いよいよケロウナ滞在も残り二日、帰国が秒読みに入りました。今夏のケロウナ便りはこれを最終号といたします。最後の最後に極めつけの自慢話で申し訳ありませんが、おつきあい願います。
先週の「松茸空振り旅行」のリベンジに出かけてまいりました。今度は友人Hさんがとっておきのスポットに出かけるのに同行させていただいたものです。Hさんの経験と知識を武器に早朝6時の出陣です。
朝9時のフェリーでアロー湖を渡り「松茸街道」を進むこと数分、森の中に我が愛車サイドキックちゃんを停めて、松の倒木がいくつも横たわる、いかにもそれらしいスポットに分け入りました。が、それらしい松茸の姿にめぐり会いません。歩き回るうちに白い大きな傘のキノコを発見!Hさんに確認してもらうと、イタリア料理には良く使われる「シャンテレール」というキノコで、カナダ人には松茸より珍重されているとのこと。エリンギに似て歯ざわりも良く、ソテーにしたりスパゲッティに入れたりと利用範囲は広いとのことなので一応キープ。
二年前にはあっという間に数十本の松茸が採れたスポットではあるが、8月の雨量が少なかった影響で今年は不作とのこと。Hさんの袋にも入っているのはシャンテレールだけ。「よし、もうちょっと動いてみよう。沢山採れる年、ダメな年いろいろあるんだから、次でダメなら今年は運が無かったって言うだけの話よ」。進むも退くも即断即決の江戸っ子Hさんらしい、小気味のいい発言です。
最初のスポットから数分移動して、今度は胸突き八丁の急坂の森に踏み込み歩くこと数分。「あったぁ!」とのHさんの声に私と女房は大急ぎでHさんに合流。よくよく見ると土の中に埋まりこんで白い頭だけを僅かに地表に出した若い松茸に初見参。「これじゃ初めての我々にはわっからないやぁ!」と戦意は萎えて行くばかり。シャンテレールの量ばかりが増えてゆくのでした。
さしものベテランHさんをして「やっぱり今年はダメなんだな」と言わしめ駐車場に向かって下山をしている途中、駐車場近くの平坦な地面に横たわる松の倒木の脇にまたまたシャンテレールらしきもの発見。でも、傘の丸みがちょっと違うような・・・・。大事に掘り起こして鼻先に持ってくると・・・、憧れの強い香り。興奮気味に「Hさ~ん!これ、まさか・・・」。ビンゴ!!紛れも無く「松茸!」とのご託宣。「へぇ~、これがマツタケなんだぁ」とうとう敵の首根っこをおさえたような安堵感で放心状態です。
その周辺に目を這わすと・・・右奥にも1個、その先にも更に1個と同じような大きさの白い物体が目に入るではありませんか。我が女房までもが「あっ、ここにもあるぅ!」と放心状態から一瞬にして興奮状態に早変りです。
最後の最後の10分間で写真のような見事なマツタケを収穫して見事リベンジを果たし、勝ちどきをあげ意気揚々と引き上げたのは言うまでもありません。
二日後の帰国予定にあわせて冷蔵庫の中の食材は綺麗に整理し終わっていて、今夜はうどんを食べるべく準備してあったので、不謹慎にも、贅沢にも、申し訳なくも、今晩は「松茸うどん」とシャンテレールのソテーが食卓を飾ってくれました。
肉厚の松茸が放つ香りと、耳にコリコリと心地よく響く歯ごたえ・・・、松茸の姿を目にすることなく一足先に帰国した仲間にこの感動をどう伝えたものか・・・、悩みます。
(完)
勝手気ままに綴った「ケロウナ便り」。愚にもつかない無駄話を愛想も尽かさずにお読みいただき有難うございました。また次の機会があれば続編をと愚考しております。暇な折りに立ち寄ってみてください。