンドラと共にサーカスで幸せに暮らしていた。しかしサーカス団を離れることを余儀なくされ、ポーランドからイタリアへと放浪の旅に出る。その道中で遭遇したサッカーチームや若いイタリア人司祭、伯爵未亡人らさまざまな善人や悪人との出会いを通し、EOは人間社会の温かさや不条理さを経験していく。
酷暑の続く今夏、あまりの暑さに”映画館へ行きたしと思へども 映画館はあまりに遠し・・”
ほんとは近場の映画館しか行かないくせに、外に一歩出ると真っ白にかっと照りつける太陽に気持ちが萎えていた。
しかし、この『EO』は友人からのお勧め作品だったので、川越スカラ座でこの夏公開されたので元気に出かけた。
ロバのEOがのんびり旅するロードムービー、という作品かなと思って出かけたのだが、まるで違っていた。
確かにEOの黒々とした大きな目を通して世界が映し出され、いつの間にかその目に魅入られ、その目になってしまって一緒に旅をしていた。
旅というとそこに何かを期待させるが、旅の間ずうっと悲しみが通奏低音のように鳴っているのに気付かされて苦しくなる。
壮大な映像詩、そして流れる音楽にこんなにも心が揺り動かされるかとその力に圧倒された。