探すのに苦労した温泉数ある中で、近くまで来ていながら最後のアプローチが巧くゆかず最も難儀した部類の温泉が九日天温泉でした。
内成方面から降りてきて、浄水場を右折して朝見神社の裏側で朝見川を渡って別府公園に向かってまっすぐ走る。ここまではいつも通い慣れた道です。温泉本に綴じ込みの地図を見ながら何度か同じ道を行ったり来たりしても埒が明かないので、通学児童の交通安全を見守るオジサンに聞いたら、「ホテル白菊の角を右折して別府駅に向かい、最初の細い道をまた右折して朝見川方面に戻りながら、右に入る細い路地があるのでそこを入ると、突き当りにあるのが九日天温泉」と明快な説明です。
でも、この説明ですぐ理解できるほどの別府経験もなく、さりとてあまりしつこく聞いても相手も忙しそうだし、気の小さな私は分かったような顔をしてその場を離れました。更に、いつもなら右折できる道が早朝の通学時間と重なって右折ができなかったことが更に事態を悪化させたのでした。ウロウロ迷って同じ道を三周ほど廻り、ようやく辿りつた浴場の目の前には、有り難いことに駐車場が一台分だけ空けて待っていてくれました。
苦労の末ようやくたどり着いた九日天温泉の気持ちよかったこと!それもそのはず、同じ敷地内に源泉があって、そこから湧き出したばかりのトロトロの温泉をかけ流しで利用しているとのことでした。早朝なのに隣町の日出から来ているという話し好きのオジサンも、ここの湯にゾッコンだそうで、何もなければ毎日でも通いたい温泉だと大層の気に入りようです。
湯気を落ち着かせるために表のベンチで一休みしながら眺めていると、隣の新しそうなマンションからも温泉グッズを抱えて人がやってきます。マンションの中にも共同浴場があるはずなのに、わざわざここに入りに来るのだから余程気に入っているに違いありません。
お陰で、今や目をつぶっていても九日天温泉には問題なく行けるようになりました。また戻って来たい温泉の一つです。