歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

花の先生

2009年06月02日 | 徒然 -tzure-zure-
「造園をやりたいな」
と思いついた 3年前、





ご縁があって、
花壇家:服部マリさんと知り合いました。
花の植栽のプロフェッショナルです。


(↑服部さん。とってもシャイな方なので、超遠景で。)


建築学科の学生だった当時、造園のツテも無く、
まともな勉強もしていなくて、
奇遇にも出逢えた 同じ志をもつアグレッシヴな友人にくっついて、

「とにかく直に、庭に触れたい」
という想い 一心に
ふらふらと、とりあえず動いていました。






その「動き」の中の ひとつの結晶が、
「田園調布のN邸の手入れ」でした。






月に一度、
服部さんにくっついて
田園調布にあるN様の大豪邸の 庭の手入れのお手伝いに、
加えてもらっていました。




だいたい一年を通して通うことができたと思います。


(伊豆の根府川石を使った石組みのサンクンガーデンが、壮観。)


いちいち初めてで 何が何だかわからないシロウトが
「これ何ですか?」「あれ何ですか?」と無遠慮にしつこく訊き続けて
それだのに、
いちいちとても丁寧に優しく、「これは○○です。」と教えて下さったのでした。


それで しっかり覚えりゃいいのですが
なかなかどうして。

すっかり忘れて訊き直し。その繰り返しでした。




花とは、色々たくさんあるもので。

特に園芸品種となると、日々新しく、たくさん(ほんとにたくさん)どんどん出て来るし、
何度も「あーー、これ、何でしたっけ」と、懲りず質問を繰り返して居りました。

いや、花の多さのせいにしちゃあ好けない。

真面目なんだか不真面目なんだか 覚えようという気迫の足りない自分が悪かった。
相当、うるさかったんじゃないでしょうか。





結局、
その服部さんを通じて

某造園事務所と出逢います。








その事務所との付き合いの長い服部さんと、
今度は れっきとした仕事の関係で、一緒に働かせて頂く機会が増えたのでした。




そして丸二年後の 先日、
私はその造園事務所を辞めてしまいました。

傍からパッと見た感じ「突然の展開」で
その時も服部さんは まるで自分のせいかのように 悲しみ うろたえ、
本気で心配して下さって
申し訳なかった。

親身に何度も励まされたり、
愚痴を聞いてもらったり、
狼狽させたり。

出逢ってからずっと そういうふうに、ひたすら大変ご迷惑をおかけし続け、
お世話になりっぱなしで、

今に至ります。





そして先日(五月の終わりでした)、

久しぶりに(二年半ぶり)
「田園調布のN邸」のお手入れ手伝いに
入れてもらったのでした。






「一年中いつも 花があふれている庭」というコンセプトの そのN邸のお庭は、
花の植え替えも、季節ごとに何度も行われます。

今回も、2階のベランダにずらっと並ぶプランターの一斉植え替えでした。






「THE・ピンク!」という明確な色の


カワラナデシコを残し、


オレンジのナスタチウムや、黄色のアフリカンマリーゴールド といった
パッションカラーの花から



青紫のイソトマやバーベナ、赤紫色の千日紅、レースラベンダー。
涼やかな青系の花も織り交ぜて。





服部さんの花の取り合わせる技術やセンスは、サラッとやってるように見えて、
なかなか実際真似してやるとなると、難しいのです。




なんとかその技術、盗めやしないかと、ガン見しているのですが、
なかなかどうして。

そう簡単なもんじゃないのです。
見てるだけじゃなおさら、全然入って来ない。
でも、まずとにかくガン見しとかないと、始まらない。

「職人技」というのは、何でもそうですね。







そんなこんなで、余った苗をもらえることになりました。

欲張って、小さいビニール袋がはち切れる寸前まで詰め込んだ。




花の苗を持って、帰る黄昏の 東横線。

なんだかとても幸せな気分でした。
世界で自分だけが飛び抜けて幸せになれるカギを手に入れて、ほくそ笑みたくなるような
そんな気分で。




高円寺に持ち帰って、
主が留守だったので、やむなく、断りも無しに、
勝手に、玄関前のアプローチの一角に、地植えしてみました。

ゲリラガーデンの出来上がり。



イソトマ。
レースラベンダー。
千日紅。
バーベナ。

紫系で揃えました。
シロウトがあれこれ色を使いすぎると絶望的なカオスになるので、
同系色で、控えめに、スモールに。

一個だけもらったアフリカンマリーゴールドのずば抜けて蛍光イエローにまばゆい色が
まったく噛み合なかったので、それは、空いている植木鉢に。






それから二週間くらい経ちましたが

ガーデンの花は元気です。

周りに自然と雑草(クローバーっぽいもの)が生えて来ました。




今朝、太い猫が



花に頭をこすりつけていました。
何でかは、わからない。




 千日紅(センニチコウ)

   英名:Globe Amaranth, Bachelor's Button
   ヒユ科センニチコウ属 一年草
   Gomphrena globosa


花が身近にある生活。日常的に植物に触れる生活。


漠然と願うばかりだった生き方に、今、自分は立つ事が出来ています。
(課題は山積みだけど、一応はね。)


あの時よりは、少しは花や樹の名前を覚えたのだけど


まだまだ、足りない。

勉強に、キリはない。




そんなこんなで

服部さんにはこれからも、積極的にお世話になろうという魂胆です。

ご恩返しが出来るのは、いつになることやら。






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