境内をウロウロしていると、住職がきて上を指差しました。
ソメイヨシノの幹をよく見ると…
穴が開いています。
これはキツツキが開けた穴です。
住職が言うには、この穴は古いもので、今はもっと上のほうを穴だらけにしているそうです。
キツツキは「啄木鳥」と書きます。
「木を啄ばむ(ついばむ)鳥」と読みますが、この穴を見ると啄ばむなんてカワイイもんじゃありませんよねぇ。
そういえば、以前どこかで聞いたご法話に、キツツキの例えがありました。
キツツキは、木に穴を開けられるほど頑丈なクチバシがあるから、強そうなイメージがある。
カラスも、ビニールを破ってゴミの中からエサを見つけるから、賢そうなイメージがある。
でも、どんなに強そうでも、どんなに賢そうでも、自分が網に引っ掛かってしまうと、そこから脱出することはできない。
人間も同じで、他者の愚かさを蔑み、自らの賢さを疑わずに断じるが、実際には自分の無知に気づかないという、どうしようもない存在なのだ。
私たちは皆、無知の網に引っ掛かっている。
脱することはできなくても、無知という網にとらわれているということを、自覚するのは大事なこと。
無知とは目が閉じているような状態です。
だからこそ、目を閉じていても感じることのできる光の大切さを思います。
そして、それが阿弥陀さまの光であり、その光が照らす進むべき方向へと足を踏み出していきたいものです。