またまた古伊万里再編集シリーズですが、今回は一見すると古伊万里には見えない(と思う)お皿を二枚取り上げます。
まず一枚目は幾何学的なデザインの五寸皿です
一見して古伊万里とは思えないモダンで幾何学的なデザインで、紗綾形文様 の部分は型紙摺りのようですが
それ以外の文様はそれぞれ同じではないことから、手描きの可能性が高いように感じます。
絵付けするのにそれなりに時間がかかりそうですが、あまり見かけないタイプの品のように思われます
今から10年ほど前に滋賀県の業者さんから何枚か出品されましたが、以後は見たことがありません。
表と比べ裏面は中期末~後期の古伊万里の姿をしており、裏文様はなく、落款は後期を代表する「乾」です。
続いての品は色絵の尺皿です
こちらも一見すると西洋のお皿のような雰囲気を持っています
朝顔のような花と良く判らない花が、青、紫、白で絵付けされ、葉は緑で絵付けされ
さらに文様のの隙間の部分を青手古九谷のごとく、中期末に見られる中間色の緑に塗っています。
青い花はかなり厚塗りです
紫の花は薄塗り
この品にとって重要なのは白い花でありまして、塗り残しの生地の白ではなく、白い釉薬で絵付けされています
色絵を盛り上げたように絵付けする技法は、清朝磁器の粉彩に影響を受けたものらしく
何かの書籍で、天明~寛政期に技術導入されたと読んだ記憶があります
一枚目のお皿と同様に、裏面は「古伊万里です」と言わんばかりの絵付けです
この品も落款は「乾」です。
この尺皿と同手が今年ヤフオクで出品され、1万円に満たない値段で落札されていましたが(入札するか迷いました)
経済的な価値とは別の魅力のある伊万里であると、個人的には思っています。
1枚目の皿など、裏面を見ないと、どこで作られたのか分からないほどですね(~_~;)
2枚目の皿も、一見、中国物と思いますよね。
これまた、裏面を見て、古伊万里だったんだと納得する皿ですね。
この手の品は裏を見なければ手が出せないですよね~
これで裏も典型的な伊万里でなかったら、「良く判らない品」ということで購入しなかったような気がします。
両方とも、中国の影響が伊万里らしからぬ伊万里を生んだといっていいのではないでしょうか。
どことなくエキゾチックな感じがして、何ともいえない魅力がありますね。
伊万里でも中期あたりには祥瑞写しの上手物が作られていますが
後期にもこのような作例があることはちょっとした発見なのかも知れません。
伊万里焼の歴史を考えれば、中国磁器の影響は歴然としているのは確かですよね。