シリーズ159回目ですが、こうして振り返っていくと、後期や幕末の品にも個性的な品はあるものの
やはり伊万里の魅力は前期~中期あたりまでの品に尽きる、という感じはします。
さて、今回紹介する品はいわゆる「普通の中期古伊万里」で、特に印象に残るようなタイプの品ではありません
「染付松に鶴の図七寸皿」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/fa/574da0458eb05956089f31f9b934f3dc.jpg)
鶴と松を雲形に白抜きした中に描き、その周囲を薄濃みで塗り、さらにその中に鶴と瑞雲らしきものが描かれた七寸皿です
雲形に抜いているあたりはデザインの妙という気はしますが、そこは中期でも恐らく宝暦~天明といった時代の品と思われますので
絵付けについてはあまり上手いとは言えません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/7a/3d96a2b80a2da3b7eecacab070cfa765.jpg)
墨弾きの技法を使って鶴が描かれています
この品を扱っていた業者さんは、「藍九谷」と称して売っていましたが、初心者でなければ、これが中期の品であることは判ると思います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/9f/89c6149d9295f0d649230bc9111d9887.jpg)
裏面の感じからも、中期~中期末といった雰囲気が伝わってきます
別に鳥の文様が好きなわけではないんですが、なぜかウチには鳥が描かれた古伊万里が多かったりします。
鳥は画題として優れていると思います。
地上の静と空の動、いずれも絵になりますね。どちらかというと、皿には静の鳥が多いように思います。
その点、この皿は、静と動の両方があって、珍しいと思います。
でも、表面は、まだ、十分に盛期伊万里の雰囲気を宿していますよね(^_^)
大きさも7寸あって、迫力もありそうですね(^_^)
記憶によると扱っていたのが、伊万里というか焼物の専門の業者さんではなかったと思います。
この品、画題としては凡庸ですが、白抜きの形とかに工夫が見え
ちょっと面白い品なのかも知れませんね。
全体的に上手の品でないのは確かですが、デザインとしてはちょっとした魅力があるのかも知れません。