歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

なんでもない春の陽気に

2011年03月14日 | 徒然 -tzure-zure-
一歩、
外に出ると。
あたたかい。


暑いくらいに、あたたかい。
そして、
まぶしい。



ほんとに、
何事も無いかのように、
のほほんとした、春の陽気。


こみあげる、梅の香り。

水を帯びた、スイセンの香り。


ミモザのふわふわの色。





地震の余波が。

首都圏で、本格的に始まってきました。

もちろん
被災地の東北とは比べ物にならない 平穏さだけれど、

電気の問題、物資の問題、流通の問題。
ガソリンスタンドは軒並み閉鎖中でした。
電車も高速道路も、難しい。

停電するとか、やっぱりしないとか。やっぱりするとか?
首都圏は、だいぶ混乱しています。


混乱に乗じて、動揺しないように。

冷静に。クールビューティーに。





そんな中ですが、

昨日:日曜日、お茶事がありました。


「茶飯釜」(ちゃはんがま)という。

お茶湯を沸かす釜でごはんを炊き、それを頂く。というのが含まれる、
珍しいお茶事でした。

前日:土曜日は、さすがに中止になったそうです。
日曜も、来られなくなってしまった方もいる中。


丹念な炉で、

鉄のお釜で、

上等の炭で。





「粗飯(そはん)を差し上げたいと存じます。」


頂くのはご飯だけじゃありません。

お椀もの、
桜もち(ちゃんと葉っぱ付き)に包まれた、つみれのおすまし。
塩漬けの桜の花がひとつ、浮かべてありました。

酒の肴には、
海のもの:ぷりぷりの帆立。
山のもの:珍しい、つぼみ菜。


「お流れ頂戴致します。」
亭主と客、杯に、酌み交わします。


具沢山の、田舎汁。

そして、お米。しっとりふっくらした、あたたかいご飯。

おこげ。


そして、お菓子。モクレンを模した美しいお菓子でした。

どれもこれも、美味しかった。



その後、あいにく仕事だったので、肝心のお濃茶は頂けず、即席のお薄茶だけ、急いで頂いて、中座してしまったのですが。。


こんな時だけど。

こんな時だから、

意味があった。そんな気がします。

こんな時に、たまたま、こういう境遇に居る自分だからこそ、
気づけること、
出来ることが、

何か。





一番に想ったのは、
「平穏無事」ということの、有り難さ。

なんでもないただの一日ということの、有り難さ。

美味しいものを、あたたかく、ふつうに食べられること。
その有り難さ。

電気を使わずに、炭火で炊いたお米の、美味しいこと。


その日、その場所に、赴けたこと。立ち会えたこと。




それら全部の、有り難さ。





早く。

何事も無い、

のほほんとした春の陽気のような日が、みんなに、早く、訪れますように。

こんな
あたたかな平穏な日が、みんなにあたりまえに満ち溢れる時が、

早く、訪れますように。






ところで今日は、お弁当、久しぶりに持ってきました。



大変、粗飯(そはん)ではございますが。







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