お酒が届く

脚立の上で作業をしていると携帯が鳴った。
普段は作業中の場合、鳴っても電源を切ってしまうのですが、その時は出てしまった。店からで『終わったら近くの○○さんの所へ寄って』と。
このお客様は用件を聞いても言わないお客様で『とにかく来てくれ』というお客様。　たまたま近くで作業だったので、その足で○○さん宅へ向った。
依頼内容は、ＴＶを買い換えたいという事たっだ。　
このブログをご覧の多くの方は、「ＴＶくらい店に行って買ったらどうだ！」それをわざわざ店の人間を呼んで、しかも用件も言わないで。と思うかも知れませんね。

お客様は確かに、高齢で車椅子なの出歩く事は不自由している。でも旦那さんは健常なので、よく車椅子を押して買物もしている。

『ＴＶを買い換えたい』というお客様に対し、
『何で買い換えたいの？』と商人としてなんとも消極的な質問をしてしまった。
どうも　地デジ　というものを見てみたかったようだ。　それと・・本人の前じゃモチロン言いませんし、この場で言うのも失礼と思いますが、本人は余生を計算されたようです。地デジ完全移行まで、あと３年半、、、頭は達者なお客様ですから恐らく今見ておかなければ・・・そう思ったのでしょう。

ここで問題がありました。　このお客様は気難しい所があり、使い勝手をとても気にする人です。　デジタルＴＶ特有のレスポンスの悪さとリモコンのボタンの数が多いデジタルＴＶ、果たして満足してくれるだろうか？　
『任せるから手ごろなのを持って来てくれ』とはいうもののその点が不安になりました。　
そこで『おばあちゃん、車に乗っかって店まで行きましょう！』と誘い車椅子を作業車に乗せ、おじいちゃんも乗せて店まで来てもらいました。　

各社ＴＶのリモコンを触らせて、使い勝手を試してもらいました。　
ボタンの数や配置、反応具合などをよく確認してもらい機種を決定してもらいました。納品は３０分後。

納得した買物が出来て気分がよかったのか、帰りはおじいちゃんが車椅子を押して帰って行きました。　

納品を終えて店に戻ると、お客様から、お酒が届いていました。
途中、酒屋に寄って頼んだようです。

よっぽど嬉しかったのでしょう。いい仕事したなぁと実感しました。

用件を言わないで『来てくれ』というのは、もしかして試されているのかも
知れません。『ＴＶを買いたいから来てくれ』といえば何処でもすぐ行くと
思いますが『とにかく来てくれ』じゃ　そう早くは行けません。
以前はリモコンの電池を交換するだけに訪問したこともありました。

困ったとき、この店は本当に対応してくれるのだろうか？
都合のいい事ばかり言って、商品を売るだけの店じゃないだろうか？
恐らくそう試されたのかも知れません。　

人生の大先輩から戴いた、お酒を今宵は飲む事にしよう。