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去年、阿修羅像を見て「あしゅらって、お口は三つあるけど、おしりの穴はひとつだから、たいへんだね」という名言を残した甥っ子(8)は、先日、十一面観音像を見て絶句していた。
ちょっと品がないと思われた方には御免なさい。
でも私は、子供の感性は宝物だと思いました。
さて、甥っ子さんが絶句しながら見上げた十一面観音像。
その名の通り、11のお顔を持っている観音さまです。
11のお顔には、菩薩のお顔、怒りのお顔、牙を出すお顔、仏のお顔と様々あります。
それは、生きとし生けるすべての者に対応して、その者に合わせた表情で救いの手を伸ばすことを表しています。
しかし、11のお顔のうち、正面から見ると10面しか数えることができません。
残りの1面は、普段は決して拝見することのできない後頭部にあるのですが、そのお顔がどんな表情をされているのかご存知でしょうか?
答えは……
大爆笑です(笑)
このお顔は、【暴悪大笑面】と言います。
「人の悪行を蔑んだ笑い」
「悔い改めた者に対する泣き笑い」
「悪世を笑い飛ばす」
このように、いろんな説明がされていますが、確かなものはないそうです。
もし観音さまが現れて仏法を説いてくださったとして、その場ではそのお言葉を受け止める…いや、受け止めた振りをするかもしれません。
そして、観音さまが去ろうと背を向けたら、そんな振りをやめて気を抜いてしまうかも。
その途端、それくらいお見通しだと、私の浅はかさを背面の顔に笑われたとしたら…。
もう適うまいとお手上げして、すべてをお任せてしまう気持ちになってしまいます。
観音さまが笑っているのか、嗤っているのかは分かりません。
ただ、観音さまが笑っているんじゃなくて、怒っているんでもなくて、慈悲深い顔をしているんでもなくて。
私たちが笑われているんであって、怒られているんであって、深い慈悲を向けられているんだということ。
その違いは、とっても大きくて、とっても有り難いことと受け止めました。
ところで、このお顔を甥っ子さんが見たら、どんなリアクションが返ってくるのでしょうか。
考えたらワクワクしました。(笑)