よしもとばななの『王国』三部作を読みました。
これ、
ばななさんの「ライフワーク長編」だそうです。
1作目は、なんと8年前。
それが、満を持して、3作同時に文庫化したばかり。
一気に読みました。
*
元々、学生時分から よしもとばななの小説は
だいたいは、好きで、
だいたいは、欠かさず読んできていると思います。
ただし、
いつも文庫化待ち。文庫になってから。
ちなみに エッセイのほうは、読みません。
*
ばななさんの小説は、
どっちかっていうと、スピリチュアル系に属すると思われます。後になるにつれ。
それに、物語の語り口も登場人物も 平易なんだけど、ちょっと変わってるので、
好き嫌いもあるだろうし、
当たり外れもあります。
全部が全部良い!って思うわけじゃありません。これはノグチの意見ね。
また、
ばななさんの小説は、どういうわけか、
読み終わってしまうと、話の内容をすっかり忘れてしまいます。
誰がどうしたこうした、っていう、話の中身:シチュエーションや、展開が、
すぽっ、と消えるんです。
登場人物の名前とかも。
読みながら頭で描き 見えていたはずのシーンも、
後になると、ほぼまったく憶い出せない。不思議と。
だけど、
読み終わった直後の
「読んで、よかった。」あるいは「うーん、違った。」
という
単純な“想い”だけが、残るのです。「読後感」というものでしょうか。
ただし、
これは、自分だけのことかもしれません。
そもそも自分の場合、本というものは、だいたい、
一回しか、通して読みません。二度三度と、同じ物を読みなおすことは滅多に無い。
そして、
ばななさんの作品は よりにもよって、
時間をかけずに さらーっと一気に読めてしまうように出来ているので、
物語の世界に浸る時間も、そのぶん、短くなるのです。
長篇の大作などを、何日もかけて、とぎれとぎれで読んでいると、
読み終わるまでの間は、しばらく、囚われますよね?
「ああ、この後どうなっちゃうんだろう、、続きが気になる、、」って。
それで、
現実生活でも なんとなくぼーっとしちゃって、浮き足立つくらい、
その世界に浸り切ってしまう。特に自分は、そう。
ばななさんの場合は、だから、
その「溜め期間」がほとんど無いわけので、
だからかもしれない、
すっぽり忘れてしまうのは。
でも、だからって、
ダメってわけじゃないんですよ。
だいたい、「よかった。」が、残るんです。
そして
「うーーん、違った。」も、たまにあるけど。
*
で、
今回、新しく出た、『王国』三部作。
上述の通り、延々と”文庫化待ち”をしていたので、
第一部の単行本が世に出た 平成14年から、
第二部、第三部と出ているのを尻目に、
全然、読んでなかった。
「なんで『王国』だけ、いつまで経っても文庫にならないんだろう、、」と、
待たされ待たされ、
ここまで来て、
忘れた頃に、
やっと 出逢えたわけでした。
それもまあ、
ものの2日で、一気読み。
(合計すると、12時間にも満たないんじゃないだろうか。)
*
それで、
さっき僭越ながら「当たり外れがある」って申しましたが、
この『王国』は、
大当たりでした!
野口的には、ですが。
そして今回は珍しく、かなり内容もちゃんと覚えてます!登場人物の名前も。
長編だったせいもあると思うけど。読み上がり直後だからってのもあるけど。
ちょっとだけざっくり、話のさわりだけを言うと、
山で 魔女的なおばあちゃんと暮らしていた雫石(しずくいし)っていう女子が(変すぎる名前です)
あるきっかけで 都会に降りて来るんですが。
山での生活の感覚とか
自然との付き合いかたとか
モノとの付き合い方とか
あと
現代の都会の生活で「ん?」って首を傾げる点だとか
随所に出て来る スピリチュアルっぽい台詞なども
結構 高確率で「あー、わかる!」っていう感じで、
入って来たんです。
このブログでも書いているような想いと 合致するようなことがあったりして。
今までのばなな作品の中で、一番自分に近づいてくれたものだった気がします。
(なんか、上から目線的な言い方ですが)
例えば、
一応 “恋愛関係”を軸に語られたフレーズでありながら、
でもそうじゃない、仕事の関係、あるいは友人関係とかにも 当てはまるような
ハッとする名言があったりとかで、
とにかく、
“今の自分”に すんなりフィットするキーフレーズだらけだったのです。
(この、“今の自分”っていうのが、たぶん重要。8年前じゃ、まだまだだったはず。)
それで、
読みながらもう、
「これは、私のための物語だ。」なんて、何度も、うっかり、思い込めたほど。
「ばななさん、よくやった。」って、なんでか上から目線。
なんせね、
「庭」や「山」や「都市への違和感」なんかが出て来るんですもの!
*
人との出会いが一期一会であるように
『本との出会いも一期一会』と言いますが。
ほんとに、そうですね。
その瞬間だからこそ出逢えた ということに、
すでに意味がある。
たまたまその日、ちょっとお金もあって、
気持ちも、新しいことを求めて、上昇気味で、
でもたしか本当は、全然別の本を探しに 本屋に入ったはずだったんだけど、
向こう(本)も たまたま
新しく刊行されたばかりで 店先に広くどどーんと並んでたから、
運良く、ばったり 出逢えた。
「今の自分にぴったりだ、これ!」
っていう、絶妙なタイミングで。
たぶん
このタイミングを逃すと、どんな良作でもしっくり来ないっていう、
残念な出会いに終わってしまう場合もあるから、
まったく、ラッキーでした。
すれちがいにならなくて、よかった。
何か 答えが欲しいときは
外の世界に ちゃんと体を向けて
「自分はこういうものを望んでいる」という意思の目を光らせて、
能動的に 動けば動くほど、
ちゃんと答えは、返って来たりするもんだ。
スピリチュアルだね。
*
そして素敵なポイントがもう一点。
この『王国』の三部作は、全部足しても、1、048円!
良心的!
そういえばこのところ、とかく売り払う方、捨て去る方に
専念してた気がするけれど、
久しぶりに、ちゃんと“お買い求め”した本でした。
そして、良い出会いだった。
大事にしようと思います。
*
自然との付き合い方とか
人との付き合い方とか
仕事との付き合い方とか
都会、街との付き合い方とか
そういうものに ひとつ明るい道筋が欲しい人は、
読んでみて、損は無いと思います。下手なハウツー本とかより良い。
安いし!
野口は、おすすめします。
もちろん、趣味の違いとかあるから、私個人の意見ですが。
でも、「物語」というかたちで産み落とされたものは、
色んな普遍的なキーワードが含まれているから、
こちらにその意思さえあれば、何かを感じ取ることは出来るし、しやすいと思います。
よほどの駄作でない限り。(←辛口)
*
ネットで調べると あらすじとかも うっかり目に入って来てしまうので、
できれば、
本屋さんに行って、裏表紙の概要も見ないで、おそらく並んでるであろう三冊、
ぱぱっと重ねて、
一気にレジに行く事をおすすめします。
『王国 その1:アンドロメダ・ハイツ』
『王国 その2:痛み、失われたものの影、そして魔法』
『王国 その3:ひみつの花園』
*
そうそう、
今日は20度まで行くあたたかさでした。
突然あたたかすぎて、沈丁花だの、排気ガスだの 工事のけむりだの、
ペンキの香りだの、洗剤の芳香剤のにおいだの、
ファーストフードだの、
いろんなにおいがごっちゃになって、おかしな濃度になってた。
でも、
あたたかくって、よかった。
*
これ、
ばななさんの「ライフワーク長編」だそうです。
1作目は、なんと8年前。
それが、満を持して、3作同時に文庫化したばかり。
一気に読みました。
*
元々、学生時分から よしもとばななの小説は
だいたいは、好きで、
だいたいは、欠かさず読んできていると思います。
ただし、
いつも文庫化待ち。文庫になってから。
ちなみに エッセイのほうは、読みません。
*
ばななさんの小説は、
どっちかっていうと、スピリチュアル系に属すると思われます。後になるにつれ。
それに、物語の語り口も登場人物も 平易なんだけど、ちょっと変わってるので、
好き嫌いもあるだろうし、
当たり外れもあります。
全部が全部良い!って思うわけじゃありません。これはノグチの意見ね。
また、
ばななさんの小説は、どういうわけか、
読み終わってしまうと、話の内容をすっかり忘れてしまいます。
誰がどうしたこうした、っていう、話の中身:シチュエーションや、展開が、
すぽっ、と消えるんです。
登場人物の名前とかも。
読みながら頭で描き 見えていたはずのシーンも、
後になると、ほぼまったく憶い出せない。不思議と。
だけど、
読み終わった直後の
「読んで、よかった。」あるいは「うーん、違った。」
という
単純な“想い”だけが、残るのです。「読後感」というものでしょうか。
ただし、
これは、自分だけのことかもしれません。
そもそも自分の場合、本というものは、だいたい、
一回しか、通して読みません。二度三度と、同じ物を読みなおすことは滅多に無い。
そして、
ばななさんの作品は よりにもよって、
時間をかけずに さらーっと一気に読めてしまうように出来ているので、
物語の世界に浸る時間も、そのぶん、短くなるのです。
長篇の大作などを、何日もかけて、とぎれとぎれで読んでいると、
読み終わるまでの間は、しばらく、囚われますよね?
「ああ、この後どうなっちゃうんだろう、、続きが気になる、、」って。
それで、
現実生活でも なんとなくぼーっとしちゃって、浮き足立つくらい、
その世界に浸り切ってしまう。特に自分は、そう。
ばななさんの場合は、だから、
その「溜め期間」がほとんど無いわけので、
だからかもしれない、
すっぽり忘れてしまうのは。
でも、だからって、
ダメってわけじゃないんですよ。
だいたい、「よかった。」が、残るんです。
そして
「うーーん、違った。」も、たまにあるけど。
*
で、
今回、新しく出た、『王国』三部作。
上述の通り、延々と”文庫化待ち”をしていたので、
第一部の単行本が世に出た 平成14年から、
第二部、第三部と出ているのを尻目に、
全然、読んでなかった。
「なんで『王国』だけ、いつまで経っても文庫にならないんだろう、、」と、
待たされ待たされ、
ここまで来て、
忘れた頃に、
やっと 出逢えたわけでした。
それもまあ、
ものの2日で、一気読み。
(合計すると、12時間にも満たないんじゃないだろうか。)
*
それで、
さっき僭越ながら「当たり外れがある」って申しましたが、
この『王国』は、
大当たりでした!
野口的には、ですが。
そして今回は珍しく、かなり内容もちゃんと覚えてます!登場人物の名前も。
長編だったせいもあると思うけど。読み上がり直後だからってのもあるけど。
ちょっとだけざっくり、話のさわりだけを言うと、
山で 魔女的なおばあちゃんと暮らしていた雫石(しずくいし)っていう女子が(変すぎる名前です)
あるきっかけで 都会に降りて来るんですが。
山での生活の感覚とか
自然との付き合いかたとか
モノとの付き合い方とか
あと
現代の都会の生活で「ん?」って首を傾げる点だとか
随所に出て来る スピリチュアルっぽい台詞なども
結構 高確率で「あー、わかる!」っていう感じで、
入って来たんです。
このブログでも書いているような想いと 合致するようなことがあったりして。
今までのばなな作品の中で、一番自分に近づいてくれたものだった気がします。
(なんか、上から目線的な言い方ですが)
例えば、
一応 “恋愛関係”を軸に語られたフレーズでありながら、
でもそうじゃない、仕事の関係、あるいは友人関係とかにも 当てはまるような
ハッとする名言があったりとかで、
とにかく、
“今の自分”に すんなりフィットするキーフレーズだらけだったのです。
(この、“今の自分”っていうのが、たぶん重要。8年前じゃ、まだまだだったはず。)
それで、
読みながらもう、
「これは、私のための物語だ。」なんて、何度も、うっかり、思い込めたほど。
「ばななさん、よくやった。」って、なんでか上から目線。
なんせね、
「庭」や「山」や「都市への違和感」なんかが出て来るんですもの!
*
人との出会いが一期一会であるように
『本との出会いも一期一会』と言いますが。
ほんとに、そうですね。
その瞬間だからこそ出逢えた ということに、
すでに意味がある。
たまたまその日、ちょっとお金もあって、
気持ちも、新しいことを求めて、上昇気味で、
でもたしか本当は、全然別の本を探しに 本屋に入ったはずだったんだけど、
向こう(本)も たまたま
新しく刊行されたばかりで 店先に広くどどーんと並んでたから、
運良く、ばったり 出逢えた。
「今の自分にぴったりだ、これ!」
っていう、絶妙なタイミングで。
たぶん
このタイミングを逃すと、どんな良作でもしっくり来ないっていう、
残念な出会いに終わってしまう場合もあるから、
まったく、ラッキーでした。
すれちがいにならなくて、よかった。
何か 答えが欲しいときは
外の世界に ちゃんと体を向けて
「自分はこういうものを望んでいる」という意思の目を光らせて、
能動的に 動けば動くほど、
ちゃんと答えは、返って来たりするもんだ。
スピリチュアルだね。
*
そして素敵なポイントがもう一点。
この『王国』の三部作は、全部足しても、1、048円!
良心的!
そういえばこのところ、とかく売り払う方、捨て去る方に
専念してた気がするけれど、
久しぶりに、ちゃんと“お買い求め”した本でした。
そして、良い出会いだった。
大事にしようと思います。
*
自然との付き合い方とか
人との付き合い方とか
仕事との付き合い方とか
都会、街との付き合い方とか
そういうものに ひとつ明るい道筋が欲しい人は、
読んでみて、損は無いと思います。下手なハウツー本とかより良い。
安いし!
野口は、おすすめします。
もちろん、趣味の違いとかあるから、私個人の意見ですが。
でも、「物語」というかたちで産み落とされたものは、
色んな普遍的なキーワードが含まれているから、
こちらにその意思さえあれば、何かを感じ取ることは出来るし、しやすいと思います。
よほどの駄作でない限り。(←辛口)
*
ネットで調べると あらすじとかも うっかり目に入って来てしまうので、
できれば、
本屋さんに行って、裏表紙の概要も見ないで、おそらく並んでるであろう三冊、
ぱぱっと重ねて、
一気にレジに行く事をおすすめします。
『王国 その1:アンドロメダ・ハイツ』
『王国 その2:痛み、失われたものの影、そして魔法』
『王国 その3:ひみつの花園』
*
そうそう、
今日は20度まで行くあたたかさでした。
突然あたたかすぎて、沈丁花だの、排気ガスだの 工事のけむりだの、
ペンキの香りだの、洗剤の芳香剤のにおいだの、
ファーストフードだの、
いろんなにおいがごっちゃになって、おかしな濃度になってた。
でも、
あたたかくって、よかった。
*