星さんぞう異文化きまぐれ雑記帳

異文化に接しての雑感を気ままに、気まぐれに

ケロウナ便り(55) 訂正

2007年02月27日 15時16分53秒 | Weblog

前号で書いた「五体満足での帰国」を謹んで訂正いたします。満足じゃなかったことが遅ればせながら判明したのです。

最後のスキーで打った左腕の痛みが帰国後一週間経っても消えないのです。ゴルフスイングのテークバックで左腕を一杯に伸ばす状態が二番目に痛く、フィニッシュで左肘を折って左肩後方に廻しこむ状態が一番痛むのです。単なる打ち身だろうと勝手に解釈して、左右の腕をぐるぐる廻していれば、そのうち痛みも引いてくれるだろうとたかをくくっていたのですが、その痛みは10日経っても消えません。本業のゴルフシーズン幕開けを目前に控えていささか心配になり、恐る恐る整骨院の門をたたき診断して貰いました。

骨にも筋にも異常は見当たらなかったのは幸いでしたが、痛みの内容を訴えると即座に、「上腕部靱帯損傷です」とのご託宣。ジンタイソンショウ? イチロー、栃東、松井稼頭夫エトセトラえとせとら、立派なアスリートの誰もが一度や二度は潜り抜ける関門ではありませんか?私もとうとう立派かどうかは別にしてアスリートの仲間入りしたのかと、ある種の感慨に襲われました。でも、無知って恐ろしいものですね。良かれと思ってやっていた「腕のぐるぐる回し」こそ、靱帯損傷快復のためには一番やってはいけないことだそうです。どうも、ここいら辺の常識に欠けるのです、私は。

本業のゴルフに良かれと挑んだ副業のスキー。足腰はそれなりに鍛えられたとしても肝心カナメの上半身が損傷しては何をかいわんやです。スキーで転倒しないように必死に頑張ったのに、これでは「本末転倒」です。損傷部分をテーピングで固定して、左手はポケットの中にでもしまっておいて動かさないようにとの先生の指示。毎日は無理としても、しばらくは通院治療を続けるようにとの先生のお言葉。

「先生、全治するにはどのくらいの時間が・・・・?」仕事熱心な私は、本業への復帰がいつ頃になるのかが気になります。ぐるぐる廻しなんて逆療法を一週間ほど自前でやってきたので、その影響もあるのか、先生はニコニコするだけで明言を避けています。待合室の壁に貼ってある「当院は2ヶ月での完治を目指します!」の看板に偽りがなければ、4月中旬頃には仕事に戻れそうです。

前号の「五体満足帰国」を訂正するとともに、もう少し冬眠を続けることのご報告まで。


ケロウナ便り(54) 滑り納め

2007年02月17日 13時09分11秒 | Weblog

ずぶの新人シニア(?)が初めて取り組んだスキー。ゴルフに換算して100を切ることを目標に挑んだスキー。事前に買ったリフト券パスの元を取るためには10回以上行くことが目標だったスキー。既に12回消化したので元も取り終わりました。あとは行けば行くだけ「もうけもの」。今シーズンの滑り納めとなるであろう、13回目のスキーはK師匠とそのお友達Oさんにお供してビッグホワイトで滑ってきました。

これまではスコアであれ回数であれ、目標に向かって挑戦する、いわば「仕事」のようなスキーと言えなくもありませんでした。目標の100は切れたし、パスの元も取ったし、今日は仕事から離れて気楽に徹底的に楽しむことを目標にしました。(遊びにまで「目標」を設定してしまうなんて、根っからの仕事好きなんですね。)

今日は遊びですからK師匠との師弟関係はなく「友達Dさん」の立場でのお付き合いです。ここが重要なんです。K師匠に「ついて来い」と言われれば厭でも行かざるを得ませんが、友達Dさんの言葉なら「ご自分でどうぞ。私はあっちに行きますから。」と自己主張できるのです。「ちょっと赤提灯に寄って行こうや」とDさんが言うのは「ゲレンデを外れた木立の間の新雪を滑ろうや」ということなんです。何度も赤提灯に誘われましたが、その都度「結構です。私ゃ下戸ですから、飲める方だけでどうぞ」と丁重にお断りしてマイペースで楽しく滑らせてもらいました。

それでなくても今日は13回目のスキーで金曜日。朝から不吉な予感がしているのです。ここまで五体満足に滑ってきたのに、最後の最後でDさんの口車になんか乗れるもんか、あたしゃ新人なんだよ、新人!赤提灯に一度付き合ったら、次はクラブだキャバレーだとエスカレートするのが眼に見えていますからね。

「今日は新技術は習いません。これまで習った技術を使って楽しく遊びます。」と主張はしたものの、「新しい雪にも慣れたほうがいいよ」とのDさんの甘い言葉を受け入れたのが失敗でした。深い新雪のスキー跡に突っ込み、前のめりにドッテ~ン!スキーが外れ、ゴーグルがすっ飛び、あわや骨折かと真っ青になりましたが、左上腕部をしたたかに打っただけで事なきを得ました。やれやれです。

青いコースしか滑らないと宣言した後での「俺について来い」なので、てっきり青かと思ったら看板はクロ。デコボコだらけの急斜面の証拠写真を見てください。「青コースの中間に黒が挟まってるだけ」なんて見え透いた言い訳で済むと思ってるのか?と一時はキレる寸前でした。でも私も平和主義者の端くれ。あれもこれも私の技術を少しでも高めてやりたいと言う「友人Dさん」の親心、師匠心と思い直し、そこは穏便にやり過ごしました。でも、このあとは「自己主張」を繰り返し、後半は完全にマイペースで遊べたのも「友人Dさん」のお陰です。「K師匠」だったら足の一本や二本折られていたかもしれません。 

「思った以上に上達しているなぁ!これならハンデ20くらいだろう」。鬼の目に涙、じゃなかった鬼の口に真実、嬉しい言葉がDさんの口からもれました。20は甘すぎだと思いますが、95を切ったという意味で「公式ハンデ22」を頂いたものと理解します。本物の「中の中」達成です。しかも五体満足で帰れます。

THK師匠、S師範、本当に有難うございました。 研修生Uさん、Kちゃんお世話様!

 


ケロウナ便り(53) 師匠の横顔

2007年02月15日 15時02分00秒 | Weblog

ケロウナでのスキー研修でご指導いただいた方々を、「師匠」とか「師範」とか軽く呼んで来ましたが、実は、この方々はいずれも日本でまたはカナダでスキーインストラクターとして銭を稼ぐための免許をお持ちのスーパースキーヤーなのです。こんな贅沢なコーチ陣のもとで、しかもまったくタダで、スキー入門の手ほどきを受けられたのは、なんとも恵まれたことと言わざるを得ません。ラッキーで済ませたら罰が当たりそうです。私の人徳なんでしょうか?ちがうか?

スキー界の神様とあがめられる三浦雄一郎が1970年に敢行したエベレスト大滑降に際して、その滑降ルートを決め、登山隊長としてその快挙を支援したK師匠。日本山岳会にドンとして君臨する方だから敢えて実名で申し上げれば加藤幸彦さんが、その人です。登山家として山岳写真家として、その世界ではつとに有名な方らしいのですが、山とスキーには無縁であった私には「猫に小判」、普通の頑固オヤジでした。
(エベレスト大滑降の写真とK師匠の足跡は下のご自身のサイトでごゆっくりどうぞ)http://members.shaw.ca/donkato/everest/everest.htm

長野生まれのT師匠。子供の頃から下駄代わりにスキーを履き、スキーで国体を目指すか、野球で甲子園かと悩んだ末、甲子園へ。志賀高原でのスキーインストラクター経験に加えて、今年からカナダのインストラクター免許も取得。プロゴルファーの試合を見ても我々のショットの参考にならないのと同様、彼の滑りを見ても、笑いながら「へぇ~!」とは思うけど、まったく別世界のシロモノで、われわれの参考にはならないのが難ですね。

蒲田で育った江戸っ子H師匠は、スキーの教え子に一目ぼれ、新婚旅行で訪れたカナダに一目ぼれ。スキーするために?家業の豆腐屋を畳んでバーノンに移住。話も手短、思考も即断即決タイプのようです。こちらがグダグダ書いた長文メールへの返信が、一言「どうも」だけなんてのがしょっちゅうです。不言実行、少言多行がなんとも小気味良く、人の面倒をよく見てくれる、気持ちのさっぱりとした江戸っ子です。Hさんの作る豆腐も人柄が出ていて、見てくれも味もさっぱりとしていて、われわれは大ファンです。

H師匠の師範代として一日お世話になったS師範。実はスキー界の大物らしいことが判明しました。来月ポーランドで開かれる知的障害者スキー大会に出場する日本チームの臨時コーチに任命されたとの情報を入手しました。私が説明した病歴を聞いてくれて診断・処方をしてくれた、あの優しいお医者様は、実は世界レベルの名医だったのですね。頭を丸めておられたので、「どんな仕事の方なんだろう?」と思いながらも初対面では聞けず、質問を飲み込んだものですが、後になってご本人から「坊さんです」と言われ、お医者様じゃなくてお寺さんだったんだと妙に納得したものです。スキー関係の仕事から家業(というのかな?)のお寺さんに転職されたユニークな、これまた気持ちのさっぱりとした優しいご住職、じゃない師範でした。

がんばれニッポン!! 


ケロウナ便り(52) 異文化交流教室

2007年02月14日 03時54分53秒 | Weblog

週末はBigWhiteもSilverStarもダウンヒルレースのイベントがあり混雑が予想されるので自主トレはお休みです。使用後判定審査を二日後に控えての緊張をほぐし、心身をリフレッシュするため、趣向を変えて週末に異文化交流教室を開催しました。カナダで日本人相手に中国の伝統的古典的卓上遊戯を教えただけですが。

生徒は私のスキーメイト、プロゴルファーKちゃんと奥さんのKoさん。講師は我が女房と不肖の私め。Koさんはお父さんが大の麻雀好きだったので子供の頃には牌を握ったことがあるらしいが、Kちゃんはパソコン育ちのずぶの新人です。

パソコンの教えてくれない、生の人間だけが教えられる勝負の勘所、駆け引きを中心とした授業です。「役」やルールの理解は経験の積み重ねで身に着いてゆくので、ルール以前のマナーに力点を置いた、いわば「異文化マナー講座」です。スイングで体の捻りが浅いとか、左肘が曲がるがゆえにショットに力強さが感じられないなどと、散々にしごかれた昨年夏を思い出し、特にプロゴルファーKちゃんを意識的に可愛がってやりました。

(基本マナーの部)

①麻雀は推理のゲーム。持ってきたパイを公言したり、見せたりして推理の邪魔をしないこと。
②一度手から離したパイは、いかなる理由があれ「待った」しないこと。
③終わったあとの「解説」は、求められない限りしないこと。
④通常の場合、当たっても命まではとられないので、長考は避け、リズムを保つようにある程度のスピードの中でゲームを進行すること。(場数を踏んでスピードに慣れること。スキー場で誰かに教わったことに似ていますね。)

(勝負の勘所の部)

異文化交流の核心に触れるので中身の詳細はさし控え、講義の項目だけ記します。

①基本の基本 役作り、手作り、ダマテン
②リーチの功罪
③リーチのタイミング
④しゃみせん
⑤「降りる」ことと「回すこと」の違い(かなりの高等理論ですね。)

(実戦の部)

ドボン主流の日本文化に早く馴染んでもらえるように現代ルールで対戦。世間でやってるらしい「賭け麻雀」だったら、実はいくらの勝ち負けだと計算だけして、本日の講座を終えました。賭け麻雀はしません。私は滅多に嘘はつきません。

(講評)

冬はスキーしていない時にやることの限られているケロウナ。長期滞在で退屈しないためのインフラ作りが着々と進行してます。それにしても、初心者にしてはリズム感もよく、慣れたら怖い存在となりそうなKちゃん夫妻です。賭けないからいいけどね。


ケロウナ便り(51) 使用後もどき

2007年02月13日 17時26分57秒 | Weblog

いよいよ「中の中」宣言する日が来たかと思ったのですが、胸を張って「使用後」写真をお見せできるかと思ったのですが、世の中そんなに甘くありませんでした。12日にT師匠に撮っていただいたシルバースターでの写真を見てください。まだまだ不満です。流れるような、なめらかなターンの滑りが出来ていないのです。ターンに際してのブレーキが強すぎるのです。

この不満解消の秘策をT師匠が教えてくれました。
ターンの中間で理論上はスキーが谷に垂直に向かう(ここまでは分かります)、その直後、ターンの後半に入るときにスキーの後ろを斜め後方に軽く押し出してやるような感覚(強く蹴らずに、富士の裾野のようなイメージの角度で軽く、軽~く?)を身につけること。押し出しの強さは斜度、スピードに応じて千差万別、滑りの中で身体に覚え込ませるしかないとのこと。

ウ~~ン、分かるような気もするけどなぁ・・・・。グリーン周りの寄せの感覚に似ているのかなぁ?車のターンでのブレーキとアクセルの踏み方の関係に近いのかな?

師匠の教え方が良いのか、生徒の素材がグーなのか、多分両方だと思いますが、なんと、この点を意識してターンしたらターンの弧が大きくなり、スムーズになり、いかにも「滑っているなぁ」っていう感じが自覚できたから不思議です。かつてリフトからKちゃんと一緒に憧れて見下ろした、あの上級者の滑りに似ていなくもありません。

「一を聞いて十を知る」俺ってひょっとして・・・、ド、ド、ド、ドサドサ、ドッテ~ン!!!

邪念が心の隙間に忍び込んで、ここしばらく遠ざかっていたド派手な大転倒。スキーが外れ、帽子とゴーグルがすっ飛び、襟から雪が侵入。しかもリフトのほぼ真下。照れ隠しに大声で笑って見せた小心者を助けてくれながら師のたまわく、「今の滑りはよかった!この転倒は価値ある転倒ですよ。新雪で上体のバランス崩しただけで、下は完璧だった。」ずっこけて誉められるのも変な気持ちですが、確かに倒れる寸前までは気持ちよくターンでき、俺って・・・ひょっとして・・・と思いたくなってしまうような、昨日までの自分とは明らかに違う、一段上のターンだったと思っています。

この秘術が、これからの残り期間で身についた時こそが本物の「使用後」なんですが、T師匠出張のため写真が撮れません。よって、本日の「使用後もどき」で今シーズンの証拠写真の幕引きとさせていただきます。

体調不良で今日来なかったプロゴルファーKちゃんには、この秘術だけは教えてやるわけにいかないよなぁ。まさか、このブログ見てないだろうな。


ケロウナ便り(50) メンタル

2007年02月10日 17時09分18秒 | Weblog

今日は女性軍のクロスカントリーに付き合い、K師匠を交えてKちゃんとCrystal Mountainで練習する予定でした。ところが昨日からの雨でクロスカントリーのコースの雪が溶け悪コンディション。転んで怪我でもしたらアホらしいからとLadiesは早々にショッピングに針路変更です。標高の低いクリスタルも新雪が降らずゲレンデの状態が悪いのでK師匠もはやばやと不参加表明。

ドライビングレンジで打ち込むよりもコースでのプレーをなるべく増やせとの師匠の言葉を忠実に守る「中の下」二人、それじゃとばかりにBigWhiteでの実戦に、これまた方針変更です。「ああ、一日よく降りたなぁ!」じゃなくて「ああ、一日よく滑ったなぁ!」と言えるように、今日は「滑り」に力点を置こうじゃないかと目標の確認も忘れません。

BigWhiteで一番長いリフトGemLakeExpress(全長2.5Km、始点標高1508m、終点2220m)で上って滑り降りてくると一本約20分。今日はわき目を振らずこのリフトだけを使って青の中級者コースだけを10本滑りました。斜面の緩急織り交ぜが絶妙で、気持ちよく滑れるところと、やや緊張する急斜面とが交互に組み合わされていて、一気に滑り終えたときの疲労感と充実感とがなんとも言えず心地良いものでした。

Kちゃんと二人、交互に先に行って後から来る者が「降りてるだけか、滑ってるか」をチェックし合った結果、「二人とも間違いなく滑ってる」との結論に達しました。自分でもこれまでで一番気持ちのよい滑りが出来たと思っています。

12日に予定されているT師匠による「使用後判定審査会」において今日と同じ滑りが出来れば、すばらしい「使用後」写真が撮れるのではないかと期待しています。残り2ホールをボギー、ボギーであがれば95が切れるかもといった場面です。スコアを考えて巧くいったためしがないからなぁ!あとはメンタルの問題なのです。

調子に乗って滑っていたら、グルームが終わっていないしるしの縄を張ったコースに到達。縄の真ん中が外れていて、誰かが既に突破した形跡あり。グルームしてなくても青だから行ってみようと健気な二人。斜度はさほどきつくはないけどボコボコとやたらとコブの多いコース。本当に青か?疑心暗鬼の二人ながら、いまさら戻るに戻れず、前進あるのみ。滑るなんてのは夢のまた夢。立ち止まり、呼吸を整えて、斜面を横向きにズズズ~。加重・抜重なんてレベルの話ではなく、ギャップめがけてエイヤーッと飛び降り、上体を前傾してかろうじてバランスを保つ。義経のひよどり越えも斯くありなんと思われる難所の連続と、大汗かきながら闘うこと約30分。降り終わってよくよく見たらこれが堂々の黒コースでした。多分シングルハンデ用だと思われます。われわれには10年早いコースでした。

生兵法で大怪我しなくて助かりました。無理は禁物との師匠の声を思い出し、反省しながら家路につきました。調子に乗りすぎるのもメンタルな問題なのです。

 


ケロウナ便り(49) 上の下

2007年02月09日 14時58分16秒 | Weblog

今年から初めてダウンヒルスキーに取り組んだ初心者、私とプロゴルファーKちゃんの二人だけでSilverStarに練習に行きました。上級者の同行しないスキーは初めてで二人ともやや緊張気味のスタートでした。

さすがプロゴルファー、私より数段に体のバランスが良く、股関節の鍛え方も違うとみえて、Kちゃんの大転倒した場面を私は見たことがありません。私よりずっと前に100を切っていることは間違いありません。実力に微妙な差はあっても、今シーズン中に安定的な90台の滑りを身につけ、来シーズンには80台を目指そうとする、現時点では同じ「中の下」の二人です。その二人が初めて臨む自主トレです。

初めて来た時の、あの「使用前」の滑りが嘘のような二人です。緑の初級コースでは物足りなくて常に青のゲレンデを探して滑りまくりました。THK三師匠の言葉を思い出しながら、①加重・抜重のタイミングを身体に覚えさせ、②なるべく右ターンの回数を意識的に多く取り入れ、③上体の進行方向への正対と前傾姿勢のキープを意識的にすることの三点を重点課題として臨みました。

リフトから見ていると「中の上」と「中の下」との滑りの差がはっきり分かります。急斜面でも力を抜いて雪に乗りきってスムーズに流れるような弧を描きながら気持ち良さそうに「滑る」上級者。左右に急ブレーキをかけながら何とか転倒せずに斜面を降り切ろうと苦闘する「中の下」。「滑る」と言うより「降りる」とでも表現すべき姿です。

期せずして二人が口にした言葉、「俺たちもあの姿なんだろうなぁ」。たしかに急斜面を気持ちよく「滑る」なんてゆとりが無く、急斜面を克服しながらなんとか降りきることに全精力を傾けているのが今のわれわれ二人の姿です。斜度そのものに対する恐怖心は薄らいできたものの、急傾斜で加速されるスピード感にまだ慣れきっていないとの、二人の共通認識・分析です。

昼食を挟んで滑ること(降りること?)約10本、リフトが終了する午後3時15分にはまだ間がありますが、「今日は無理をしない」と約束した二人はそろそろ上がろうかと話しながら、リフトの斜め前に広がる急斜面を見つめ、どちらからともなく、「あれは青かな、黒かな。最後に試しに行ってみるか?」。「中の下」の発想は同じです。

これがどうしてどうして、The Faceと名付けられた正真正銘の黒。他の黒は未体験でなんともいえないけど、少なくとも「上」であることは間違いなし。百歩下がって「上の下」であっても「中の下」の二人が時々の滑りを交えてなんとか降り切りました。三週間前にはこの世のものとも思えず、まさかと思っていた「黒」を滑ったのです。もとい、降りたのです。自主トレの最大の成果でした。

調子に乗ってもう一度降りきってお開きとしたことはご想像の通りです。初心者未満だった黄緑色の二人が「黒」を滑って、どうしても自慢したくなったのです。特に一足先に帰国して「黒」を未体験の上級者のUさんに謹んでご報告する次第です。

しつこいようですが、「使用後」が視野に入ってきました!


ケロウナ便り(48) 2月8日

2007年02月08日 13時17分35秒 | Weblog

「毎年2月8日になるとケロウナの冬は終わり、春の準備が始まるのよ。」

ケロウナで40年近く野菜農園を営むOさんの奥様が、満面に喜びをたたえながら断言しました。家の周りにはまだまだ雪が残っているのに、「ほんまかいな?」。

1月17日にケロウナに到着してから気温零下の日が続いていたのに、ここ2~3日は最高気温が5度くらいにまで上がるようになり、昨日7日の夜から久しぶりに降りだした雨が、今日8日も朝から降り続いています。そして家の周りの雪をドンドン溶かし始めたではありませんか。Oさんの予言的中です。半信半疑で天気予報をテレビで確認したら、これからは街中では零下になる日は無く、4度~8度くらいにまで気温が上昇するとの予報です。でも、なんで「2月8日」なんだろう?

それにしても、40年にわたりお天道様相手に仕事をしてきたOさんの経験に基づく勘の鋭さにはビックリしました。春の訪れを待ちわびたお客様が3月になって買いに来る花の苗づくりは、毎年1月の種撒きから始まるそうで、今は苗作り真っ盛りとのこと。周りは雪でも温室の中では春を迎える準備が着々と進んでいるのです。季節の移り変わりの感覚が身体に染み付いているんですね、Oさんは。

平年はせいぜい数回の降雪で、いつも2~3日で溶けてしまうのに、零下の気温が続いていつまでも雪が溶けなかった今年の冬は、ケロウナでは「異常気象」だと誰もが言っています。さすがの異常気象もOさんの勘を狂わせなかったと言うことでしょうか?でも、なんで2月8日なんだろう?

街中は春の準備開始でも、予報によれば山にはまだまだ新雪が期待できそうです。「使用後」の勇姿を写真に収めるまでは私の冬は終わりません!


ケロウナ便り(47) だまし討ち

2007年02月07日 15時26分47秒 | Weblog

バンクーバーやリッチモンドのレベルには及びませんが、ケロウナにも美味しい点心を出す中華レストランがあります。週末土・日曜日限定の飲茶ランチ(一人11ドルで食べ放題)が評判で、1月20日(土)に友達家族ともども7人で試食してきました。

店の筋向いの路上駐車場にラッキーにも好スポットを発見。車椅子マークのついたHandicap 専用でないことを確認したことはいうまでもありません。海外生活経験の豊富なドライバーとしは、おさえる所はキッチリとおさえます。しかも今日は土曜日、路上駐車場が無料で開放される日です。通常は平日の午前8時から午後6時までが有料で、平日の6時以降と週末は終日料金免除なのです。海外経験豊富なんです、私は。

ちょっと気になったことは、コインを入れるメーターポストが無く、”Pay here”なんて書いた青い看板がチラッと目に入ったことです。ちょっと気になったことでも普段の私なら細心の注意で再確認するのですが、この時の私には魔が差したとしか思えません。飲茶食べ放題に備えて、朝からろくな物食べずに我慢した我が身と我が心は「普段」とは違っていたのです。ドアを閉めるやいなや筋向いのレストランに一直線でした。

食いも食ったり大満腹で大満足。爪楊枝シーハーで車に戻ってみるとフロントガラスに何やら封筒が・・・。隣もその向こうの車にも同じ封筒。「何のセールスだ?」と見ればCourtesy Envelopeと書かれた封筒にビラのような紙が添付されています。どうせ週末の客を狙ったいかがわしいチラシだろうと、丸めて捨てようとしたビラの上端の大文字の赤い活字が目に飛び込んで来ました。BY-LAW VIOLATION NOTICE。 げ、げ、げ。

だって今日は土曜日じゃん。こんなのだまし討ち同然じゃん。そう言いながらビラをよくよく見れば罰金30ドル!さ、さ、さんじゅうどるだぁ?!2時間1ドルの駐車料金払い損なって罰金30ドルはないぜ!ボッタクリじゃねえかぁ!普段は冷静沈着が売りの私もケロウナ市当局のやり口に腹が立ち、「普段」とは異なる反応をしてしまいました。どうやら券売機から事前にチケットを購入してフロントガラスにチケットを示す方式に最近変わったようなのです。ちょっと気になった青看板がそれだったのです。

市の交通局に「おそれながら」と文句をつけに行くガッツもなく、いずれは払わざるを得まいなと覚悟を決めて封筒とビラを車のポケットにしまいこんだ時には、楽しく美味しかったランチの余韻はどこかにすっ飛んでしまいました。

2週間ほどほったらかしてはみたものの、滞納したら追徴金が馬鹿らしいからと、細心の注意と冷静が売りの普段の私に戻って小切手を書こうとしてビラを良く見たら・・・や・ら・れ・た!!またまただまし討ちみたいなやつに、してやられました。

ビラの最下段に虫眼鏡でもないと見えないくらいの小さな小さな字で書いてあるじゃありませんか。
①チケット発行日の次の日の深夜までに払えば罰金は5ドルに割り引く
②発行日から一週間以内に払えば罰金は10ドルに割り引く

1週間が割引の時効です。もう2週間が過ぎて今では罪状確定です。

罰金の差額25ドルは勉強代と思うしかありません。「普段」どおりの自分、平常心を見失うと余計な出費がかかるものです。良い薬になりました。冷静で注意深く臆病な自分でいるのが一番経済的ですね。思い込み、中途半端な経験は邪魔者です!

それにしても、市交通局のきめ細かいルールの運用は、さすがケロウナですね。


ケロウナ便り(46) 中の上

2007年02月05日 07時46分32秒 | Weblog

H師匠とSilverStarにご一緒願うのは今日で3回目です。初回は降雪とガスで見通し悪く、臆病風に吹かれて早々にリタイア(というと格好いいのですがchicken outが実情)、直々の指導を仰がずじまいでした。2回目は師範代のS師範による指導を遠目に観察してくれて目標の100切った宣言をいただきましたが直々の指導は受けていません。よって、今日が最初で、多分最後の直接指導のチャンスです。全身を耳にして直伝の秘技を習得すべく気合を入れて臨みました。

100を切った後、安定的に90台前半の滑りをするための自主トレの材料として、いわば「中の上」を目指し、あわよくば80台突入を期す来季につなげるためにH師匠語録を私なりに咀嚼して整理してみました。

①「100は間違いなく切っている。あとは出来るだけ滑る本数を増やすこと」
目標の100が切れたとは何度聞いても良い響きです。場数を踏んで習得した技術を実戦で磨け、雪に慣れろ、スキーに慣れろということだと理解しています。

②「無理のない範囲でスピードを上げろ。スピードに慣れろ」
たしかに初心者のうちはスピードが出すぎることに不安を抱き、緩斜面でも直滑降は避けて、左右に大きく曲がりながら滑る傾向あり。もっとスピードを出し、コントロールできる技術を身に着けろとのご指摘。

③「不得手な左軸足のターン(右へのターン)の練習量を意識的に増やせ」
たしかに右足に体重を乗せる左ターンの方が得意。急斜面で右ターンが必要な状況ではパニックが走り、上体ごと右に向けて失速・転倒する悪い癖あり。

④「膝を曲げ加重してターンするときも上体は常に谷に向けておけ。ターン毎に上半身と下半身の間に『ねじれ』が生じるのを体感せよ」
それほど意識して身体を谷に正対させることは、場数を踏んで身に着けるしかないと覚悟しています。

⑤「ダウンの際には膝をもっと折って沈み込め。下から雪が押し上げてくるような感覚を自覚できれば80台も遠くない」
師匠の口から「80台」の声が出ました。今年は無理としても来季には身に着けたいものですね。アップダウンのメリハリがないとの指摘は他の師匠からも受けており、当面の課題です。

上の五箇条を心に刻みこんで、残された期間の練習をこなし、90台前半「中の上」と自分で納得出来たときに「使用後」宣言をします。もう少し時間を下さい。

「一人で来る時は無理をしないこと。楽しめばいいよ。」
五体満足で帰りたい私の心を見透かしたかのごとき、H師匠の最後の一言でした。