星さんぞう異文化きまぐれ雑記帳

異文化に接しての雑感を気ままに、気まぐれに

別府温泉道名人への足あと

2016年05月21日 23時16分06秒 | Weblog
それは2014年10月のことでした。別府市内成のロングステイ施設「ホリデーハウス御園」チェックインでお世話になった別府APU大学の学生さんを別府駅まで送り届けて、今後の別府生活のいろいろを教えてもらっていた時に始まります。

別府で温泉を楽しむのに無くてはならないアイテムとして「温泉本」を紹介してもらいました。500円とちょっと割高感ありでしたが、別府八湯の提携旅館・ホテルの6湯無料入浴券がおまけについて、それだけでも2〜3千円の価値のある、お得な買い物でした。その温泉本の中に温泉道の詳細が紹介されており、短期間の旅行者にはちょっと難題ながら長期ステイする者にはもってこいの企画だと飛びついて、別売りのスタンプ帳「スパポート」を速攻で購入。見た目もパスポートそっくりなシロモノで、発案者の遊び心が溢れた一品でした。このスパポートの有効期限満了日が「別府八湯の湯の尽きるまで」と来られたので大笑いです。

 

重複しない八十八湯のスタンプを押す88個の空欄を見ただけで気が遠くなりそうで、こりゃ何年かかるのかと先が思いやられたものでした。

別府八湯で温泉道に参加している共同浴場、旅館・ホテルを探すのだけでも相当難しそうです。とにかく古い温泉地ですから道が狭い上に複雑に入り込んでいたり、一方通行であったりと難儀します。軽自動車のレンタカーは大正解でした。まず道に迷って土地勘を養うしかあるまいと観念して走りまくることからスタートです。そのおかげで今や別府のランドマークに類する場所にはほぼ間違えずに行けるようになりました。

温泉県大分には湯布院をはじめとして別府周辺に数多く名湯・秘湯がありますが、温泉道は別府八湯に限定されているので、当面は脇目を振らずに88湯の制覇を第一目標に邁進することとしました。スタンプ集めの過程で自分好みのタイプの温泉に巡り合っても、そこに戻るのは名人になってからと自分に言い聞かせてスタンプの数を稼ぐことを優先させるという、修験者にも似た自己規制力、まさに「温泉道」修行者そのもののスタンスなのです。

ラジオ体操のスタンプをもらうのを楽しみに通った小学校の夏休み・・・・数十年前を苦笑しながら思い出しています。


別府だより(3)別府八湯温泉道

2016年05月19日 21時38分12秒 | Weblog
二年前2014年秋に初めて滞在してすっかり気に入った別府内成のホリデーハウス御園。二週間の滞在では楽しみ方も中途半端になってしまうので、次の2015年秋は利用限度いっぱいの四週間滞在してみました。「毎日毎日なにやるの?」と周りからはいぶかしがられています。

別府生活での最大のアクティビティは大好きな温泉を巡ることです。「温泉巡り」と一口に言っても、実は大変奥が深いのです。そもそも「別府温泉」と十把一絡げに言われるものの、実は「別府八湯」と呼ばれる八つの異なった温泉郷から成り立っています。別府駅周辺の市街地中心部にある「別府温泉」「浜脇温泉」。いわゆる「地獄」の集まった地区の「鉄輪温泉」とその手前の「観海寺温泉」「堀田温泉」。別府では一番山側の高地に展開する「明礬温泉」と、逆に別府湾に近い「亀川温泉」。鉄輪から亀川に降りて行く途中にある「柴石温泉」。これで「八湯」です。日本の源泉の約1割に当たる2300もの源泉がこの別府八湯にはあるそうです。まさに温泉天国じゃありませんか!!

別府八湯はその泉質は言うに及ばず、周囲の景観、立地がそれぞれ異なることから実にバラエティー豊かな温泉を楽しむことができるのです。地球上には11種類の異なる泉質の温泉が存在するそうで、そのうちの放射能泉を除く10種類の温泉が別府では湧出するそうです。私の一番好きなのは「白濁した硫黄泉」で、別府八湯では明礬温泉がそれに当たりますが、別府を深く知るためには自分の好き勝手は言ってられません。「敵を知り己を知る」のが先決です。

こんな温泉好きの私にピッタリの企画に巡り会いました!

別府八湯地域で温泉を核にウエルネス産業を興すことを目的に設立されたNPO法人ハットウオンパクが仕掛けた「別府八湯温泉道」がそれです。

なんとも遊び心に満ち満ちた企画です。別府八湯温泉道に参画する(市営・民営問わず)140余りの温泉から自分の好きな温泉を巡り、入浴の証としてのスタンプを集め、その数88箇所を制覇すると「別府八湯温泉道名人」に認定されるのです。

名人を目指すには事務局の発行する「温泉本」とスタンプ帳「スパポート」合計700円の投資が必要です。

  


残された時間に限りがありますので先を急ぎましょう。

2014年10月にスパポートに最初のスタンプを押してもらって名人への第一歩をスタート。2015年10月の別府滞在四週間の他に2016年1月に一週間、更に2016年4月に一週間別府詣をして、ついに2016年4月4日満願成就。第6100代温泉名人に叙せられたのであります。

段位認定状と副賞の「温泉名人」と金糸で縫い取られた真っ黒な温泉タオル。これが欲しくて、地獄の責め苦のような温泉漬けの日々を足掛け3年間頑張り続けた結果たどり着いた、「あ〜極楽、ごくらく!」の世界なのです。

 


心地よい温泉に身を浸して全身を伸ばしきり「ごくらく、極楽」と悦にいるのも楽しいのですが、名人になるまでの足取りを思い出しながら、牛が食べたものを反芻して二度楽しむが如く、もう一度八十八湯を楽しんでみようかと思います。

題して「別府温泉道名人への足跡」しばらくの間お付き合いいただければ幸いです。

ケロウナ便り(152)ゴルフも仕事?

2015年08月08日 17時36分19秒 | Weblog
1910年創設の名門ゴルフ場Vancouver Golf Clubにサクッとご挨拶してきました。来週開催されるカナダ女子オープンの開催コースで、それに向けての準備作業が着々と進められているところでした。

  

サンフランシスコからケロウナに遊びに来ていた娘と孫を乗せてバンクーバーまでの450キロをひとっ走り。ケロウナには来られなかったものの、バンクーバー観光をする家族に合流する婿さんを空港に迎え、本格的中華料理に飢えている身は、ビクトリアの中華料理店を一心不乱に目指しました。市民人口に占める中国人の比率が47%と聞いていましたが、周辺の街のたたずまい、歩いている人を見る限り、中国のどこかの街にいるようで、カナダにいることを忘れさせられるようです。

車で来ているメリットを生かして宿はバンクーバー市内を避けて、20キロほど離れた郊外のCoquitlamにとりました。
ここはここで、ホテル周辺の一角はハングルで書かれた看板が林立する韓国タウンの様相を呈しています。アジアンパワーが全開ですが、我が祖国日本の面影はどこにも見当たりません。道路を隔てて筋向かいにある「House of Tofu」なる韓国料理店でのスンドゥブは秀逸でした。知っている限りの韓国語を乱発して「マシッソヨ」なんて味を褒めたら、あんたの韓国語の発音完璧!顔立ちも日本人というより韓国人!本当にあんた「オリジナル日本人?」なんて逆に褒められ?ました。苗字から判断しても多分ご先祖は半島方面から流れてきたであろうことは想像に難くないし、おばさんと同じ系統の人間ではあろうと韓国語で説明する能力もないので、笑ってごまかしながら、他の韓国語をちらつかせるのが精一杯でした。韓国語の勉強もしなくっちゃ!!

閑話休題。名門ゴルフ場の話に戻しましょう。

三歳児の孫の生活パターンを中心に一族郎党が行動する関係で、どうしても就寝時間が早く、それでなくても早いじじばばの起床時間が必然的にさらに早まります。早朝5時に目を覚まし、行くところもなく、時間の流れの遅さを相手に悶々としているジイジをご想像あれ。

そんな時に私は、徒歩でなり車でなりホテル周辺を探索することが大好きです。夜の明けきらないうちに単独行動するのは不案内の土地では慎んでいますが、車でなら暗いうちから行動開始することも珍しくありません。今回もそんなぶらぶらドライブ中に通りすがりに立派なゴルフ場を見つけたので、ついフラフラと闖入してしまったものです。

駐車場に車を停め、プロショップを覗いたり、コーヒーショプでコーヒーを注文したり、日本の名門コースだったら訝しげに見られもしようけど、鷹揚な当地では通りすがりのメンバーからも「グッドモーニング!」なんて声をかけられて気持ちのいい朝でした。

プロショップの脇の壁に仕事場にあるようなタイムカードの機械が置かれています。その脇にはパンチカードもあります。4時間10分以内でラウンドするようにとの目安が示され、それを超えるような遅いプレーはメンバーとして恥ずべきこととして、一定の罰則規定まで設けられているようです。

 

初級ゴルファーをビジターとして大量に受け入れている日本のコースの様子とは、プレイ時間の短縮に向けての力の入れようが違います。尤も、ここまで厳密な時間管理するのはその土地での名門とされているプレイベートクラブだけの話であり、リゾート客にも門戸を開いている一般のゴルフ場ではここまでの徹底ぶりはありません。マーシャルが回ってきて「もう少し早くプレーして」と苦言を呈する程度の話です。

私の友達からよく声をかけてもらう1920年創設のケロウナの名門ゴルフKelowna Golf and Country Clubでも同じシステムを採用しています。ラウンドスタート時ににパンチインして、途中もスピートアップに気を配り、プレイの遅い仲間がいると、まだ全員ホールアウトしないうちに次のホールのティーグラウンドに向かって走り出すなんてカナダ人の友達もいます。

ラウンドを終了してスコアの確認や帰り支度を始めている私を尻目にタイムマシンに走り出す友達の姿を見ていると、出勤時のタイムカードに印字される時間が青か赤かギリギリの綱渡りをしたサラリーマン時代を思い出して苦笑いしてしまいます。

ケロウナ便り(151)山火事

2015年07月27日 00時23分10秒 | Weblog
森林が多く、空気の乾燥する夏場のBC州では大型?山火事(100ヘクタール以上の森林を焼く山火事)が毎年1,800件以上発生しているそうです。British Columbia州だけで現時点で81件件以上の大型山火事が発生しているとのことです。発火の原因は、タバコの不始末・キャンプ場での焚き火の不始末等の人為的なものが39パーセント、落雷による自然発火が61パーセントだそうです。ケロウナ周辺のゴルフ場でもコース内禁煙が徹底されています。
詳しくは山火事情報を取りまとめたBC州の専門のサイトをみてください。

 

ケロウナの中心から17キロ北西に位置するオカナガン湖西岸沿いの森でも、7月19日の落雷で発火した山火事が460ヘクタールにわたって燃え広がり、7月24日現在鎮火率25%とのことで、未だに燃え続けています。
詳しくはケロウナのローカルニュースを参照してください。

人為的な原因での火災発生は言語道断ですが、落雷を含む自然現象に起因する山火事は、ある意味では自然界の代謝に寄与する部分もあり、消火にあたる当局や避難住民のご苦労に対してはお見舞い申し上げるものの、自然界の循環を促す側面もあるので、あながち悪いことばかりでもなさそうです。

乾燥の続いた7月のケロウナにも久しぶりの恵みの雨が25日に降りました。消火活動への幾分かの助けになることを願っています。



ケロウナ便り(150) ブログで出会い

2015年07月20日 19時06分51秒 | Weblog
愚にもつかない絵日記のブログながら、これを読んだ方からコメントをいただき、それがご縁でケロウナで出会うなんていう、ネット社会ならではの刺激的な体験をさせてもらいました。ネットを通しての出会いなんて、若者だけの特権でもないのです。

お子さん二人がアメリカで生活していて、彼らを訪問するついでにカナダの田舎町に足を伸ばす旅行を楽しみとしている、東京にお住いの団塊世代のS夫妻とケロウナで交流する機会に恵まれました。

ブログのコメント欄が唯一の連絡手段であるため、お互いに実名や連絡先を公開するわけにもいかず、隔靴掻痒の感を否めないまま連絡し合い、とうとう「ナマのご対面」と相成った次第です。駅の掲示板への書き込みだけで連絡を取り合って恋愛を成就した話をどこかで聞いた記憶もあります。若い男女の間とは趣が異なりますが、分別を身につけたシニア同士の「コメント欄交信」もそれなりに刺激的で、「答えはまだか」とワクワクもしたものです。

ケロウナの目抜通り沿いにあるホテルに、約束の時間よりちょっと前に到着です。サラリーマン時代に教わった「5分前主義」が身に染み付いています。この「ちょっと前」というのがシニア世代の良識なんです。これから始まる「ときめきの出会い」の前に、はやる気持ちを落ち着かせるクッションの役割もするのです。

すると相手もさすがに良識派のシニア、すでにロビー片隅のソファーでこちらの到着を待ち構えていました。ようやくお互いに本名で名乗り会える喜びにうち震えながら早速名刺の交換です。

私の名前は珍名・希名に属する方なので、初対面の方にいちいち説明する手間を省くためにお遊びの名刺を用意しているのですが、これを見たSさん、名刺を一瞥しただけで「◯◯さん?」とおっしゃるじゃありませんか。あまりにもあっさりと私の名前を読み上げた上に「上野の◯◯さんはご親戚?」と来たもんです。

「え、え、え〜っ!私の従兄弟ですけど!ご存知なの?」
「わたしゃアメ横生まれのアメ横育ち、◯◯さんのK子ちゃんとは同じ小学校の仲間だし、おじさんもよ〜くしってるよ」
「え、え、え〜っ!私も学生時代の夏休みにあの電気屋に住み込んでアルバイトやってたのよ」

奇遇というか、世の中の狭さというか、久しぶりに鳥肌の立つ経験をしました。どこで誰に会うかわからないものです。いつも襟を正して生きなくちゃいけませんねぇ!

なんかもう年来の知人・友人のノリで話が弾み、これから先はホテルロビーでの立ち話では済まされなくなり、到着早々の疲れもなんのその拙宅に無理やり引っ張り込んで話の続きをすることになりました。

このご夫婦は年に数回太平洋を渡って一週間ほど滞在し、各地でゴルフと散歩をするのを楽しみにしているとのこと。

 

早速我が家の裏山のトレールにご案内し、歩きながら手軽にお遊びゴルフのできるコースにご案内しました。

 

存分に楽しんでいただけたようで、来年もまたケロウナに来たいとおっしゃっています。夫婦二人だけでは暇を持て余すケロウナ生活に刺激を与えてくれたお二人にはまた来年も再会したいと念じていますが・・・・・・、どうなる我が家の2016年夏?!

ケロウナ便り(149)10年目のケロウナ

2015年07月04日 23時10分55秒 | Weblog
ケロウナを最初に訪れて一目惚れしたのがちょうど10年前の2005年6月。ケロウナとの付き合いも長くなりました。縁あって手に入れたコンドミニアムで毎年夏に3〜4ヶ月ステイしてカナダの生活を満喫するパターンが今年で10回目を迎えます。

「10年にわたるカナダ生活」との最初の目標は一応クリアーしたし、歳も歳になってきて夏場の二重生活の段取りが負担になってもきたので、そろそろ毎年のケロウナ詣でも見直す時期に来ています。

最大の課題はコンドミニアムの売却です。不動産マーケットは相変わらず好調のケロウナ、もともと自分で使うために手に入れたもので投資のための物件ではないので、大損しなけりゃ「御の字」との価格設定でいけば、さほどの問題なく売れるのではないかと楽観視しています。ただ、10年間の生活で増え続けた家具・道具類の始末が想像しただけでも大変難儀しそうで気の重いことです。

裏を返せば、家具付きの別荘として、または近くにある大学の学生相手の賃貸用の物件として「即戦力」であるのは間違いないので、家具・道具・調度類すべて込み込みの売却を目論んでマーケット探しをするつもりです。

「到着早々に売りに出し、早く売れたらステイを短縮してもOK」ほどの強い気持ちで今年はケロウナに乗り込んだのですが・・・・・、到着初日に早くも気持ちが揺らいでいます。

 

日中あれほど暑かったのに、夜になるとなんとも爽やかな乾いた空気に包まれて「ああ、ケロウナに帰ってきたなぁ!」との実感がそうさせているのでしょう。「まだ終活を始める歳でもないし、もう少しいいか」と自分に言い聞かせている始末です。初日から早くも方針の見直し作業に入る、融通無碍というか柔軟というか、無節操な私です。

乾燥した夏の気候はエンジョイし続けたいけれど、二重生活の継続は経済的負担もバカにならないし・・・・。

そこで急遽浮かび上がってきた選択肢としての「コンドはキープして9月から5月まで大学生に貸し、6月〜8月の夏休みで学生がいなくなった時に自分たちで使う」という理想的なパターンが実現できないかも探ってみることに方針変更です。

夏場の3〜4ヶ月だけ自分たちで使い、残る8ヶ月を空き家としてきたため汚れようがなく、室内の状態はほぼ新築当時のままに綺麗に保てているのが自慢のコンドですが、他人に貸せばこれがどうなるやら・・・・?

外国人所有の不動産の売却、賃貸をめぐる諸々の勉強材料がたくさん出てきて(無理やり出してきてと言うべきか)、この夏も退屈せずに済みそうです。

問題解決の2〜3年先送りを視野に入れれば終活なんてやってる場合じゃないぞ。ガンバレ!


別府便り(2) 内成(うちなり)というところ

2014年11月12日 23時57分33秒 | Weblog
これから二週間お世話になるホリデーハウスのある「内成」について別府の人に訊くと、「うちなり?それ何処?」という反応はさすがにないものの、「ああ知っているけど行ったことはない」「あんた、あんなとこで何してるの?」との反応がほとんどでした。つまり、他県から別府を訪れる観光客が訪れることはまずない土地で、地元の人も滅多に訪れることのない、世帯数85,人口300人ほどの山合いの過疎の村なのです。知っている人は「ああ、棚田の内成だね」との反応が大多数なのです。

兼業農家が殆どのようです。若手の後継者が少ない中でご先祖様の残してくれた美しい棚田を維持しながら地域の活性化を図ろうと、内成活性化協議会を中心に住民みんなで頑張っている、日本の田舎の原風景が溢れる、肩の力が一気に抜けて心も体も癒やされる、心地よい景色に取り囲まれた里山です。

言葉で言い表すより、この素晴らしい内成を広く紹介するサイトを見てください。
まずは写真家・竹内康訓氏が撮り貯めたフェイスブックの内成写真集
そしてもひとつは、内成の日々を綴ったフェイスブックの「内成棚田」コミュニティー

別府駅と内成地区を結ぶ路線バスは亀の井バスが運行しており、通学児童の利用する平日に一日6往復、学校が休みの週末は一日3往復。自家用車がなくては生活が成り立たない、大いなる田舎です。地域を走る道路にはもちろん駐車禁止の標識は一切無く、どこでも路上駐車ノープロブレム。スローライフ満載です。

  

多数の観光客が訪れる湯の町・別府の中心部から車でほんの15分、15キロほど山あいに入った所とは信じ難い風景が目の前に広がります。
「日本棚田100選」にも選ばれた「内成棚田」を観光資源として活用して地域の活性化を図るべく、地元の大学APUとも提携しながらその活動の輪が広がっているようです。今回利用させてもらったホリデーハウスも、APUと内成活性化協議会とのコラボレーションの産物であることは前にも書いたとおりです。

よそ者は、いとも簡単に「この素晴らしい景観はぜひぜひ末永く残って欲しいし、残してもらいたい」なんてお気軽かつ無責任に言うけれど、若手の農業従事者が減る中で、内成地区の当事者の方々のご苦労は計り知れないものがあります。この地区に足を踏み入れただけでなく、そこに暮らす人々と短期間ながら接した者の一人として、何らかの方法でこの活動のお手伝いができないかと考えていたら、「棚田オーナー制度」があることを知りました。一日一合のご飯を二人で食べる老夫婦には30キロの玄米を送ってもらっても手に余る心配はありますが、早速オーナー登録を検討したいと思っているところです。




別府便り(1)別府でロングステイ

2014年11月09日 23時41分10秒 | Weblog
洞爺湖町での二週間のロングステイに続いて、こんどは別府で二週間のステイです。

2007年冬のケロウナで年甲斐も無くスキーに挑戦して、骨折こそしなかったものの筋肉または靭帯を傷めて左腕が上がらなくなり、整形外科や整体師に匙を投げられたたので、2007年春に友人のお宅に泊めてもらって一週間の湯治生活(実態は単なる温泉巡り)を満喫したのが湯の町別府との最初の出会いでした。

一週間の湯めぐり程度では傷んだ腕が快復するはずも無く、多くを期待はしていなかったのですが、鏡を見て驚いたのは赤みのさした自分の顔色です。自分でも恥ずかしくなるくらいの、健康そのものの顔色であったことを今でも覚えています。お世話になった別府のTさんの顔がいつもテカテカと赤く光り輝いているのは温泉パワーのおかげに違いありません。

温泉好きでは人後に落ちないと自負する私は、バラエティーに富んだ別府の温泉にぞっこん惚れ込み、いつの日にかゆっくりと温泉三昧の日々を過ごしたいと願っていたのです。

実は、会社の先輩でゴルフ仲間でもあるMさんが、定年退職を機に故郷の唐津に転居したのを口実に、Mさんとの交流を名目とした秋の九州ゴルフツアーが仲間の年中行事となっているのです。そのツアーも今年で5年目を迎え、宮崎が今回のデスティネーション。一泊ツープレーでとんぼ返りする仲間もいますが、例によって私はせっかくの飛行機代を無駄にしないため、他所に廻ることにして地図と首っ引きで研究した結果、「別府に行こう!」との結論に達したのです。

大分から成田に飛ぶLCC(格安航空会社)を利用すれば、宮崎から東京に帰る航空運賃との差額で宮崎・別府間の汽車賃もひねり出せるので、願ったり叶ったりです。

「願えば叶う」とは巧く言ったものです。長期滞在して生活しながら別府を楽しめる恰好のロングステイ施設にも巡り会えました。私の「国内ロングステイ基準」にこれまたぴったりの物件です。立命館アジアパシフィック大学(APU)の学生グループと、地域おこしを図る地元有志とのコラボで出来上がった施設、「ホリデーハウス御園」のお世話になって念願の別府でのロングステイが実現するのです。「御園」は別府市街の西側に位置する急斜面の丘陵を登りきったところに位置する内成地区の「あざ・字」名から命名されたものです。相当な田舎のようです。

久しぶりに特急列車に乗り、汽車の旅3時間の旅情を満喫して別府駅に降り立って、今後2週間の足として活躍してくれる軽自動車を借り出して御園に向けてスタートです。カーナビに「別府市内成」とインプットし、その先の「御園◯◯」と入れようとしても、内成でおしまいで、その先がインプットできません。「ま、いいか。内成に着けば分かるだろう」と見切り発車得意の私は鼻歌交じりで出発進行!

ところが・・・・・、ナビ通りに走ったら、とても人の住めそうもない山合いの峡谷に連れて行かれ・・・・??? しかも「目的地近くに到着です」なんてナビは言う。

たまたま通りかかった県か市の作業公用車に尋ねたら、とんでもない逆方向に連れてこられたらしいことが判明。Uターンして仕切り直しして予定の倍近い時間をかけてようやく到着です。後でわかったことですが、「内成」はかなり広い地域で、元々は隣接する由布市に属していたものが、御園を含むその一部が別府市に編入された歴史があるようで、どうやらさすがのカーナビも、過疎に近いこの辺りまではアップデートできていなかったらしいのです。

それにしても、幾山坂越えて、悪路と格闘した挙句にたどり着いた御園の景色と、これからお世話になるホリデーハウスが目に入った瞬間に、すべての苦労が報われ、肩から力がフーッと抜けた感じがしたことでした。







洞爺湖便り(7)はいどうど

2014年09月20日 22時10分41秒 | Weblog
これまでの人生で馬に乗ったことが二度あります。最初は60年近く前に神奈川国体で馬術競技に出場した従兄弟を応援に川崎競馬場へ行った時。当時獣医大学生であった従兄弟の愛馬にのせてもらい、馬場を1~2周したのでしょうが記憶が定かではありません。二度目はもう6年前になりますが、アルゼンチンに短期語学留学に行った時、学校の課外活動でのピクニックでお遊びの馬乗り。この時には馬のコントロールの仕方が分からず(誰も教えてくれず)ただ馬の気の向くままに任せてのダラダラ・グテグテの数分間で乗馬なんてものではなく、消化不良だけが残る体験でした。

旧い話ですが、アラカン扮するところの鞍馬天狗が杉作をのせて京の街道を愛馬(白馬であったのですが号は覚えていません)にまたがって疾走する場面を「かっこいいなぁ!」と感動して観ながら拍手したことを今でも覚えています。あんな具合に馬にまたがって一度で良いから疾走してみたいと、かねてから夢見ていながらその夢の実現に向けての一歩が踏み出せないままで今日に至っています。

 

どうやらその第一歩を踏み出す時が来たようです。疾走するのは百年早そうですが、馬子(インストラクター)が手綱を引くのではなく、自分一人で馬をコントロールしながら洞爺湖の森を40分ほどトレッキングするコースに参加してみました。

あてがわれた馬の名前が「サクラ」。栗毛色の精悍な馬とは違って、薄茶色の気の弱そうな馬です(写真右上)。どちらかというとあまりやる気のない馬で、すきあらば道草食ったり楽をしたがるタイプ。手綱を通してのコミュニケーションをしっかり取らないと舐められかねないので要注意との事前情報です。なんだか乗り手と同じタイプの馬で妙に親近感が湧きます。かかとで軽く蹴って始動させ、手綱を引いて止め、小指方向に向けて軽く手綱を左右に引くことで方向を修正する、この三点だけを教わって即行動開始です。

今日は快晴ながら昨夜の雨でトレッキングコースはどろどろのぐちゃぐちゃ。サクラのやる気が一気に萎えそうで心配です。教わった通りの要領でサクラの横っ腹を踵でキック。面倒くさそうにしながらもサクラは静かに山道を登り始めました。「ナイスキック!」とインストラクターが褒めてくれました。OB杭にはじかれてフェアウェイに戻ったゴルフボールと同じで、結果オッケーのスタートです。

インストラクターが先頭を歩き、もう一人の生徒(休暇旅行中のヤングレディー)を乗せた馬(ハルカ)がサクラの前を歩いて30分ほど裏山を登って降りる初級コースながら、自分の手綱捌きで落馬することも無く、山の上からの素晴らしい眺めも楽しめたので、それなりに満足できたトレッキングでした。

  

道に落ちた馬糞は何度も見ていますが、歩きながら目の前でハルカのやらかす行為は想像以上の迫力であったことと、30分ほどの行程で2~3回も目撃するとは驚きでした。馬の視野は350度で真後ろ以外は殆どのものが目に入るそうで、唯一の死角は真後ろだそうです。真後ろに居ると蹴られるのは臆病なくらいに注意深い馬の習性と聞いて目からウロコでした。

 

ランチは洞爺湖町の道の駅あぷたの自慢の逸品「ウニ丼」。イベントで今日は100円の割引です。コレステロールのことは今日は忘れることにして堪能しました。で、このウニが「ばふんウニ」だと。・・・・話が出来すぎてるんじゃない?

洞爺湖便り(6)ちょっと遠足に

2014年09月19日 21時34分21秒 | Weblog
せっかく洞爺湖にベースキャンプがあるので、周辺の町でこれまで行ったことのない所を訪れるのも今回の楽しみの一つです。札幌には何度も行っているので今回は外し、余市と小樽に初めて行って来ました。

余市は9月29日から始まるNHK朝ドラの新シリーズ「マッサン」の舞台となる町で、放送が始まったら観光客でごった返すに違いなく、スタート直前の今こそ絶好のタイミングでありました。ニッカウヰスキー余市蒸溜所のガイド付きツアーも混んでおらず、ランチにジンギスカン定食を食べたレストランもまだまだ空席がありました。

     

余市の産んだもう一人の英雄、宇宙飛行士の毛利衛さんを讃えて、観光協会の建物は宇宙記念館をも兼ねていて余市への観光客を呼び込む目玉として活躍しているようでした。ついでと言っちゃナンですが、洞爺湖から余市に向かう途中に真狩(まっかり)という小さな町があり、演歌歌手細川たかしさんの生まれ故郷だそうで、そこの道の駅ではハリボテの細川さんが迎えてくれました。故郷の産んだ名士が観光に一役も二役も買っている姿は微笑ましものです。

 

小樽観光の定番、運河見物とガラス工芸店冷やかしだけをサクッと済ませて朝里川温泉へ。そして小樽では決して外してはいけない寿司屋へ直行です。寿司を食べながら仕入れた翌朝の朝食ネタ。地元の魚を豪快に食べさせてくれる「民宿青塚食堂」へ行けとの指示に素直にしたがって行って来ました。これが美味かった!



そして、札幌に立ち寄らずに小樽から定山渓温泉経由で中山峠を越えて2時間で洞爺湖に戻ってまいりました。
洞爺湖のマイホームに帰り着くと「ああ~帰って来たぁ。ウチが一番良いよなぁ!」といういつものセリフ。温泉と美味いもの食べた幸せをもう忘れかけているようです。

ちなみに、今回の立ち寄り湯は素人っぽい定山渓ではなく、隣の小金温泉という、玄人受けする温泉にしておきました。はい。