ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

イグアナの娘

2009-03-31 23:40:04 | Weblog
萩尾望都、小学館文庫。

先日『母は娘の人生を支配する』を読んで、その中で紹介されていたので、
友人からさっそく借りた。

私は一人娘なので、よくわからないけれど、
姉妹のいる友人からは、よく「母は妹のほうが好きみたいだ」とか
「姉のほうがかわいいらしい」と聞く。
当人だけの言葉を聞くと、本当にそう信じられてくる。

本当にそんなことがあるのか???
と思うけれど、頻繁に耳にするから、実際にあるのだろう。
ただし、姉と妹、両方と友だちである場合、
得てして、姉は「妹のほうがかわいがられている」と言うし、
妹は「なにかにつけて姉のわがままは通っている」のように、
お互いがお互いを「ずるい」と思っているみたいなので摩訶不思議だ。

特に、母プラス姉妹という図式は、濃い。

私の母には妹がいるが、その叔母との付き合いが、私は一番難しいと感じている。
なぜなら、姉である母との確執を、私にまで敷衍してくるからだ。
その一番の理由は、私と母の顔や声、しぐさが似ているから、
私を見ていると、どうもモヤモヤくるということらしい。
これを「とばっちり」と言う。

でも、こういったとばっちりは意外と多い。

人は、知らず知らずのうちに、周囲の人の影響を受けて似てしまうことがある。
それが、母親なら当然。
そして、自己嫌悪から、自分に似ているものを憎んでしまうのも当然。
ナルシストが、歪んで出ると、そんな感じになってしまう。

私は、母に似ている部分があるけど、というか無理して似せていた部分もあるけど、
以前父が、「おまえは母親が一番コンプレックスに感じていたことを
まったく何とも思っていない。だから全然違う人間だよ」と言ってくれて、
救われたことがある。

読んだ後、思っていたほどには暗くならなかった。