歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

木を作る

2009年06月06日 | 仕事 -work-
木を作りました。




バイトで、
「高円寺プラットフォーム・ワークショップ」というところに通っています。

ここは、
通称「高円寺ストリート」という、
中央線の高架下、
飲み屋ばかりがびっしり集中している商店街の、
いちばん端っこにある ハコです。


「高円寺プラットフォーム・ワークショップ」とは、
たとえば:パソコンセミナーやビジネススクール、ワークショップなど、
いろいろ多用途に使えるオープンスペースをもった ハコで、
まだオープンしたばっかり。

ここを拠点に、「高円寺ストリート」を活性化しよう!
という意思をもった人が集まっています。
つまりは、地域のまちおこしプロジェクトの拠点なわけです。



そして
この土曜(つまり今日)、
オープンを記念した 起業家トークセッション。その第一回が、開かれました。

詳しくはこちら↓をご覧下さい
  http://koenji.platform.ne.jp/event/index.html

「夢ある街のたいやき屋さん」ということで、



たいやき、頂いてしまいました。役得。
ふわふわで、、美味しかった、、。




大盛況でした。





そのイベントセッションの前日である 昨日、
自分が任ぜられた仕事が、

「木を作る」というものでした。


つまりは、
幼稚園とか 小学校とかによくありそうな、
壁一面の大きな木の絵に、ひとりひとりの夢とかを書いた葉っぱを貼っていく
という、

「メッセージ・トゥリー」です。


はだかの木の絵を描いて、
そこに、講演会の感想や、この「高円寺プラットフォームワークショップ」の感想などを
書いてもらって、貼って行く、という主旨。

例えれば、七夕の笹の、感想文バージョン。みたいなことでしょうか。





課された条件は、

 ・手作りっぽいこと

 ・あんまり凝ってないこと

 ・木は、大きな紙一枚の下地の上に描いて、貼ったり剥がせたりすること

 ・今日中に出来上がること

 ・あんまりペラペラじゃなく、それなりにしっかりしてること

 ・葉っぱと花は、100枚は欲しい

など、でした。
あとは、葉っぱや花は、書いたメッセージが見えるような色で、ほどよい大きさで、
とか。


つまりは
「幼稚園や小学校でよくあるような、あれを。」
ということなのでした。




でも
せっかく作るなら、恥ずかしくないものを作りたいと、思うもの。

自分がつくったと、胸を張れるものを。




自分の信じる「良いもの」の定義は、

“まごころと手間の込められているもの” ということです。

これは、『チャングムの誓い』という韓国ドラマの中で学んだ哲学です。

「料理はね、まごころと手間なのよ」
ハンサングンさんという素晴らしい師匠がチャングムに語った、
料理の真髄。おいしい料理を作る秘訣でした。
(確か、第9話だったと思います。)


まごころと手間。


このことって、
あらゆる仕事に共通する真理ではないか!
と、うら若き私の心に深く胸に刻み込まれたのでした。


まごころと手間。

どんな小さな仕事も、まごころと手間。立ち返る基本は、まごころと手間。
これを外さなければ、きっとうまくいく。仮に失敗したとしても、悪いようにはならないはず。

これはいつしか、私の信条になっております。





というわけで 話が逸れたのですが、

依頼されたものは、
「パッと見 幼稚園や小学校にありそうなもの」

なんだけど
「よくよく見ると、実はけっこう手間がかかっている」というものにしようと、ひそかに目論んだのでした。


ただし、

 ・今日中に出来上がること

この条件が、最優先事項。





で、

作ったのが、この木です。



けっこう大きいです。幅160センチ、高さ2mくらいあります。


幹は、

立体感というか、
リアル感というか、
やはり造園屋のはしくれの誇りを懸けて、本気(と書いてマジ)な感じを出したかったのですが、

良いのがありました。


「筋入りハトロン紙」。
一番安いタイプの茶色の封筒に使われるような、あのペラペラの、うっすら透けてる、
あれです。

なんと、この筋が、幹みたいに見えるではありませんか。

これを、小さく短冊状に切ったものを、ひたすら貼り合わせて行く。
所によっては重なり合わせて。



表がツルツル 光沢があり、
裏はぼそぼそ 粗く毛羽立っています。

その質感の違いの織り交ぜで、
「よくある幼稚園のやつ」で見られるような「一枚の色画用紙の、のっぺり感」とは違う「マジな感じ」が
あわよくば出せるのでは?と思い、
適当に、裏と表とを織り交ぜつつ。


あと、

遠近感を出すため、
枝先に向かうにつれ、短冊のサイズも細く小さくしたり。

って
我ながら、ずいぶんわざわざ手間のかかることを、、と思いながら。





そんなことをしてるので、まんまと時間がかかって、
どうなることかと ソワソワしましたが、
無事、幹完了。

残り時間は一時間。



即、次、葉っぱ。



厚みとやわらかい質感の有るラシャ紙で作りました。

色は、
シンプルなキミドリと、シンプルなミドリを。

二つ折りにして切りますと、葉脈みたいな真ん中のラインが出来て、一石二鳥。



何枚も厚めに重ねて、切りにくくして、ハサミでバリバリ切ると、
キリ痕がラフな、ザクザクした感じになり、

葉っぱのギザギザ=鋸歯(きょし)の感じが出ました!これはやってて発見。







次は花。

下地の紙は白ですが、その下・周囲は、強い濃い紅オレンジの壁紙なので、
色は、難儀しました。文房具屋ですんごい考え込んでしまった。


結局、

「THE・花といえば」
みたいな、
けっこう薄いピンクと、少し薄いピンクと。

で、かたちも

「THE・花といえば」
的な、
桜や梅を連想させる、五弁の花形に。




葉っぱもそうですが、
花も二色混ぜることにしました。
そうすると、「いわゆる幼稚園のあれの、シロウトっぽいのっぺり感」が回避できます。
三色あると、なおよろしい。

ただし、全然違う色同士を合わせてしまうと、逆効果。信じられないほどの不協和音が生じてしまいます。
同系色で揃えるのが、安全パイです。


ガーデニングでもそうですが。
色を使うのは、だいぶ慎重に考えないと、ひどいことになります。

全然違う色同士を混ぜて、しかも違和感が無いというのは、
相当なプロフェッショナルか、あるいは相当なカラーセンスの持ち主だと言えます。





というわけで、



花と葉っぱを ぜんぶ仮置きしてみたら

こんな感じになりました。





自慢出来るような素晴らしいアート作品でも何でもないけれど、

満足。
とにかく、ちゃんと出来上がったので。






花と葉っぱは、来てくれた人が 任意で、めいめい好きに
貼って行きます。


完成の木は、



どういう木になるんでしょう。




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