ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

自己の探求

2009-03-12 23:22:31 | Weblog
中村元著、青土社刊。

人里離れたところではなく、社会の実生活の中にあって、
いかに生きるかを考え実践することが、現代の「公案」。
そして、「運命」は「宿命」ではなく、
現在あることじたいが、すでにたくさんの偶然の結果なのだから、
これから先にも、無数の偶然がある。
つまり、あらかじめ決められているものではないから、
「自由意志」によって、「行い」によって、いくらでも変わっていく。

中村先生は、仏教のもつよいところを、
現代の等身大の姿として、いつもわかりやすく教えてくれる。

この本は、西洋哲学との比較もあったので、
私のように西洋も東洋も中途半端な人間には、
知識不足のために難しく感じるところもあったけれど、
落ち着いた文章だったので、とてもゆったりした気持ちになった。

また、私は昔から、阿弥陀仏の絵を見ると
キリスト教を思い出すことが多かったのだけど、
その共通する「救済」という側面を、わかりやすく整理してくれていた。

1ヶ月に1回はやってくる仏教熱。
このところ精神的にかなりネガティブなので、そろそろ何か経典を読んでみるとするか。
以前読んだ「華厳経」はよかった。
もっと体系的に学べばいいのだろうけど、どうも乱読。
もとより仏教哲学を考え抜くほど、頭のメモリもCPUもないし、
性格も興味も、あっちこっちに飛ぶ方だから、このままでしょうがないか。

読書は楽しいことが一番。と、自己弁護。