星さんぞう異文化きまぐれ雑記帳

異文化に接しての雑感を気ままに、気まぐれに

ケロウナ便り(162)最終便です

2017年08月16日 16時57分00秒 | Weblog
2006年の夏にケロウナでの長期滞在生活を始める時、周囲の友達からは「お前らゴルフしない時には何やってるのよ?」「すぐ退屈するんじゃないの?」とご心配を数多く頂きました。

個別に返事を出す代わりに書き始めた絵日記代わりの「ケロウナ便り」。コンテンツに何の社会性もなく単なる個人の自慢話の羅列とも言えるシロモノで公開に躊躇しましたが、友達からは「もっと続けろ」と励まされ、その気になって書き続けたらなんと160号を超えてしまいました。

ブログを通して知り合いになった友達も何人かいて、ネット社会のワクワクドキドキも体験させてもらいました。

海外での生活経験が世間一般の人に比べて永く、日本でのウエットな生活より海外でのドライな方をより好む傾向のある夫婦なので、不安より期待のほうが上回っていたのは事実ですが、未体験ゾーンへ足を踏み入れることにワクワクドキドキしていたことを思い出します。

海外に長期に滞在することにより、日本での親戚づきあいや交友関係では不義理する場面が多く、半ば諦めてくれた親戚、友人の皆さんに感謝感謝です。

日本の過酷な夏に家を長期に空けるには、部屋の通気やカビ対策は不可欠で、、永きにわたって留守中の面倒を見て下さったH先輩ご夫妻のご支援が無かったらこの生活は成り立ちませんでした。感謝あるのみです。

2人しかいない子供が二人ともアメリカに住んでいて、日本のジジババが直面する「孫の面倒見」の必要も無く、勝手気ままに脳天気に行動できたのも幸いでした。

こうして、サラリーマンの定年後の生活としては稀有な体験をさせてもらった、刺激に満ちた思い出いっぱいのケロウナ生活に一区切りつけて、これから迎える老後(もうとっくにその時期にあるんですが・・・)の生活へ一歩踏み出します。

「まだケロウナ引き払うことないじゃん!」と言ってくれる友人がたくさんいます。有り難いことです。

実は、自分のコンドと車を処分しただけで、ケロウナ生活のすべてを終わらせると言ってはいないのです。これからは、これまでに培った友人知人のコネをフルに駆使して、豪邸オウナーの留守を狙って2〜3週間忍び込む「空き巣狙い型長期滞在」で美味しいところだけを頂戴しようというシタゴコロを捨ててはいないのです。なんせ、ケロウナに勝る天国はありませんから。

「天国のケロウナと地獄の別府」これが老後のテーマです!!

最後に、ケロウナ生活を支えてくれたサイドキックちゃん、MVPおよびハイランダーの勇姿と長年お世話になったコンドミニアムの姿をお届けして「ケロウナ便り最終便」とします。

永きに渡ってのご愛読、ご支援を感謝申し上げます。有難うございました。



 




ケロウナ便り(161)卒業温泉旅行(4)

2017年08月14日 10時47分41秒 | Weblog
Kootenay Rockiesに沿って南北に走る温泉街道の北端にあるRadium Hot Springsという街は知っていました。カナディアンロッキーの観光基地バンフから一時間半に位置するため観光客でごった返す、いわゆる「俗化」されすぎた温泉として、自分では敬遠し続けてきたし、今回の卒業旅行でも素通りするつもりでした。いわば食わず嫌い、温泉だから「入らず嫌い」とでも言うべきでしょうか。

ただ、ラジウム温泉という名前が気にかかります。天下の名泉・別府八湯には地球上のあらゆる種類の温泉があるが放射能泉だけは湧出していません。別府ですら体験できない放射能泉なら話のタネに入っておこうとばかりに、素通りせずに立ち寄ることに方針変更です。

温泉施設が公表する温泉分析表には硫酸塩、炭酸水素塩、カルシウムを多量に含むがラドンまたはラジウムの含有が記されていません。1914年に実施されたMcGuill大学による分析調査の際に微量のラドンが検出され、その量が英国の有名な温泉Bathをしのいでいたため、町興しの目玉としてRadium Hot Springと命名したとのことでした。



子供たちの歓声が響き渡る29度の温水プールとは違って、44度の源泉から39度に下げて注がれる温泉プールは、周囲の自然にも溶け込んだ、なかなかのものでした。カルキの匂いに負けない温泉らしい鉱物の香りも主張されていて、「寄ってよかった」と思わせる名泉と言っておきましょう。

これで温泉街道のメジャーな温泉は完全走破です。ケロウナまでの距離は約500キロ。真っ直ぐ帰ることも可能でしたが、ガツガツしない卒業旅行なので、松茸狩りで何度もお世話になったRevelstokeに挨拶がてら一泊することにしました。リタイアした夫婦が営むBB(Bed and Breakfast)はピークシーズンでもあるので超満員。カナダ人老夫婦、ドイツからのカップル、ベルギー人の夫婦を含めて客を取りすぎてオーバーセールとのこと。





この街はMt. Revlestoke National Parkを擁するKootenay Rockiesへの玄関口として堂々たる存在感を示す、アウトドア派特にスキーヤーには垂涎の的ですが、松茸派の我々には単なる通過地点でしかありませんでした。

ケロウナから200キロ弱にありながら山頂に万年雪を湛える、いかにもカナダっぽい景観を呈する落ち着いた佇まいの好感度の高い街で、10年前に友達のHさん家族と一緒に行ったハイキングの思い出が詰まった街でもあります。

こうして三泊四日のケロウナ卒業旅行も無事に終幕を迎え、明日は200キロの帰路をのんびり、ゆっくり走って、途中のVernonでHさんの営む日本食レストランで待望久しい本格的「冷奴を」ご馳走になって1300キロのドライブも無事大団円を迎えます。

長々とお付き合い頂き、有難うございました。


ケロウナ便り(160)卒業温泉旅行(3)

2017年08月13日 16時58分24秒 | Weblog
今回の三泊四日の温泉旅行のハイライト、Lussier Hotspring入浴の日が来ました。

名湯・秘湯への思い絶ち難く、はるばる700キロの道のりを二日かけてやって参りました。はやる気持ちを抑えながら、ホテルが経営するゴルフ場のレストランで朝食です。10年前にここを通過した時は車にゴルフ道具も載せてありましたが、今回は温泉旅行ということでゴルフはパス。ゴルフ場に来ても血は騒ぎません。



何を食べるか迷っていたら、立派な朝食が5ドルと、まさにワンコイン感覚のお得感抜群のメニューに遭遇。周りのプレーヤーたちにも大人気のメニューのようでした。迷わず注文して三文得した感じです。



チェックアウト前の朝風呂から始まった一日は、5ドル朝食で身も懐もご機嫌になり、今日一日の充実ぶりの予感で一杯です。

ハイウェイを南に30キロ下り、未舗装の林道を20キロ走ると駐車場に到着です。未舗装とは言え10年前に比べると利用者も増えたのか、ホコリを抑える散水車が走ったりとサービスが改善しています。





朝早く来たので先客は少なく、駐車場の車の陰で水着に着替えてノープロブレム。駐車場から崖沿いに300メートルほどの歩道を下るだけでLussier河畔の湯壺に到着です。

 
 



川面に近い水風呂から始まって、上に行くに従って泉温も高くなる湯壷が全部で4つ。最上段は39〜40度と立派な露天風呂です。40度前後に冷めた源泉が流れ込んでくる岩肌には湯の花がまとわりつき、ほんのりと香る硫黄臭が温泉キチガイの私にはタマリマセン!これに再会したくて700キロ走ってきたんです。

700キロ走破の労苦が報われた至福の瞬間です。もう何も思い残すことはありません!!

満願成就の充実感と一緒に帰路について通りかかった街がRadium Hot Springs

「食わず嫌い」「入らず嫌い」であったことを思い知った話の続きは、つぎのお便りで。

ケロウナ便り(159)卒業温泉旅行(2)

2017年08月12日 21時48分44秒 | Weblog
二日目の目的地は温泉街道の中心に位置する街Fairmont Hot Springs にあるFairmont Hot Springs Resortです。

10年前には時間がなかったのでゴルフ場だけチラ見して通過しながら、気になっていた温泉です。Ainsworth温泉の近くにあるBalfourからKootenay湖をフェリーで東側に渡り、そこからCreston, Cranbrook経由で今日も凡そ300キロの行程です。

昨日が8月第一月曜日「BC Day」といってBritish Columbia州の祝日。週末から続くLong Weekendを利用してこの時期にBC州の人々は家族旅行に出かけることが多く、道路事情は普段以上の混雑を覚悟せねばなりません。フェリー乗り場についたときにはまだ列は短かったのに、あっという間にキャンピングカーやらトレーラーが集まってきています。こちらの心配を他所に、そのすべてを飲み込んでフェリーが出帆。カナダらしい、BC州らしい光景です。



今回の旅行のメインイベントたるLussier Hot Springsへの入り口を横目に見ながら、ちょっとサクッと寄ってみようかとの誘惑も振り切って、今日の目的地Fairmont Hot Springs Resortへまっしぐらに進みます。

Lussierには明日の朝来ることにしていますが、Farimontからハイウェイを30キロ逆戻りして、営林署の管轄するLogging road(材木切り出し運搬専用の未舗装道路)を20キロ以上走る必要があります。Fairmontから往復100キロの道のりを「ちょこっと逆戻りする程度」と思えるようになりました。距離感はカナダ人並みです。

早めに着いたので夕食時間までにはたっぷり時間があります。幸いロッジの部屋から庭続きの近くに宿泊客専用のこじんまりしたプールがあります。泉温39度とカナダ人にはちょっと熱めのためか、子供連れもおらずに静かにゆったりと浸かれる、日本の温泉のような佇まいで、すっかり気に入りました。消毒用のカルキ臭もほとんどせず、源泉の鉱物の香りがうっすらと鼻をくすぐるホンマモンの名泉でした。



おでこに少し汗ばむくらいに長湯を遣い、濡れた体を木陰のデッキチェアに横たえて、体が冷えるまでそよ風に身を任せる、これぞ「ああ、極楽、ゴクラク!」はるばるやってきてよかったあ!!

立ち寄り入浴の客が入れる大きなプールから聞こえて来る子供たちの歓声を遠くに聞きながら、湯治客の風情で何度も何度も入ったり出たりと、別府で鍛えた温泉名人の面目躍如です。

夕食の後と翌日朝食前に繰り返し入浴したことは言うまでもありません。

Fairmont Hot Springs なかなかの名湯です。



ケロウナ便り(158)卒業温泉旅行(1)

2017年08月11日 10時28分46秒 | Weblog
これまでに訪れた世界各地のリゾート地の中でも、私はケロウナが総合力においてナンバーワンと確信しています。

ゴルフ場で有名なところ、スキーヤーの憧れる街、釣りやカヌーのアウトドア派の天国。それぞれ単独ではケロウナに勝る土地もあるでしょうが、そのいずれも交通至便の距離の中に兼ね備えていて、リゾートしての必要条件を満たしているケロウナは、まさにこの世の「楽園」と言っても過言ではあありません。下戸の私には有り難みは薄いものの、ワイン好きにはたまらないワイナリーツアーもできるので、世界中から人が集まるのも至極当然でしょう。

夏季3〜4ヶ月限定とはいえ、そんな楽園で12年もの間生活できたのは、それを可能にしてくれた家族、友人の支えがあったればこそと、今更ながら改めて感謝の念でいっぱいです。

ケロウナ生活を卒業するに際して、卒業旅行を企画しました。

ケロウナがこの世で一番のリゾートなんだから、わざわざ他所の場所に出かけるのは必要もないことなのですが、リゾートとしてのケロウナの唯一の難点は温泉がないことです。

そこで、卒業旅行のテーマは「温泉旅行」!行き先は2007年9月に初めて訪れて大感激したBC州の奥座敷の秘湯Lucier Hot Springs。ここを外すわけにはいきません。

ロッキー山脈の手前(西側)にKootenay Rockies といわれる山々が連なっており、その麓を南北に走る国道95号線、93号線の両側にHot Springsが点在しており、私はこれを「温泉街道」と呼んで憚りません。
BC州の観光当局もそれを売りにして、こんな看板を立てています。



初日の目的地Ainsworth Hot Springsまでは凡そ400キロの行程です。何年もの間に何回も通い慣れた松茸街道の終着点ナカスプ(Nakusp)から100キロほどのところにある、泉温42度の源泉かけ流しが楽しめる洞窟温泉が名物で、今回で3回目の立ち寄りです。

前回は宿代をケチって安宿に投宿したら、一緒に行った仲間からブーイングを喰らったので、今回は温泉を経営する高級ホテルに投宿。しかし折角のLake Viewも山火事の煙のせいで一日中視界が悪く、これなら前と同じ安宿とかわらず、なんか損した感じでした。でも、温泉は気持ちよく、初日を飾るにふさわしいスタートでした。