歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

電車にて

2011年03月21日 | 徒然 -tzure-zure-
駅のキップ売場で、小銭をぶちまけてしまった。


駅のキップ券売機は今、節電のため、使える台数がすごく絞られている。
構内も、半分くらい暗い。

ふだん、通勤はチャリなので、電車にはあまり乗らない。

金曜は 新百合ケ丘でお茶のお稽古があるので、その折に週に一回、乗るか、
そのくらい。


で、

新百合ケ丘で、suicaをチャージしたあと、くるっと振り向きざま
財布から、小銭たちが一斉に、ぶち撒かれてしまった。

あっちへこっちへ、ある百円玉はくるくる廻りながら途方も無いほうまで。

あらら、あわわ、と、慌てて拾おうとしたら、

たまたま周りに居合わせた人たちが、一斉に拾い上げてくれた。
はい、はいよ、と。それぞれ拾ったコインを差し出してくれた。

その間、
ものの数秒の出来事だった。と思う。


思わぬ優しさに出遭って、ちょっとビックリしている自分が居た。

で、

ビックリしている自分に、ギョッとしてしまった。





打合せで、珍しく連日、電車に乗っている。

今日は 茨城のつくばに行った。
つくばエクスプレスは、平時の半分に運行量を減らし。30分に1本。
うら寒い駅の待合いブースに、あるべき電熱ヒーターは、節電のために撤去されていた。

冷たくて、ベンチに座っていられない。


引っ越したばかりの時に震災に遭うことになった若いお施主さん夫婦、無事でなにより。


帰り、
いつのまにか、意識を失っていた。

最近あんまり眠れていないので、電車に乗ると、いつのまにか、あっけなく落ちてしまうんだけど。

つくばエクスプレスの終点の秋葉原で、若い女子が、ちょんちょんと、起こしてくれた。






昨日は 埼玉の、深谷(ふかや)というところ。存外に、遠かった。湘南新宿ラインの快速が運休しただけで、ずいぶん違う。


初めて降りた深谷駅は、
東京駅のミニチュア版だった。



「こんなところで、なんで?」と、びっくり。

聞けば、東京駅に使われている「深谷レンガ」というレンガの、産地なんだそうな。


埼玉のこっちの方は、震災の直接的な被害は、あまり無かったみたい。

だけど、(地方では当たり前にそうであるように)ここも、
電車より車がメインの社会。

ガソリン不足、困っているらしい。


府中の我が社も、ガソリンが無いと仕事にならないので、毎日どこそこが入れられたとか、あそこは20分待てば入れられたとか、戦々恐々としている。






久しぶりに電車に乗ると、面白い。

普段は 遭遇しっこないような様々な人が、いっしょくたに、偶発的に、ひとつの箱の中に集う。

休日は、幼児が多くなるんだっけ。どの子もいちいちほんと、可愛らしい。
赤ちゃんが、自分のほうを、きょとんと、じーっと見てると、
何を見てるんだろうと、すごく気になる。背後の何か、かしら。


毎日はいろんな偶然が必然のように、必然が偶然のように起こっているけれど
いったいどういう巡り合わせなんだろう。と、不思議に思う。

変わった人、沢山見る。時間帯も、関係あるのかな。

みんなそれぞれ、
自分なりの「ふつう」で、過ごしている。

キョロキョロしてる人。
ぽかんと、口開けっ放しの人。
ものすごく眉間がしわだらけになっている人。

隣りのひとの読んでるものを、がっちり一緒に読み込んじゃっている人。

シートの端っこが空くや、飛びつくようにそこへ移動することに全生命エネルギーを賭けてます!みたいな中年の女の人。

鼻くそを足下にぽろぽろまき散らして、知らん顔するおじさん。

シートにくっついてたゴミをちょちょいと拾って、どうするのかと思ったら、そのまま下に落として、座ったおじさん。

漫画を読みながら、うふ、ふふと、満面に汗と喜びをたたえる、おそらくオタクの男の人。




みんな大概、気を抜いていて、
とても「素」で、
とても「ふつう」なので、
面白い。

みんなのそれぞれの「ふつう」が、いかにバラバラか、目の当たりにする。
それが、面白い。

見てないフリして、見てる。

人間観察していると、面白い。



そういうふうにして面白がって見ている 私も おそらく、
誰かから、見られているんだろう。


自分では気づかない何かを、チェックされながら。






ここ最近、連日、電車に乗る機会があって。

一日一日、ちょっとずつ、何かが変わっている感じがある。

毎回、

その中で、一番ほっこりしたのは、


四谷辺りで窓の外に見えた ムラサキハナナの紫色の花のじゅうたん

、ではなくて。




花を手にした、おじさん。

誰かにあげるのであろう、花を手に、眠る、おじさん。








大宮駅、

駅の改札構内は いわゆる「エキナカ」っていう、大賑わいのショッピングモールになっていて、
こんなご時世を忘れるほど賑わっていて。びっくりするほどだったけど。
なんとなく勢いにつられて、

あ、そうだ、昨日誕生日だった友達に今度あげよう、と、プレゼントを買ったり、

あと、やっぱりお腹がすいていたので、
「アボカドサーモンサラダ丼」、っていうのと、

さらに



5種類のおこわが入った行楽弁当を買ってしまった。
基本的に「全種類コンプリートしたがり」なので、ちょっとずつ全種類おこわが入っているのは、とても私のツボを押さえた、良い商品だと思う。

さくらのおこわも入ってる。

アボカドの方は、会社に戻ってから、遅いランチに。

おこわ行楽弁当のほうは、家に持って帰って、夕飯にした。

ごま塩をふりかけすぎて、せっかくのおこわ、どれもこれも塩味ばっかりになってしまった。






スーパームーン

2011年03月21日 | 徒然 -tzure-zure-


3月20日の3時10分、

地球に最接近した月。
19年ぶりに。





エクストリーム・スーパームーン。

というのだとか。






風が強い。
はぎれ雲が流れる。

流されてゆく。




隠れては、現れて。






現れては、かき消されて。

すべては同じ速さで。





どの瞬間も 美しい。

どの瞬間が一番かなんて、選べない。











流れのままに









隠れたら 待って

現れたら 目を覚ますように






音も無い 光のさざ波


闇に光る波に、目が醒める





風の流れかたも
月の光りかたも
終わりは無いので、

「クライマックス」は自分が決めるしかない

そして
「終わり」も、自分が決めるしかない





今だ





次かな




あの雲のしっぽが切れたら






でも さっきだったかな






やっぱり
今かな。





満ちる月の道が満ちるのは


今だ。





今。



今、

どこからか、


目に見えないところから、

沈丁花の香りが流れてくる。



どこかで咲(わら)っている。






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