ヴァイオリン日記

オーストラリア・メルボルンでヴァイオリン弾きをしてます。日常生活で感じたこと、経験した事、きままに更新しています。

伝えるという事

2005年08月30日 | ひとりごと
私は生徒にも、家族にも、友達にも、
私を必要としてくれる人々には、
私もあなたがいてくれて嬉しいと、大切に思うと、
できるだけ素直に、伝えたいと思う。
そのために生まれた言葉はとても美しい。
確かな感情がそこにあるからだ。

自分に余裕がない時は、
相手の気持ちがわからなかったり、
素直に伝えられなかったりする。

自分が辛い時は、
その辛さを大切な人に伝えればいい。
きっと、楽になる。

大切な人を傷つけないように、
大切な人を失わないように、
自分も大切にしたい。





相性

2005年08月29日 | 演奏について
室内楽をやる上で大切なものがある。
相性だ。

音の相性、性格の相性、音楽性の相性、技術的な相性、好みの相性。。。
時々、室内楽を組む事を結婚にたとえられるが、
室内楽だけでなく、グループで活動すると言う事は、
それなりの相性が必要だ。

気の合う仲間だからこそ、
お互いの意見や指摘を言い合う事ができる。
それを尊重できる柔軟性をもっていたい。




自信

2005年08月27日 | 教えること
できるだけレッスン中、生徒の自信をなくさないよう、
言葉使いに、気をつける。

「これは簡単だから、大丈夫。」なんて事は言わないようにする。
万が一、簡単なはずのそれができなかったら、
生徒はどう思うだろう。

逆に、

「難しいかもしれないけど、できると思う。」
難しいその課題ができたら、きっと、生徒の自信につながるだろう。

自信はヴァイオリンだけでなく、生きていく上で必要不可欠なものだ。

失敗を恐れず、やりたいことができる。
人の目や評価もそれほど気にならず、
人に優しくできる。人との関係を大切にできる。

親や教師の一言で子供は傷つく事がある。
その傷を深くさせないように気をつけたいものだ。



松脂

2005年08月25日 | ひとりごと
ギリシャ料理を食べた。
日本では、あまり馴染みのない料理だが、
メルボルンでは、ギリシャ料理のレストランが非常に多い。


私の印象に残ったのは、ギリシャの伝統的なワイン
<レツィーナ>だ。
松脂が入ってるワインだ。

ご存知の通り、松脂はヴァイオリンの弓に塗るものである。

なので、私は小さい頃から、松脂の匂いを知っている。 

そのワインを飲んだ時、松脂の香りだとわかった。

松脂を食べた事はなかったのに、
松脂の味だと判断できたのは、不思議なかんじがした。
味覚と臭覚は、近いのかもしれない。

松脂の香りのするワイン<レツィーナ>は
私にヴァイオリンの味覚を想像させた。

恋と愛

2005年08月23日 | ひとりごと
徐々に花が咲き始めている。春も、もうすぐだ。

今日、それらの花を見て、私が子供だった頃、
「恋と愛の差ってなーに?」と
母に質問した事を、思い出した。

今、考えるとはずかしい質問だが、
母は少し考えて、こう答えた。
「例えば、崖っぷちにとってもきれいなお花が咲いているとしましょう。
そのお花を摘んで、お家で毎日、眺める事。これは、恋です。
愛というのは、毎日毎日、崖っぷちまお水をあげに行き、大切に育てる事。」

思春期の子供は色々、哲学的な事を考える。
特に音楽をやっている感性の豊かな子ほど、そういった事に悩む。

私もそうだった。

残念ながら、最近はそういった事を考えなくなってしまったが、
いつまでも、そういった質問をされる人間でいたいと思う。


タップダンス

2005年08月22日 | ひとりごと
先日、家の近くのジャズバーに行った。
入場料が結構するので、
私は、素人がセッションをしている土曜の5時から行った。

そこには3歳から9歳くらいの子供達が、8人ほど騒いでいた。
日本では、ジャズバーに子供達がいるなんて、考えられないので、
ちょっとびっくりした。

セッションが始まり、皆がのってきた頃、
一人の男の子(8歳くらい)が客席でタップダンスを始めた。
その音楽に合わせて、複雑なリズムをアドリブでステップしている。
なんと、その子のソロが終わると、また次から次へと
子供達がタップダンスをし始めた。
それが、すばらしくリズム感がいいので、
観客も興奮していた。

そこにいた子供達は多分タップダンスのレッスンを受けている
生徒たちだろう。
それにしても、みんな本当に楽しそうにしているので、
こっちも楽しく見学させてもらった。

観客は演奏家の気持ちと一体化する。
演奏家が楽しければ、観客も同じように感じる。

子供達に大切な事を教わった日であった。


あがり症

2005年08月21日 | 教えること
本番は緊張するものである。

どんな演奏家でも緊張はするものだが、
あがってしまって曲を忘れるというのは、辛い。

準備不足による不安、他人の目が気になる、過去の失敗によるトラウマ、
ようは、自信がない状態によくあらわれる。

準備不足による不安がある場合、
次回からは、よく計画して、不安にならないよう練習をするしかない。
自分の許容量(レベル)にあった曲を
選ぶ事も重要だと思う。。難しい曲に不安はつきものだ。


他人の目が気になる場合、他人と比較する癖を取り除く事。
まじめな人は特に人の目が気になるようだ。
上手に弾こうと思うより、自分の演奏を楽しんでほしいと思う。

過去のトラウマはイメージトレーニングによって、解消する。
自分が成功したイメージを想像する。
以前失敗した箇所をイメージの中で何度も成功させる。

集中するには適度なリラックスが必要だ。
私の知り合いではヨガなどで呼吸法を勉強している人もいる。

どんな演奏家でも、緊張はするものだ。
自信がある人の緊張は、集中力をともなう。
集中力をともなう演奏をするために、
普段からの精神コントロールが大切だ。






オーディション

2005年08月19日 | ひとりごと
アメリカのオーケストラのオーディションは、
ステージにはカーテンがあり、審査委員は誰が弾いているのか
全くわからない。

ステージ上でヒールの音がすると、
女の演奏家だとわかってしまうので、
床には絨毯が敷いてある。
弾く順番も、エントリーした順番で、
審査員は受験者の履歴などは一切、知らない(?)

だいたい、2次試験まである。

もちろん、シカゴやニューヨーク、サンフランシスコなど
超一流オケのオーディションでは募集がかかっても、
そのオーディションに御呼ばれされるほどの履歴とコネも必要になるが。

オケ奏者に求められるものは、正確なテクニックと柔軟性だ。
ソロが上手くても、オケにむかない演奏家もいる。
指揮者が意味することを理解し、すぐに反応できるか。
楽譜に書かれている事を忠実に表現できるか。

オケに所属すると言う事は、演奏家にとっては、
安定した生活をおくれるという利点がある。





メルボルンのコーヒー

2005年08月17日 | ひとりごと
メルボルンっ子はコーヒー好きだ。
街中にありとあらゆるスタイルのカフェが軒を並べている。
イタリア人系の移民が多く、その影響だと思われる。

うちの近くのあるカフェでカフェラッテをオーダーすると
ミルクの泡で書かれた、すばらしい絵が、コーヒーに浮かんでいる。
とても芸術的だ。
たった2色(白と茶色)で奥深い表情の女の人が
コーヒーに浮かんでいるので、飲むのがもったいないくらいだ。

視覚と味覚、両方で楽しませてくれるそのカフェは
いつも、たくさんのお客で賑わっている。







集中力

2005年08月16日 | 演奏について
東大卒のヴァイオリニストがいる。
受験期に、両親から
「東大に現役で入れたら、好きな事をしてよい。ヴァイオリンも続けてよい。」
と言われ、必死に勉強し、見事現役合格。
その後、ヴァイオリンを続けながら、卒業。
今は、ありとあらゆるエリート就職を蹴っ飛ばし、
ヴァイオリンと共に生活をしている。

まれに、こういう人物が存在する。
なんでも、<できる>のだ。
成績が良いのに「全然べんきょうしてないよー」と言うタイプだ。

何が違うのか?
彼らは効率的に練習する(勉強する)方法をもともと知っているに違いない。
あとは、強靭な集中力だろう。

もともと合理的な脳の使い方を知っている人はさておき、
集中力は訓練でアップするらしい。
イメージトレーニングもその一つ。
残像法やら色々あるらしいので、試してみたい。

何時間も練習してものんべんだらりするほど意味のないものはない。
変な手癖がつくし、慣れによって興味も薄れる。
逆効果だ。

効率よく練習するには、細かい目標をたくさんたてるといいだろう。

無駄な努力は避けたいものだ。



 

ヴァイオリン界の習慣

2005年08月15日 | ひとりごと
日本では、私は私立の付属音楽高校に通っていたが、
保護者会で担任の先生から
「レッスンの先生には、必ずお中元とお歳暮を忘れずに」
という話があったと、母が言っていた。
しかも、金額や物の提示もあったという。

生徒を平等にするため、同じ事をやらせるという
学校側の配慮だったのだろう。

それにしても、日本の習慣では
直接お金を包むという事も良くある。
結婚式、お葬式、お年玉・・・

母校では、卒業時にお世話になったレッスンの先生に
何十万も包む生徒もいた。
そういった贈り物をされる先生方はもちろん
日本の音楽界に影響力のあるかたばかりだ。
色々な思いを込めて。。。

私が留学していたプラハでは、もっと素朴だった。
私が、プラハを去るとき、
恩師は、彼にそっくりな人形をくれた。
その人形を見たら,先生の言った諸注意を思い出すようにと。。
私はクリスマス前という事で、
日本の食器と少しだけ高価なシャンパンを
プレゼントした。とても、喜んでいただいた。

国によってこうも、習慣が違うとは。。
習慣は文化から生まれるものがほとんとだ。












2005年08月14日 | ひとりごと
一日のなかに四季があるといわれるくらい、
メルボルンの天候は変わりやすい。

夕方に降る雨は、通り雨が多く、
ザーッと降っては、からっと晴れる。
私は、その夕方に降る雨が好きだ。

その後、虹が見える事が多いからだ。
メルボルンは空気がきれいなのか、
子供の頃、絵本で見たような橋のような大きな虹が現れる。
 
虹のふもとには宝の山があるという。
あの、カラフルな美しい色は宝石の輝きだと
昔の人は思ったのかも。。。





感性

2005年08月13日 | 演奏について
音楽や絵画、芸術と呼ばれるものをするにあたって
どうしても必要なものがある。
それは、感性だ。
美しいものを聴いて又は見て、それを心から美しいと感じられる心。

では、感性とはどのようにして育てられるのか。

それは、情報の比較から生まれると私は思う。
ある花を見て、それが美しいと感じるか、そうでないのかは、
過去に見た花との比較によって生まれる。
情報が多ければ多いほど、美しいものに敏感になれる。
逆に情報が少なければ、比較もできず、印象にも残らない。
 
ようは、質の良い情報をたくさん蓄える事だ。
感性が豊かなほど、人生は面白くなると思う。




プラハ

2005年08月11日 | ひとりごと
私はチェコのプラハに4年半留学していた。

プラハは本当に美しい街で、
まるで古い絵の中にいるような雰囲気が印象的な街だ。
街の中心にはモルダウ(ヴルタヴァ)川がゆうゆうと流れている。

初めて、その川の橋を渡った時、
かの有名なスメタナの交響詩<わが祖国から>のモルダウの旋律が流れてきた。
ここは、まさしく、スメタナが愛した
悲しき、オーストリア帝国だったんだと。

プラハは、長い間、他国に支配され、
母国語を話す事さえ、禁止されていた歴史を持つ。
スメタナの曲を聴くとチェコ人としての彼の祖国に対する深い愛着が、
ひしひしと伝わってくる。

さて、海外で生活していると、自然に祖国に愛着が湧いてくる。
メルボルンは今、真冬。
遠くで聞こえる盆踊りの音楽、セミの鳴き声、甲子園のサイレン、
蚊取り線香のにおい、花火大会、どれも私のお気に入りの日本の夏だ。

教師の責任

2005年08月10日 | 教えること
新しい生徒で、前の先生が貼ったであろう
指板のシールを以前、私が全て取ってしまった生徒のレッスンが
今日あった。
 
実はその時、その子はかなり、パニクっていた。
かなり、長い間シールに頼っていたので、
自分ではこれから、どこをおさえればいいのか
わからなくて不安だったのだろう。
目に涙も浮かべていた。

私も、そんな彼をみて、少し不安になった。
これで、彼が、ヴァイオリン嫌いになったら私の責任だし、
最初からフィンガリングを学びなおす事になっても、
かわいそうな気がした。

今日のレッスンで、彼は、見事シールなしの
指板でヴァイオリンを弾く事ができた。
少し、音程が高くなる傾向にあるが、
私が思ったよりも速かった。

教師は、ものを教える時、今の事だけを考えてはならない。

趣味で弾いているはずの子が、
いつか音大に行きたいというかもしれない。
責任をもって、教えてもらいたい。
だからといって、あまりのスパルタ教育で
音楽嫌いにさせてもならない。

いい教師とは、そのへんの加減を知っている。