「泉」の像
本郷新
1959年(昭和34年)
この三人の女性像がさっぽろテレビ塔を背景に立つ風景は、札幌を象徴する
もののひとつとして親しまれています。
彫刻が設置されたのは今から64年前。テレビ塔が完成して2年後のことです。
大通公園に彫刻がほとんどないことを憂えた竹鶴政孝会長の発案のもとニッカ
ウヰスキーから寄贈されたものです。
制作を依頼されたのが、札幌で生まれ育ち、戦後日本を代表する彫刻家となっ
た本郷新(1905-1980)です。彼はウイスキー関係や胸像でなければという条件
で引き受けました。そこには、彫刻は個人のためではなく、社会と深く関わる
ものでなければならないという信念がありました。その強い思いは、後に全国
約80箇所に彼の彫刻が設置されることへとつながっていきます。
この「泉」の像にみられる踊り子が三者三様の身振りで伸びやかにつま先立ち
する姿からは、泉から水が沸き出るように、あるいは草木が生長するように、
大空へと上昇していく躍動的な力が感じられます。それは、その後、高度経済
成長期や冬季オリンピックを経て、札幌の街が発展していく様子を、この彫刻
はこの場所でずっと見守り続けてきたのです。
雪像彫刻 from 本郷新記念札幌彫刻美術館
「さっぽろ雪像彫刻展」、「New Eyes」など、地域に根差した美術を発信する
本郷新記念札幌彫刻美術館がセレクトした美術家が、芸術性と独創性あふれる
雪像彫刻を制作しました。
戦前から雪を素材とする野外彫刻に関心があった本郷新は、戦後の雪まつりの
開催を大いに称賛するとともに、地元彫刻家の参画による造形性の発展を夢見
ていました。
約半世紀の時を経て「泉」の像を背景に実現された、本郷の理想をご堪能くだ
さい。
風の遺跡
風が吹くことで浸食された景色。北海道内でも積もった雪が風雪にさらされて
縞模様になったものが見られるときがあり、それはとてもきれいなのでその様
子を雪像で表現しました。
清水宏晃(木工家)
つつむ
冬の寒さ、厳しさを象徴するような冷たい雪ですが、一方でその質感にはどこ
か温もりを湛えたようは優しさを感じます。その相反するような雪の表情を、
幾何学的で鋭利な稜線と空間を包み込むような形状に表現してみました。
熊谷文秀(造形作家)
未來
大地から伸び、広がる生命感を表現しました。旧字「來」は字の形が一本の麦
の実と根を表しています。未来を築くのはテクノロジー?いえ、たくましい生
のエネルギーとそれを大切にする心。雪に聞いた水の記憶の話です。
清水郁太郎(木工家)
何枚か撮ってくればよかったのだけど、この辺りに来た頃にはもう疲れ果てていて、
「泉の像」も取り忘れていたし、後悔が多い。
これだけの雪像を作っても、たった1週間で取り壊されるのはさびしいですね。
札幌駅から駅前通りを歩いて、西4丁目から西へ行き(一方通行)、11丁目から
戻ってきて、3丁目にたどり着いたところです。この先、1丁目まで歩きます。
なにしろ世界で一番寒いのが嫌いなので、雪まつりに行くなんて拷問のような
ものです。でもそれ以上にブログが好きなので頑張れます。
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