ヴァイオリン日記

オーストラリア・メルボルンでヴァイオリン弾きをしてます。日常生活で感じたこと、経験した事、きままに更新しています。

偉大なストリートミュージシャン

2007年04月10日 | ひとりごと
アメリカのヴァイオリニスト、ジョシュア・ベルが
ワシントンDCの地下鉄のある駅でストリートミュージシャンとして
約40分演奏したという記事を読みました。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/04/04/AR2007040401721.html
(英語の記事ですが興味のある方はどうぞ)
私もプラハで彼のコンサートに行ったことがあります。
チケットはいい値段でしたが、ホールはほぼ満席でした。
彼のストラディヴァリウスと甘いマスク、そして彼の奏でる音楽に
誰もが酔いしれ、演奏終了後には大歓声がありました。

その彼が、地下鉄の駅で弾き、どれくらいの人を集めたでしょう。
40分間で彼が集めたお金は32ドルでした。
約1100人が彼の前を素通りし足を止めた人はわずか数人でした。

彼の演奏はあきらかに美しくその質も一流のものです。
そのレベルに気づきわずかでも足を止めて聞いた人は
数えるほどしかいませんでした。

何かを急いでいる時、考えている時には
私たちの美に対するアンテナは働きにくいのですね。
そして美に対する私たちの価値観は
本当に曖昧なものだと認識させられますね。

コンサートでは数百万を稼ぐその音色にも
地下鉄の構内では、32ドル。。。
なんという皮肉でしょう。

それにしても、私もその場に居合わせたかったです。
そしてこういう事に付き合ってくれたジョシュア・ベルも
素敵な人だなあと感心してしまいました。