「願わくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ」
ソメイヨシノが散り始めました。
その桜吹雪を見ると、西行が詠んだ歌を思い出します。
西行は平安末期から鎌倉初期を生きた人物で、武士から僧侶となり、歌人としても名を遺しています。
大河ドラマの主人公である平清盛とは同い年で、北面武士(上皇直々の家臣)という武官のエリートコースにいた頃は、清盛と同僚でした。
さて、この西行にはいろいろなエピソードがあり、説話集まで作られたほどの人物です。
その一つに、『撰集抄』という説話集に収められた「西行於高野奥造人事」というお話があります。
簡単に言うと、反魂の術を使って人を造ったお話。 (以下あらすじ)
西行は高野山での修行中、先に山を降りていった修行仲間が恋しくなりました。
そして、鬼が白骨から人間を復元するという話を思い出し、捨てられていた白骨を集めてその秘術を実行します。
すると、術が完璧でなかったせいか、人の姿をしているものの、人の心がないものができてしまいました。
さて困った西行が、どうしたかというと……。
高野山の奥の人が来ないところに放置して逃げ帰りました、とさ。
コラコラコラコラッ!!(笑)
思わずツッコミを入れたくなるようなお話ですが、西行のエピソードにはこのような妙に人間臭いものが多いように感じます。
良くも悪くも…ですけどね。
史実かどうかは別として、こういうお話を知ってしまうと、散りゆく桜で思い出す美しくも儚げな歌を作った西行のイメージが、少しばかり変わったのではないでしょうか?
こちらも、良くも悪くも…でしょうか?(笑)