湘南ゆるガシ日和 ・・・急がず、休まず

湘南でゆるゆら暮らしココロ赴く先へガシガシ出かけるライター山秋真が更新。updated by Shin Yamaaki

ドキュメント3.11:「レベル7 福島原発の1週間」&わたしの1週間/福島原発メルトダウン報道

2011-05-16 23:31:44 | 原子力緊急事態宣言の下で(2011年3月~)

5月11日からはじまった東京新聞の連載記事、
「レベル7 第一部 福島原発の1週間」がおもしろい。
福島原発で何が起きたのか、2011年3月11日からの最初の1週間を
当事者の証言などから検証しようというもの。

残念ながらウェブでは読めないみたいなので、
見出しと、各日の出来事を時系列にまとめたリストの中身だけ
以下にご紹介。
(5月17日以降の連載分については順次加筆予定)。

*** *** ***
「決死隊」被ばく 危機一髪―設計限度超えた圧力
【3月11日】
 午後2時46分 地震発生。運転中の1~3号機が自動停止。
   3時42分 東電が1~3号機で全交流電下3んを喪失したと国に通報。
   7時03分 菅首相が原子力緊急事態を宣言。
     原子力災害対策本部を設置。
   9時23分 菅首相が第一原発の3キロ圏内に避難指示、
         10キロ圏内に屋内退避指示。
【12日】
 午前1時30分 海江田経産相が1号機のベントを急ぐよう東電に指示。
   2時30分 1号機の格納容器内圧力が840キロパスカルに。
   5時44分 菅首相が避難指示を福島第一原発の10キロ圏内に拡大。
   6時50分 海江田経産相が1号機のベントを東電に命令。
   7時11分 菅首相が陸自ヘリで第一原発に到着。
 午後2時20分 1号機のベントで放射性物質を含む蒸気を放出。
                     (5月11日東京新聞一面)

「こんなことあるのか」 電源喪失―津波の浸水想定せず
【3月11日】 3月11日午後2時46分~午後4時54分
 午後2時46分 地震発生。運転中の1~3号機が自動停止。
   2時56分 菅首相が参院決算委員会から官邸に戻る。
   3時14分 国が地震に関する緊急災害対策本部を設置。
   3時27分 福島第一原発に高さ4メートルの津波第1波が到達。
   3時30分 東電の武藤副社長が福島に向けヘリで出発。
   3時35分 津波の第2波が第一原発発敷地内に侵入、
         7.5メートルまで測れる波高計が壊れる。
   3時42分 東電が1~3号機で全交流電源を喪失したと国に通報。
   4時36分 国が第一原発事故に関する官邸対策室を設置。
   4時45分 東電が1,2号機で
         緊急炉心冷却装置による注水ができないと国に通報。
   4時54分 菅首相が記者会見。
                      (5月12日東京新聞一面)

遅れた緊急事態宣言 冷却不能―電源車も近づけず
【3月11日】 3月11日午後2時46分~午後10時00分
 午後2府46分 地震発生。運転中の1~3号機が自動停止。
   3時42分 1~3号機で全交流電源を喪失したと東電が国に通報。
   4時45分 1,2号機で緊急炉心冷却装置による注水ができないと
         東電が国に通報。
   6時12分 官邸で与野党党首会談。
   7時03分 首相が原子力緊急事態を宣言。
         原子力災害対策本部を設置。
   7時45分 枝の官房長官が記者会見。
   9時過ぎ  東北電力の電源車1台が福島第一原発に到着。
   9時55分 2号機の運転状態が不明で原子炉の水位が確認できないと
         東電が発表。
  10時00分 保安院が2号機の燃料溶融は12日午前0時50分などと予想。
                       (5月13日東京新聞一面)

危険予測 公開せず 水素爆発―20K圏内避難に拡大
【3月12日】 3月12日午前1時30分~午後6時25分
 午前1時30分 海江田経産相が1号機のベントを急ぐよう東電に指示。
   5時44分 菅首相が避難指示を第一原発の10キロ圏内に拡大。
   6時50分 海江田経産省が1号機のベントを東電に命令。
 午後1時45分 保安院が記者会見で炉心溶融に言及。
   2時20分 1号機のベントで放射性物質を含む蒸気を放出。
   3時30分 保安院が記者会見でベント実施を説明。
   3時36分 1号機で水素爆発。
   4時49分 保安院がSPEEDIで水素爆発による影響を確認。
   5時45分 枝野官房長官が記者会見。
   6時25分 菅首相が避難指示を第一原発の20キロ圏内に拡大。
                      (5月14日東京新聞一面)

ダムの水 使えない 海水注入―切り替えに手間取る
【3月13日】 3月13日午前2時44分~午後11時30分
 午前2時44分 3号機で原子炉への注水不能に。
   5時58分 東電が3号機で緊急炉心冷却装置による注水が
         できないと国に通報。
   8時 9分 枝野官房長官が記者会見。
   8時41分 3号機でベントを開始。
  11時 2分 枝野官房長官が記者会見。
 午後1時12分 3号機の原子炉に消火用配管から海水注入を開始。
   4時51分 枝野官房長官が記者会見。
  11時30分 保安院が記者会見。
                       (5月15日東京新聞一面)

爆発の危険 伝わらず 黒煙高々―無防備の自衛隊員ら負傷
【3月14日】 3月14日午前1時10分~11時50分
 午前1時10分 海水をためていた立て杭の水位が低下し、
         3号機への海水注入を中断。
   3時20分 3号機への海水注入を再開。
   6時50分 3号機の格納容器圧力が設計上の最高圧力を超え
         530キロパスカルに。
   7時55分 東電が3号機の格納容器圧力が異常上昇したと国に通報。
  11時 1分 3号機で水素爆発。
  11時50分 3号機の爆発で東電は
         格納容器の健全性が保たれていると発表。
                       (5月16日東京新聞一面)

東電に閣僚「進駐」 統合本部―首相 情報遅れに不信感
3月14日午後1時25分~15日午前5時35分
【3月14日】 
 午後1時25分 東電が2号機で原子炉の冷却機能を喪失したと国に通報。
   4時34分 2号機の原子炉に海水注入を開始。
   6時22分 2号機の原子炉で核燃料棒が水からすべて露出。
  11時39分 東電が2号機で格納容器圧力が異常上昇したと国に通報。
【3月15日】 
 午前4時17分 東電の清水社長が官邸に入る。
   5時35分 菅首相が東電本店に入り、統合本部を設置。 
                       (5月17日東京新聞一面)

「大したことない」 汚染拡散―影響小さく見せようと腐心

【3月15日】3月15日午前6時10分~11時07分
 午前6時10分 2号機の圧力抑制室付近で爆発音。
   8時25分 2号機の原子炉建屋5階付近から白煙を確認。
   9時00分 福島第一原発の正門付近で毎時12ミリシーベルトを測定。
  10時59分 福島県大熊町の原子力災害対策センターに退避命令、
         福島市の県庁に移る。
  11時00分 菅首相が第一原発から20~30キロ圏内に屋内退避を指示。
  11時07分 枝野官房長官が記者会見。
                       (5月19日東京新聞一面)

無警戒4号機も爆発 海水投下―米意識「懸命」アピール
3月15日午前6時14分~17日午前10時22分
【3月15日】
 午前6時14分 3号機原子炉建屋で煙が発生、
         4号機原子炉建屋で壁の破損を確認。
   9時38分 4号機原子炉建屋で火災発生を確認。
  10時22分 3号機付近で毎時400㍉シーベルトの放射線量を測定。
【3月16日】
 午前5時45分 4号機原子炉建屋で再び火災発生を確認。
   8時34分 3号機原子炉建屋から白煙が大きく噴出。
【3月17日】
 午前9時48分 自衛隊ヘリが3号機の
         使用済み核燃料プールに海水投下を開始。
  10時22分 日米首脳電話会談。
                       (5月20日東京新聞一面)

メンツ争いの先陣 大量放水―当面の危機は回避
3月17日午後7時5分~19日午前0時30分
【3月17日】
 午後7時05分 警視庁の放水車が3号機の使用済み核燃料プールに放水。
   7時35分 自衛隊の消防車が3号機プールに放水。
【3月18日】
 午後2時00分 自衛隊の消防車が3号機プールに放水。
   2時42分 東電が米軍の放水車で3号機プールに放水。
   5時50分 保安院が1~3号機事故の国際評価尺度を
          暫定でレベル5と発表。
【3月19日】
 午前0時30分 東京消防庁の屈折放水塔車が3号機プールに放水。
          連続放水が可能に。
                      (5月22日東京新聞一面)
*** *** ***

これが、福島原発をすすめてきた当事者である
東電と国にとっての1週間。

その同じ時期が、祝島にいたわたしにとってどんなだったか?
当時、首都圏に住むきょうだいへ送ったメールから、辿ってみた。

3月11日、北関東に住む妹チロルの安否確認がとれなかったので
まずそこからはじまり、
12日朝に停電が復旧して連絡がとれ安否を確認できた後は、
幼児連れで妊娠中の妹の安全をいかに確保するかに焦点が移った。
(なお固有名詞は仮名に変更している)

*** *** ***
【3/11】
21pm頃
チロルと連絡とれたらメールください。
北ほど地震大変だったみたいだし、福島原発もかなりヤバそう
(核燃料に冷却水を送る電源がおちてるから)で、心配しています。

【3/12】
午前
福島第二原発、制御室(?)が100度越えたと産経新聞。
制御不能の状況と思われます。本当に爆発するかも。
外に出ないで、昆布たべて。
子どもは、交通がいきてれば関西くらいまで逃げたらと思うけど、
地震で交通麻痺で無理かなあ。水と食糧はためておいてね。

14:02
(放射性物質が)漏れてるのは確実です。
圧力容器の圧が下がらないから
経済産業大臣命令で弁を開けて蒸気を放出しています。
放射性物質を含む蒸気ですが、爆発を避けるために苦肉の策です。
それ以外にも漏れてるようですが、どこから漏れてるか不明と
テレビでは言ってました。

14:22
核燃料がとけだしたようす。
スリーマイル島と同じメルトダウン、大事故です。
(首都圏は福島原発から)多少は距離があるからいいけど、
状況がわかってる人はいないし発表は後手だし、外出しないにこしたことはない。
飲み水を確保して。風向きにも注意、

14:28
福島原発、これはメルトダウンだね。最悪の展開。
1号基は水蒸気爆発かもだし、大事故だ

15pm
「現在は核燃料メルティング中、全部とけたらメルトダウン、
そうなると被害は桁違いになる。
世界初めて四基同時メルトダウンの可能性があり、
そうなると更に酷い事態に。
チロルの町で放射性物質を検知してる人か施設はないですか?
風向きをみて、ヨウ素が検出されたら即避難開始したほうがいい」
と(原発に詳しい物理学者の)ライオン先生。

まずヨウ素、それからセシウム、ストロンチウムが検出されるそう。
ただ、幼児を抱えてることを思うと、風向きをみて、
風上のあいだに早めに移動したほうがいいようにも思います
とにかく東京まで逃げればいいとか。いま風向き調べます
風上のタイミングで連絡します

17pm
爆発のニュースで、ライオン先生に再連絡して相談しました。
「事態は深刻さをましています、あの時点で逃げたのは賢明でした、
とにかくそのまま東京まで逃げてください」とのこと。

17:29
とにかく早く逃げたほうがいいです。車で窓しめきって移動。
東京までトイレ休憩もなしで、おむつで、マスクにメガネもして、
肌は出さないで。
報道管制しかれてると思う、テレビは参考程度にとらえて。

17:35
「屋内にいたらいけません。慌てなくていいから、とにかく逃げなさい」
ライオン先生に「チロルがまだ移動開始できてなかったけど
どうするのがいいか」と聞いたら、そういう答えでした。
逃げて! ノッポさん(地震のあと帰宅難民状態だったチロルの連れ合い)
とは都内で合流してもいいんだから、子どもと胎児はより脆弱なんだから

18:29
外れてほしいけど、
世界に前例のない過去最悪の原発事故になるおそれありと思います。
杞憂ならいいけど。

19:52
「爆発は水素爆発の可能性が高い、
ホウサン水が到着というから、昨夜おさまったという核分裂が
再開した可能性もある、最悪で複数基同時メルトダウンの可能性も」と
ライオン先生。

【3/13】
08:25
原発震災のその後の状況ですが、
昨夜から事態好転にむけ懸命の努力が続いているのだろうとは思うものの、
残念ながら好転の兆しはまだみえない、と私は考えています。
冷却機能が回復し、核燃料を冷やすことができ、実際に核分裂が止まった、
ということが、すべての原子炉で確認されて初めて、
ひとまず安心していいと思います。

【3/14】
02:14
残念だけど危機は全然去ってない。
今の避難域は狭すぎるし、少なくとも、
こども、妊婦、高齢者、病人などは避難を開始するよう要請するのが、
東電と国の誠意だし責任だと私は思う。
ただ、それでも輪番停電にはプロパガンダのにおいを感じる

03:25
残念だけど、本当にメルトダウンまで至ってしまうかもしれない。
なんとか奇跡的にそれを回避できますようにと懸命に祈ってますが、
爆発もするかも。
チロルは都内にいますよね?

04:16
月曜(14日)朝、(都内から北関東の)自宅へチロル一家が帰ると聞きました。
なんでまた? 心から忠告させてもらいます。
いま帰るなんて(しかも妊婦と幼児が)正気とは思えません。
事態はまだ収束していません。
福島原発には原子炉が複数あり、いま危険な事態に陥っているのも複数なの。
その全てについて情報を出しているとは限りません。
国民がパニックに陥ることを避けたいがために、
小出しにしているのではと私は疑っています。
更に、既にそんな状況にありながら、余震もまだありうる。
だから、メルトダウンも爆発も回避できるか
まだ見えない状況が続いています。
現在の避難区域は相当限定していますが、
広域大地震の被害と重なってしまっているからと推測します
(避難先不足、移動困難等)。

【3/15】
09:05
報道みましたか? 福島第一原発二号機、
これまでと次元の違う事態に至ってしまったようですね。
メルトダウン→水蒸気爆発という最悪の展開に至る可能性が高まりました。
その場合、福島から首都圏に放射性物質が届くまで10-20時間
余裕があるそう。必要性の低い外出は控えるのがよいが、
生活物資の買いだしや水の蓄えなど必要なら、
いまのうちに早めにすませるといいと思います。
外出時の注意事項は忘れないように。
テレビで言及されませんが、マスクや手洗いは内部被爆しないためです。
体内に放射性物質が取り込まれる内部被爆は、
事故が収束してからも続いてしまうので、用心してください。
とはいえ、これは妊婦幼児ということを考慮した先手の対応です。
慌てる必要はありません、
ただ、落ち着いて事態の推移に注意はしていてください。

10:29
こども程(放射線の)影響を受けやすく、乳児、胎児がもっとも脆弱。

11:12
チロルとタツは、そのままどうぞすみやかに関西へ。
内部被爆対策に特に注意して。内部被爆については後程。

15:00
チロルとタツが新幹線の中ときき安堵しました。
共同通信によれば都内でヨウ素やセシウムを検出。
フランスの原子力安全規制当局ASNは、
今回の事故はスリーマイル事故を上回る放射性物質を放出した公算高く、
危機的状況は数週間にわたり続く恐れありとの見方を示しているようです。(ブルームバーグニュースより)
この事故は原子力事故の評価7段階のうち5か6に相当するだろう
という声も(ASNの委員長)。
私も同意見、複数機同時爆発になればそれ以上になるかも。
断っておきますが、これは、
予想される最悪の展開までには至ってない段階ですから。
原子力を見くびらず、慎重に、先手先手で落ち着いて行動しよう。

【3/17】
06:31
テレビではやっと内部ヒバクに言及しはじめたけど、
自然放射線と人口放射線は一緒くたにしたまま、
食物連鎖で生体濃縮されることや、
放射線がもたらす遺伝子損傷には閾値がないことも言わないで、
すぐに健康に影響があるレベルじゃない、とか言い続ける罪深さ。
そのとき平気でも時間をかけて健康をうしなっていくことや、
それとヒバクとの因果関係を証明するのが難しいからこそ怖いのに。

17:46
今日は茅ヶ崎でもヨウ素とセシウムを検出したそうだし、
核兵器の材料になるプルトニウムは誰でも持てる類のものではないから
試料がなく、モニタリングポストでも検出されない可能性が考えられますが、
プルサーマルの原発からも放射性物質が放出されてるから
プルトニウムも出てると思います。

*** *** ***

こうして振りかえってみると、
異様といえるほど楽観的すぎた感のあるテレビ報道の影響が大きくて、
「そうではなく、いま賢明な対応はこうだと思いますよ」ということを
専門家でもなく限られた知識しかもたない身で言わなきゃならないことが、
しかも緊急時で時間の制約もあったから余計、たいへんだった。

そしていま、
事故発生から2カ月経った5月12日になって
「核燃料の大半溶け圧力容器に穴 1号機、冷却に影響も」
http://www.asahi.com/national/update/0512/TKY201105120174.html
とか、翌13日には
「福島第1原発:1号機燃料棒の大半 圧力容器の底に」
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110513k0000m040139000c.html
とか報じられたけれど、
原発事故を報道する姿勢として、なんか違和感も禁じえない。

もちろん、
事実は事実として確認された時点で報道する必要もあるし
ようやくいま認めた事業者側の姿勢を問う必要もあるから、
それはそれとして行わなわければならないけれど、
まだ収束の目途もたたない原発事故について伝える
ということを考えると、何か大切なところが足りない気がする。

…で、それは何だろう?

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 祝島と上関と:見どころ満載... | トップ | 茶葉からセシウム:なぜ此処... »
最新の画像もっと見る

原子力緊急事態宣言の下で(2011年3月~)」カテゴリの最新記事