星さんぞう異文化きまぐれ雑記帳

異文化に接しての雑感を気ままに、気まぐれに

ケロウナ便り(84) 中古車物語(1)

2008年09月30日 15時15分31秒 | Weblog
自慢できる話でもありませんが、私は百万円以上出して新車を買ったことは人生に二度しかありません。中古車ディーラーから買ったのが3台、友人知人から譲ってもらったのが7~8台でしょうか。車に百万円以上の金は使わないことにしているのです。自動車なんて所詮AからBに安全且つ確実に動けば問題なしと思っているほうで、「命を預ける物だから常に新車であるべし」と何百万円もの大金を平気で車に注ぎ込む人の気が知れません。そんな金もありませんし。

ケロウナに最初に来た2005年の夏、当地で下駄代わりに乗り回すために買った中古車(スズキ製の小型SUVサイドキック1800CC)も、さすが日本車、オイル交換と定期点検さえきちんとやってやったら、二万キロ近く健気に走り続けてくれました。愛情を込めてサイドキックちゃんと呼んであげる所以です。

ただ、広大なカナダで長距離走行したり、ゆくゆくは国境を越えて隣のアメリカに長旅に出かけてみたいなんぞと考え出すと、サイドキックちゃんのパワーと快適性には物足りなさが否めません。日本製のSUVまたはVanの中から、自分なりにメーカー、年式、値段などを特定して具体的な物件探しを始めようかと考えていた矢先の出来事です。

行きつけのショッピングモールで買物を済ませ、駐車場に向かって歩いている私の前を、私がイメージしていた第一候補の車が通りかかりました。「あぁ、あれだよな。あの年式がいいんだよな」と思いながらそれとなく見送ると、後部のガラス窓に「FOR SALE」の張り紙が。駐車場に停めて長身のシニアが店の方に歩き出したのを見て、女房に一言「ちょっとヒヤカシに行ってくる!」と言い残して猛ダッシュ。

お急ぎのところすみません。この車に関心ありなので、ちょっといいですか?
年式は?走行距離は?あなたは何人目のオーナー?事故歴は?そして、いくら?
矢継ぎ早の質問にキッチリと答えてくれた老紳士(というより上下ジーンズの似合う細身のカウボーイ風シニア)。肝腎の値段は私の予想を下回る好条件です。サイドキックちゃんがいくらで売れるか(そもそも売れるのか?)によってその差額の出費がいくらくらいで収まるのか?質問の間に頭の中のコンピューターが計算をし続けます。

大体のイメージがつかめたので「どうも突然お邪魔しました」と礼を言って一応先方の電話番号を控えて別れようとしたら、「もしこの車買ったら、今乗ってる車どうするの?」と今度はカウボーイが訊いてきます。私が今乗っているのは駐車場のあそこにある、あの小さなSUVだと指で示しながら「これを買う前にあれを売るのが先決」と応じたら、「ちょっと見せてくれ」と来た。写真家としてビクトリアで働いている末娘が小型車への乗換えを検討中とのことで、「これいくらで売るつもり?」と鋭い突っ込みです。

こちとら、そこまで具体的に詰めて考えていなかったので、「大体あなたの車と同じ年代で同じような走行距離だから、同じような値段をイメージしている。そちらが良ければ、なんならスワップ、物々交換でもいいよ」と応じたものです。まんざらでもなさそうなカウボーイ、娘に連絡してサイズに問題無いか確認する、問題なければ本件(物々交換!)進めたいとのスタンスです。

「でも、お嬢さんが現物見なけりゃ決められないでしょ?」
「いや、俺が決めたことは娘は信頼する。ただサイズだけは娘に確認する必要があるので時間をくれ」と、なんともカッコイイお父さんです。

娘さんから前向き回答が来たようで、次の日に同じショッピングモールの駐車場で会いたいとの電話が届きました。お互いの車をもっと知り、試乗もしてみたいとのもっともな、堅実な申し入れです。どうやら信用して良さそうなカウボーイとの印象です。

ほんの冷やかしのつもりが、ことによったら・・・。 面白くなりそう!


ケロウナ便り(83) カナダの松茸採り

2008年09月25日 14時53分15秒 | Weblog
もともと茸類は大好物でもなく、ましてや松茸なんぞ見向きもしなかった(出来なかった)ものですが、ケロウナ滞在中の秋のイベントとして松茸狩りに血道をあげています。

ケロウナから250キロほど東のナカスプ(Nakusp)が松茸の産地で、当地の日本人社会の多くの人が、毎年9月後半から10月中旬までのシーズンに松茸狩りに出かけ、戦果を競い合って盛り上がっています。

8月後半にナカスプ地方に降る雨がその年の作柄を左右するそうで、今夏の天候のおかげで例年より早めに成長しており、しかもかなりの豊作であるとの情報を基に、9月7日に意気揚々と出かけましたが、結果は無残にもボーズ。森の中で古釘踏んで、あわや破傷風かと人騒がせまで引き起こしてしまい散々な結末でした。

一旦収穫された跡に残った菌が、その後の雨でまた繁殖して松茸に成長し、二弾・三弾の収穫をもたらすとの話を聞きつけ、最近二日連続で降った雨を信じて、リベンジに出かけてみました。

他人には教えたくない極秘スポットが誰にもあるようで、「どこそこ周辺」とまでは情報開示してくれても、その先の詳細を教えてくれない人もいますが、Oさん、Hさんは惜しげもなくピンポイントで指導してくれます。

Oさんが教えてくれたBC州営林署(?)の管轄するLoggingRoad(木材搬送用の未舗装林道)のスポットまでは二つのフェリーを乗り継いで、自宅からおよそ3時間の行程です。

森の先住民たる熊や他の動物の食料をいわば失敬する話でもあり、彼等の怒りを買ったらヤバイので、熊除けの鈴をさげ、森の中で迷子になったら生きて帰れないかもしれないので、女房ともども呼子の笛を身につけて、悲壮な決意と「もう後はない」との鬼気迫る気迫を込めて臨んだ敵討ちでした。

林道を進むうちに、Mushroom Hunterのものと思われる車が何台か道沿いに停まっているのを目撃するといささか焦りますが、カナダ人は松茸は食べず、日本人の食べないシャンテレールを採集するので、素人同士なら同じ森に同じ時期に入ってもバッティングはしないそうです。ところが、日本人の松茸好きが知れ渡り、仲買人が高値で引き取るので、最近はもっぱら松茸を獲物とするプロのハンターが出没するらしく、われわれより先に採って行った跡と思われる穴ぼこが森の中のそこらじゅうに見当たります。ド素人の新人がプロ相手に挑む松茸狩りの環境は年々難しくなるようです。

プロが未だ踏み入れていない森に出会ったり、さすがのプロも見落としてしまった松茸を発見したりする楽しみが、実は素人の松茸狩りの楽しみの大きな部分を占めている気がします。薄日の入り込む森の中で、苔むした地面と倒木との間に目を凝らし、枯れ枝枯れ葉に半分以上埋もれた白い頭を見つけた時には、まさに「発見」と呼ぶに相応しい興奮と感動を覚えます。

食べて香りと歯ごたえを楽しむこと自身、なかなか貴重な経験ですが、「発見」の喜びに浸ることが、実は松茸ハンティングの醍醐味ではないのかとすら感じます。

Oさんに教えてもらった極秘スポット周辺を這いずり回ること3時間で、一級品32個、およそ2キロもの大収穫です。自分で消費できる量と友達へのお裾分けを合わせても充分すぎる量に大満足です。

早速料理して「松茸尽くし」に舌鼓を打ったことは勿論ですが、それにもまして「発見の喜び」をもう一度経験したいという、初心者レベルから一歩前に進んだ「松茸中級ハンター」の心境になって参りました。

日本への土産に持って帰れたらな~!



ケロウナ便り(82) 救急病院(その3)

2008年09月23日 07時23分08秒 | Weblog
白衣の天使のような優しい看護婦さんへの期待が見事に裏切られ、腕の筋肉が黒いTシャツの袖からはみ出しそうなマッチョな筋肉マン看護夫が案内してくれた先は診察用の簡易ベッド。そこで待つこと10分程度で、今度は中肉中背の、40台半ばと思われる、いかにも外科医っぽい風貌の担当の先生が登場したので一安心です。

「一番最後に打った破傷風予防注射は、いつ?」いきなりのご下問です。ええっ!?注射していないとヤバイの? 動揺が走ります。戦後のゴタゴタの時期に幼児期を過ごした私には、いわゆる三種混合の予防注射だってまともに打ったのかどうかも定ではないし、小学校時代のツベルクリン注射くらいしか予防注射の記憶はありません。

私の動揺を見透かして、私の気持ちを和らげようとしたのか、先生は「イタイ?」と日本語で訊くではありませんか。「ううん、痛くはない。カユイの」。サイパンで9年間過ごした時に覚えた日本語を交えて訊く先生に、ある種のユーモアを交えたつもりで応えましたが、頬は引きつっていたに違いありません。

足の裏を押しながら触り、一通りのチェックを済ませた先生の診断は:

「踏んだ釘の傷跡近くに確かに腫れが認められるが、症状からは破傷風の可能性は少ないと思われる。腫れの原因を特定できないので、とりあえず破傷風予防注射をうち、処方する抗生物質を服用して様子を見よう。発熱、患部の変色、脱力感の増幅等の悪化症状が出ない限り、再度の来院は必要なし。念のため血液検査もやっておきましょう。」 

と、こんな内容でした。(と、思います)

先生が退室した後、何がどんな順序で起こるのか想像もつかないまま、ベッドに横になっていると、先ほどのキンニクマンが、あのゴ太い指先に小さな注射針と、更に小さな錠剤を持って現れ、か細い私の上腕部に無造作にブスッと破傷風予防注射を刺しながら、「これは抗生物質です。これを飲んで様子を見ます」。ここまでは先生の診断どおりで問題なしです。「ところで、同じ抗生物質を処方するって先生言ってた?」と訊くではありませんか。「はあああっ?」そんなこと俺に聞くなよ!先生に確かめてよっ!質問の趣旨の理解に苦しんで私が答えを模索している間に、カーテン越しの隣のベッドで痛さをこらえているはずの、先ほどの口の周りに怪我して碌にしゃべれないお兄ちゃんが「フーフン」と応えてくれました。閑に任せて私の診断結果を傍受してくれていたようですね。裏返せば、プライバシーなんて無いんです。

マッチョが引き下がって、今度こそは正真正銘の白衣の天使が採血に来ましたが、人の血だけサクッと採ってササッと部屋を出て行ってしまいました。天使はきっと忙しいんですね。それにしても天使は白衣着けているのに、なんでマッチョは黒のTシャツなんだ?謎です。次のステップに関する説明が無いままに、ベッドに横になってこの謎解きに取り組んでいる間に、いつの間にか眠りに落ちたようです。待合室で待機していた女房と友達夫婦の3人が気を揉んでくれていた、その真っ最中にノー天気に居眠できたのも、どうやら「シロ」らしいとの診断のお陰であったのでしょう。

居眠り時間を含めて病室滞在時間がおよそ一時間半。最後にマッチョが再び登場して、今日の処置内容をメモしてくれたうえに抗生物質の処方箋を発行してくれたのです。血液検査の結果にもサット目を通し、「それぞれの数値は、破傷風菌の影響があるようには見られない。抗生物質飲んで、患部を清潔にして、お大事に!」と、言うこともやることも看護士の上を行くようです。結構やるじゃん。でも、お前の正体ナンなんだ?

午後9時から深夜12時までの、救急病院初体験3時間コースの報告を終わります。

抗生物質を飲み始めて早5日が過ぎました。体温は平熱、足の腫れは引き、患部の変色は認められません。どうやら完全に「シロ」のようです。ご心配頂き、ダラダラと書いた日記にお付き合いいただき、有難うございました。

ダルさがあるとすれば、それはもって生まれたズボラゆえの無力感、脱力感で破傷風菌を責めることは出来ません。

それにしても、日本とのやり取りでは今回もスカイプが大活躍してくれました。スカイプから固定電話にかける「スカイプアウト」で、日本との国際電話代が殆んどタダ同然であったことには感動しました。



ケロウナ便り(81) 救急病院(その2)

2008年09月20日 16時45分14秒 | Weblog
単なる虫刺されだったらどうしよう?大騒ぎしてみっともないよな。それより、もし本物の破傷風だったら、本当にどうしよう?前の晩遅くにインターネット画面で独りで見た、海老が反るような形に全身痙攣して苦しむ破傷風患者の姿が脳裏に焼きついています。

賽は既に投げられたのです。もはや「まな板の鯉」状態です。ジタバタしてもしょうがありません。ボランティアの高校生らしい坊やに受付票を出すと、間もなくTriage(治療優先順位を選別する部署)の窓口に呼ばれました。なんと玄関を入ってから10分も経たずの手際の良さです。ここで、住所・氏名の詳細と来院の趣旨を訊かれ、いわゆる受付台帳のような書類の入ったフォルダーがが用意されて、次の窓口にフォルダーを出すようにとの案内です。いいぞいいぞ、思ったより順調だぞ。

待つこと暫し、窓口に呼ばれたら、支払い能力のチェックでした。旅行者でBC州の健康保険は適用対象外であること、自分の保険でカバーされるので、全額自己負担する用意のあることを伝えると、「それなら結構です。もし支払いが困難であれば、ここより安く診てもらえる医者を紹介することもできるので、一応確認したまでです」だと。どうやら、何とかの沙汰も金次第、ここでも金の無い患者は「安かろう悪かろう」の医者に回されるようです。

自分で立て替えられる範囲の額かどうか尋ねると、「初診料500ドル、通常の医療処置(問診、注射、投薬、処方箋の発行などで、その先の高額医療処置は除く)320ドル、合計820ドルを前払いにて申し受けます」とのこと。先刻調べた「10万円未満」なので、これなら立て替えられそうです。支払いは勿論お世話になるカード会社のクレジットカードです。この医療費支払額にもポイントがつくのかどうか・・・、この期に及んでも余計な心配をする自分の冷静さに妙に感心をしたものです。本当はどうなんだろう?

ここまでの手続きが約30分。病院としてしっかりと金を受け取るまでのステップは極めて順調に進んだのです。でも、金を受け取ってしまった後の対応の遅いこと遅いこと。私より前に居たと思われる患者が数人、私より後に来た患者が2~3人。付き添いの家族を含めると20人ほどの、口数少ない集団が待合室で辛抱強く待ち続けています。事故なのか事件なのか、口の周りの出血をタオルで抑えている中年男性。松葉杖をついて母親に付き添われた中学生。やはり救急窓口に自分でやってくる患者は外科が多いようです。

パーキングメーターが一時間で切れるので、友達がもう一時間の延長をするためにわざわざ駐車場まで足を運んでくれたのに、またぞろ次の延長に走らなければならないような時間になって、やっと処置室への案内がやってきました。金の支払いを済ませてから一時間近く待たされたことになります。日本の大病院と大差無い待ち時間でした。

病院に着いたのが午後9時、看護士が私を含めて3人の患者を呼びに来たのが10時半を回っていました。いよいよこれから担当医による診察と処置が始まります。付き添いの女房と友達を待合室に残し、単身で未知の世界に入り込む緊張感と不安感とで、思わず武者震い、というのはちょっと大袈裟ですが・・・。




ケロウナ便り(80) 救急病院(その1)

2008年09月18日 16時17分32秒 | Weblog
ひょんなことから救急病院の世話になりました。旅行中の医療体験をご披露いたします。

二日ほど前から、左足の親指の付け根から土踏まずにかけて少し腫れているのが気にかかっていました。ちょっと「痛痒い」ので虫にでも刺されたのかと、余り気にしていませんでしたが、一週間前に松茸採りに行った時に、倒木に残っていた古釘を踏みつけて、足裏に小さな傷跡がついたことが頭の中に引っかかっていて、だんだんと不安が募ってきたのです。ひょっとして破傷風?? まさかぁ~!

釘を踏みつけたときに「破傷風に気をつけなくちゃね」なんて軽口をたたきながらも、釘はあまりにも小さかったし、どちらの足で踏んだのかも分からなくなるほど軽微な出来事だったので、その後踏んだこと自身もすっかり忘れていたくらいなのでした。

改めて足裏を凝視すると、踏みつけた場所と思われる箇所に小さな点となったカサブタが認められます。そして、腫れているのはその小さなカサブタのすぐ近くの部分なのです。

「ま~さか~。蚊にでも食われたんだろう」と「まさか、ひょっとして・・・」と二人の自分のせめぎあいです。この方面の知識にまったく疎い私は早速ウイキペディアでこっそりと情報収集です。大騒ぎするほどのことでもなかろうし、もう少し様子を見る必要もあろうからと、かなり冷静ではあったのです。

風呂から上がってベランダで涼みながら足裏を再検証している姿を見咎めた女房が「何やってんの?」。無防備な現場を押さえられてシドロモドロしているところに、我が家に滞在中の友達夫妻が加わって、最悪の場合は手当てが早いに越したことはないし、最悪でないことが分かれば尚良いし、いずれにしても早急に病院に行くべしとの結論になりました。

カナダでは、最初にかかりつけのホームドクターに診てもらい、ホームドクターが診断して、次に行くべき専門医を指示するのが通常ですが、かかりつけの医者を持たない旅行者である私は、市の中心部にある総合病院の急患窓口に直行することとしました。

ケロウナ市民であればBC州のBC Medicalという健康保険で医療費の全額がカバーされますが、旅行者は当然のことながらその対象外。全額自己負担です。先ず最初に旅行中の医療保険のついているクレジットカード会社に連絡して、付保内容の確認、保険請求に必要な書類等の確認を済ませたことは言うまでもありません。

医療費は先ず本人が立て替えて支払い、後ほどカード会社に保険金の支払いを請求するのが通常であるが、医療費が高額になって立替が困難な場合は、一時間以内で済む簡単な事前の手続きにより、カード会社から病院への直接支払いも可能であることが分かりました。

医療費が10万円を超さなければ、病院への支払いを証する領収書と医療処置の簡単な説明を添えれば保険金の請求が出来、診断書は不要とのことも判明しました。

先立つものの目処が立ったので、午後9時、いよいよEmergency Hospitalへの夜襲です!独りで行くからいいと固辞したのですが、「何事も経験、経験!」と野次馬根性(もとい、知識欲でした)豊富な3人が付き添って救急病院の玄関をくぐったのでした。

ケロウナ便り(79) 3年目のケロウナ

2008年09月14日 02時21分15秒 | Weblog
2006年から始めたケロウナでの夏の生活。今年で三年目を迎えました。砂漠性気候のカラッと乾燥した夏を楽しみに毎年やってくるのですが、今年は7月末まで国内でいろいろ用事があり、こちらにたどり着いたのは8月23日でした。出発する頃は日本でも猛暑が峠を越し、「何のためのカナダ行きか?」と自問したくなるくらいの朝夕の凌ぎやすさでした。

「いらっしゃい!」でなくて「お帰りなさいっ!」と声をかけてくれる、こちらに永住の友達に迎えられると、「今年も帰って来てよかった」と、故郷に戻ったような気分になります。「だだいまぁ~!」が挨拶です。

もともと3~4ヶ月の長期ステイですから、「遊びに来る」というより「生活を楽しみに来る」側面が大きく、毎月の生活費は日本に比べると2割程度は安上がりなので、「日本より安く生活しながら、日本では手の届きにくいライフスタイルを楽しむ」というのが実態を反映しているのでしょう。「旅行者」とは一線を画した「生活者」として、われわれを迎えてくれる、ケロウナの日本人仲間に恵まれているのは有り難いことです。

野菜農家の友達からは「お金は次からもらうから、今日はこれ全部持って行って」と持ちきれないほどの元気なとれとれ野菜を貰うし、季節外れの手土産ぶら下げてお邪魔したリンゴ園の友達からは、リンゴは言うに及ばず、庭で丹精込めて育てたブラックベリーや、メロンや、スイートコーンやら美味しい果物をどっさり頂戴して、幸せの味を噛みしめています。

二年前にはガツガツと狂ったようにほぼ日参したゴルフ。年会費の元を取るべく、焦りにも似た、貧乏人根性丸出しのゆとりの無いペースで回ったことがまるで嘘のように、今年のゴルフ生活は落ち着きを見せています。それもそのはず、何処のコースの会員にもなっていないのです。ようやく「量より質」の境地に至りました。

これからのシーズンは松茸狩り、鮭釣りをはじめとしてケロウナの秋ならではの楽しみが沢山あるようですから、例年よりも短い2ヶ月の滞在ですが、思いっきり秋を満喫できればと願っています。