エアコンの隠蔽配管による施工は業者から嫌われています。 その一つに水漏れのリスクがあるからです。
新築時、自分で配管を埋設するならどういう経路で排水するか考えて埋設するのでその責任は全て自分にあるから良いのだけど。
エアコンの入れ替え工事で隠ぺい配管(埋設配管)だと時々排水場所が分からず、リスクを負いながら施工する事があります。
そんな理由から嫌う業者もいます。
今回のご依頼は、隠ぺい配管で水漏れを起こしているので対処して欲しいというご依頼でした。
御依頼者はネットで検索してドレン経路の汚れと判断してエアコンクリーニングを頼んだそうです。
でも再び水漏れ。
ここがハウスクリーニング業者と施工も修理を行う電器屋の違いだと思います。
(もし、この件でクリーニングを頼まれたら、施工ミスを指摘してクリーニングは行いません)
調査をすると、どうも取り付け方のミスのようです。
エアコンの水が流れる経路で排水ホースが壁の中に入るまで勾配がとれていない場所がありました。 水は高い所から低い所に流れますからね。

室内機の左端から出たホースは室内機の真裏を通り、右の壁穴へ通じています。

室内機右裏に穴があり、壁の中へ排水されています。


冷媒管と一緒に左に排水管がある場合が多いので無いか?確認したところありませんでした。


ここでほぼ修理の方針は決まりましたが、他に問題ないか?確認します。

右に穴があり、排水されていますが、壁の中で少し膨らんで壁の中で勾配が取れないようです。

排水ホースをこのように室内機を浮かせ外に出しました。この状態でホース内に水が残っているのがわかりました。これを外すと水がドバーっと出てきます。

ビニール袋を用意してそこに出しました。

壁の穴を少し下に削りました。これで壁の中の排水がスムーズに落ちて行きます。
そして・! ここが問題解決のポイント。
そして・! ここが問題解決のポイント。
排水ホースを左から出ていたのを右に付け替えました。

左のホースを外し、キャップをします。(もうちょっと挿しました)

左のホースを外し、キャップをします。(もうちょっと挿しました)

壁の中にあるホースを少しカットし、適切な長さに調整し、カフスと呼ばれる部品を使って室内機の右側から排水させました。
この写真で分かってくれたかな?
これでこのエアコンの水漏れは解決しました。
この修理事例においてはエアコンクリーニングでは直りません。
取り付けを直したと言えば良いかな。
施工ミスと言っても良いでしょう。
このエアコンを施工した業者も未熟だとは思いません。
2年くらいは大丈夫だったようです。
機種によってはこのくらいの勾配なら水漏れしない機種もあります。
かわいそうなのは、この施工をした業者は自分のミスを知らないまま終わっている事です。施工して終わり。技術の糧になっていません。これでは同じような現場では同じミスを起こします。
ところが、街の電器屋には必ず、この様なトラブルはお客様から連絡が来ます。
そこが施工だけの業者と修理も行う業者の経験差、そして技術のレベルの差が出るのだと思います。
時どき、私がこのような技術を公開している事に同業者から公開し過ぎと指摘を受ける事があります。
数年前までそんな事を私も思いました。
企業秘密とでも言うかな。
でも、今はもう企業秘密なんて無いと思います。ちょっと調べれば何でも出てくる。
1年くらい前かな?キムタクがシェフになって、三星レストランを目指すドラマ。
その中でレシピの流出する事件がありました。
でも、誰も慌てなかった。 同じレシピでも作り手によって全然違ってくるという事が分っていたから。
私達の業界もそうなのかな?そんなふうに思っています。
危険を伴う作業を助長するような事は考え物だけど。
それより、消費者に分かりやすい情報を伝える。
その方がこれからの商売には大切だと思うのです。
分かりやすく情報を提供する。
どの業界もこういう時代なんだと思う。
これからもどんどん発信していきますね。