歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

春の旅5:トランスエメラルド

2010年03月31日 | 旅録 -travelogue-
「春分の日」またぎの 連休・強行・2200km春の旅 の模様、
お届けして居ります。


 春の旅0(予告編)
 春の旅1:はじまり
 春の旅2:地中美術館
 春の旅3:アイラブユーとお好み焼き
 春の旅3.5:臭い正体
 春の旅4:カルスト炎上


いよいよ佳境です。





カルスト台地の下には、
無数の鍾乳洞があるのです。

地上(お昼バージョン)にガツンとやられた後は、
地下の鍾乳洞探検に参りましょう!ということになりました。

秋吉台の季節労働番人:ネミーゴだからこそ知り得た、秘密の洞窟へ。




と、その前に。

目的の洞窟のそばにある、スピリチュアル・スポットに行きました。


弁天池。

青い水が湧き出る泉です。





出迎えてくれたのは



謎のおばちゃん。番人かしらん。


ちょこんと座って(足をピン!と伸ばして)、
「きれいですよ~。見てってね~。」と、来る人に声をかけてくれていました。

その様が可愛らしかったので、通り過ぎさま、シャッ!と瞬撮。


そのおばちゃんのすぐ足下を流れる
小さい用水路(近くの田んぼ用)。その水がすでに



おいしそうに、透明。

無色透明で、
きらきらしています。




ゆたかな 透明の水が、
惜しみなく あふれて、ぜいたくに流れてゆきます。


おそらく、その流れのみなもとに、
うわさの
“青い泉”があるはず。





で。


現れました。



青い。







ほんとに、青い。

なんで青い?


青 というか、もっと、碧。
きらきらと澄んだ、エメラルド色。




ほんとに、綺麗でしょう。

こういう色の湖、見たかった。夢だった。





「どこから湧いてる?」

水面は 異様に静まりかえっていて、
どこが湧き出しポイントか、よくわからない。


というか、

「境目」がよくわからない。



水面が透明すぎて、
そこには「何も無い」みたい。

水面は、もはや“水鏡”でもなくて。
もはや、何も無い。


そして、
「エメラルド」という色だけが、不思議に、じんわり宙に滲んでいる。
そんな感じに。


透明すぎる。
水と 空気の「境目」がどこなのか、
一瞬、わからない。






 『あっ!』て、ビックリするよ。
 『あ、ここに水があった!』って。

と、
山口番人:ネミーゴが、素敵な、詩的なことを言う。


手を 水面のほうへ
差し伸べてみる。すると、
「ここらへんが水面かな?」と思っているあたりよりも
手前で、
思っても居ない瞬間に、ひゅっ、と 水面に突き当たって、

「あ、ここに(水面が)あった!」って、

ビックリする、って。


なんて詩的な泉。




ゆ  っくり と




ゆ     っくり と



宙を泳ぐように

「主」も登場。






それにしても、

なぜ青い?





いつまでも 見ていたいけれど


先へ。





風が、サァッと、渡った。





御神木のムクノキに、手を触れて。



お参りして。




名残惜しみながら、


水の流れるほうへ、戻ります。






きらきらと ながれゆくほうへ。





水は、

ニジマスの養殖池へ 注ぎ込み。





小さな用水路に入ったら

公園のわきを通って




田んぼへ注いで行きます。

一等美味しいお米が出来そう!





ちなみに、飲めるようにもなっていて、
ボトルに汲んで持って帰れるようにも、なっていました。


やわらかくて、甘くて、透き通る美味しさでした。









(・・・次は、いよいよ洞窟探検へ。・・・続く>>>)




omake*



上の写真のアニマルたちと並んで、なぜかあった、
海上自衛隊所属の飛行機。

アニマルと同じ方向を向いている。


なぜだろう。
なぜここに流れ着いたのだろう。このプロペラ機は。




「ふむな」=「ふめるよ」









、、、ああ~、もう一回、見納め!







ああ、
やっぱり綺麗!


、、、そういえば、
これと同じような色のワイン(だったっけか)を、先日、発見したんでした!



これ!初台の、超高級スーパーにて。

欲しいなあ。


春の旅4:カルスト炎上

2010年03月31日 | 旅録 -travelogue-
山口の秋吉台。カルスト台地へ。

「カルスト」(独: Karst)とは、
 石灰岩などの 水に溶解しやすい岩石で構成された大地が、
 雨水、地表水、土壌水、地下水などによって侵食(主として溶食)されてできた地形です。
  (wikipedia参照

これは、



衝撃の光景でした。

目に飛び込んでくるや、
「えっ、ほんとに?」
って、思わず言ってしまった。




超現実的。




「トルコっぽい」と、
かの国に行ったことのあるメンバー、曰く。


ほんとに、
日本じゃないみたい。

見馴れないにも甚だしい、荒涼さ。



灼けた大地に、
真っ白い 骨の色をした、溶けたような石が ごろごろ。


奥に見えるきみどり色は、放牧地。
ちょっとこんもりしている暗い緑は、植林された、造られた森。

そのあかるいキミドリのじゅうたんと 黒い森の、

その存在の、隔絶感。


ここに“緑”というものが見えることに、違和感すら覚えます。






春の「野焼き」が まさに最近 行われたばかり、とのこと。

燃やし尽くされた痕。


安定した植生を維持するために、昔から行われているそうです。




新しい芽が、早速、生まれています。





風が めっぽう強い。

吹き荒ぶ。まさにそんな感じ。



高山の山頂付近のような、容赦ない風。

遮るものが無いんだもの。





燃え残って 立ち尽くしている、
枯れた 一本立ちの木。



ところどころに。


カルストの白い岩に抱かれて
護られたかのような、立ち木も。



バックグラウンドには、

澄み渡った青。


その大地の荒み具合が、より際立って見えます。

インスピレーショナル。





こんな台地の中に、ぽつん、



ミステリアスな濃い森がありました。



あやしい。




近づいて見ると、意外に大きい。

その名を、「長者ヶ森」。

その昔、ここに屋敷を構えた長者が居たそうです。

もともと長者だった人が ここに屋敷を構えたのか、
屋敷をここに構えてから 長者になったのか、
どっちが先かは、謎。



周りと全く隔絶して、異様に豊かな森。
砂漠の中のオアシスって、やはりこんな感じなのかしらん。




ここの空間だけ まるく、独特な、
“聖域”のような雰囲気に包まれていました。

やはり 祠(ほこら)もありました。

スピリチュアル。



祠の傍らには

御神木のように伸びる、とりわけ大きな木が。



特徴的な、まだらの木肌。

「カゴノキ(鹿子ノ木)」だと思われます。

  カゴノキ = Litsea coreana
         クスノキ科ハマビワ属
         名の由来は、樹皮のまだらが、鹿の子の肌の模様のようだから。 


まだらにはげる木は他にもあるので、確証はありません;
(ちゃんと同定作業をすればよかった。)

たぶん、カゴノキな気がするんだけどな、、。

※ちなみに東京にも、文京区の「小石川植物園」などに、大木があります。


しかも
この時 まちがえて「キョウガノコ(京鹿ノ子)」と連呼していた私。
そっちは、全然違う、ふわふわしたピンクの、かわいい花です。




、、で、

その木の根元に、なぜか、




散乱した 一冊の本が。


意味深!


いったい誰が、どうして、遺したのか。
装丁の上等さからして、そうそう新しい本ではない。


持ち主の影だけが 消え去り。

赤くて硬い表装と、破れ散った白い紙きればかりが無残に、
意味深げに、
取り残されていました。


ちなみに、山本有三の本だった。






なんとも、森厳な気持ちになって、

聖所を出ます。







このギャップ。






不思議な起伏。

異国的なスケール。


人間。




青く 真っ平らな空。





旅人。


「世界遺産。」
というナレーションが聴こえて来そう。








で、この後、洞窟や湖に行くのですが、
(それはまた別に書くとして、)

ジャスト・夕暮れ時に。再び、立ち寄りました。




夕陽の紅色に照らされる時、
トルコの大地は、『ローズ・バレー』と呼ばれるとか。





沁みる。



ちょうど 上の空には



月と 飛行機と。



旅っぽい。





えもいわれぬ光景に、

えも言えないので、

「はぁぁ~、、」「へえぇ、、」と
ため息ばかり、ひとしきり。





めいめいに。





闇に落ちていく大地。


静謐なグラデーション。
















そして。





そんな光景が、


約一時間後。








こんなことに。






これはまた、

別の次元で、
衝撃でした。



3月21日。
春分の日の、野焼き。




野火。

緋色の火。


闇に穂立つ 緋の煙。




雷のような線を描いて。






たしかに
昼間 青空の下で歩いたばかりのはずの、同じ景色です。



『バチバチ、、、』


『プチプチ、ジュクジュク、、、ジュワジュワ、、、』

枯れた物が灼けるような、
鍋で水とカラメルの煮え立つときのような、


つぶやきのような うめきのような、

不思議な声。





火を見ていると、
一切喋りたくないという、深くて神妙な気持ちになります。


この大地の底に響く火の声を聴いていると、なおさらに。




火に巻かれてゆく大地の映像。


「地獄みたい」
と、友人が称した。

確かに、
この世のものとは思えない。

“ふつう”を超えた規模の火。

日常とは明らかに違う光景。



この日に野焼きが行われ、それが見られることになったのは、たまたまでした。
昨日、春の嵐の大雨が降ったから。


不思議な縁で、
なんだか 凄いものを見てしまった。



ここは ほんとに 日本か。






昼のさまも 異世界でしたが

夜のさまは、さらなる 異世界でした。




 *

 *


(・・・続く>>>)


copyright (c)

Copyright (c) 2009-NOW "uta-niwa" <by ngch-zoen> All Rights Reserved.