星さんぞう異文化きまぐれ雑記帳

異文化に接しての雑感を気ままに、気まぐれに

ケロウナ便り(128) MVP殿堂入り(3)

2013年07月22日 13時58分48秒 | Weblog
空港の待ち合わせ場所は「あのTim Hortons」前。何処にもあって分かりやすい場所です。
75歳は過ぎていそうな品の良さげな老夫婦がコーヒーを飲みながら出発間際の別れを惜しんでいるところにお邪魔してお互いの自己紹介です。ドイツからの移民ご夫婦でした。

奥さんを送り出してからご主人が案内してくれたのは駐車場の身障者専用スポット。もともと広めにしつらえてある身障者駐車スペースに、えっ?!と思うくらいおおらかに、ドイツ人とは思えないほどのいい加減さで斜めに駐車してあるのがなんとも微笑ましく、第一次面接は好印象でした。

我が家までの4キロ5分のドライブは私がハンドルを握り実走行テスト。エンジン音静か、出足快調、内外装ともシニアの車らしくさすがに奇麗です。錆も無く、車体にくぼみもへこみも見当たりません。現車確認も見事合格!

息子さんがプレゼントしてくれた車とのこと。ご本人は機械工学専攻の学士でありながら、自動車に関してはメカ音痴で、定期点検とオイルの交換をキッチリとやっただけで、どのスイッチが何のスイッチなのかも知らないままに日々運転しているだけ。それでもこれまで一度もトラブルが無かったと、はにかみながら自慢げにのたまう77歳の先輩でした。カリフォルニア州フリーモントに本社を置く、世界的に有名な健康サプリメント会社G社の顧問。会員しか入手できない製品の仲介役を買って出てくれる、商売熱心なシニアでもあります。これで第二次面接も最高点で見事クリアです。

言い値通りでは相手に失礼とばかりに、こちらも車を見回して、「タイヤの山がだいぶ減って来てますよね。7~800ドルかかりそうだけど、マケて!」「ま、あんたの言う満額は無理だけど、タイヤ交換のタシに600ドルだけ引かせてもらうわ」てなやりとりを経て、空港を出てから30分足らずのスピードで商談成立の握手です。時間は幾らでもあるシニア二同士なのに・・・・・・・。

「で、これからどうする?」
「この足で銀行に行きチェックをもらったら、その足で名義書き換えに行こう。だた、足が無くなっちゃうから、悪いけどその後は僕の自宅まで送り届けてくれる?」
「そりゃいいけど、明日からどうするの?」
「もう一台のベンツがあるからノープロブレム」
「こりゃ失礼しました」

こんな具合にトントン拍子に話が進み、BC州自動車保険事務所(ICBC)でナンバープレートを受け取るまでに要した時間がおよそ2時間。

77歳のドイツ系カナダ人シニアが昼頃に自宅から乗って出た車は、午後4時過ぎには日本人シニアの持ち物になって自宅に戻って来たのです。その間にこのシニアが奥さんに電話して説明するなんて場面は一切無く、何事も無かったように自宅に私を招じ入れて「ま、水でも飲んでよ。我が家をちょっと見てってよ。ところで、今乗っている車はどうするの?」

そうでした。話がすっかり「次の一台に」行ってしまい、肝腎のMVPがそっちのけでした。

「カルガリーの娘があの車に関心ありそうなんで聞いてみるけど、幾らで手放す?」
「これこれだけど、先輩の娘さんならもっと引いても良いですよ」
「他に売れちゃったら仕方ないけど、心に留めておいて」
「今後の連絡用にアドレス交換しておきましょう。娘さんの意向を早めに連絡下さい」

MVPが近々殿堂入りする話は切り出せませんでした。先輩シニアの娘さんの次の一台として活躍する可能性も出て来たし、娘さん以外にもMVPの活躍の場はまだまだありそうなので、しばらく休養してもらったら生涯現役として活躍できる道を探ってあげるのが私の責務であろうと再認識しました。MVPは永久に不滅です!

MVPからハイランダーへの世代交代を記念して一枚。MVP君に捧げます!!




ケロウナ便り(127) MVP殿堂入り(2)

2013年07月21日 21時18分13秒 | Weblog
釣り逃がした魚は、実は巧く釣り上げたとしても大きすぎて手に余るシロモノだったろうと自分に言い聞かせつつも、よせば良いのに、未練がましくもオークションスタッフに幾らで売れたのか教えてもらいました。車体価格自体は私が想像したよりは若干高めであったものの私でも手の届きそうな額であったことが判明したのです。尤も、安心して乗り出すためにかかるであろう上乗せ整備費の規模が想像もつかないだけに、仮に私が直接交渉してもGOの結論には届かなかっただろうと思っています。所詮ご縁が無かったのだと納得しています。

暇つぶしの冷やかしのつもりで足を踏み入れたオークションが契機となって、釣り上げる気もない「大魚」にちょっかいを出したばかりに、持病の「中古車病」が一気に悪化して、中古車売買の参考に広く利用されているブラックブック(アメリカではブルーブック)や、燃費効率をチェックするためのサイトを参照しながら、「次の一台」を夢想しながらほぼ終日パソコンの前に座る重症患者と化してしまいました。

二週間後に迫って来た米大陸半横断ドライブはMVP君に全面的に頼るつもりだったのに、折角ならより快適なドライブがしたい、いずれ来る「その時」を先取りして早めに「次の一台」を手当てしてMVP君には一足早く殿堂入りしてもらう潮時だとの思いが募ります。

オークションは委託販売であるが故に売り手の顔が見えず、それまでの使用環境が分からないことが買い手の不安を大きくするし、メカに弱い人間には相当にリスキーであることを学んだので、オークションには今後も手を出さないことに決めました。

中古車業者に余計な金を払いたくない私に残された道は、所有者本人が売りに出している車の中から次の一台を探り当てることで、これはこれで中古車派の楽しみの一つなのです。売り手の顔がよく見えるし、車がどんな風に乗られて来たかも想像できるし、売り手と買い手のやりとりの機微も楽しめるのが面白いところです。

ケロウナでの大手Classified Adsの中を漁り、個人の出品で、10年落ち前後1万ドル以下でMVP君より「走行快適性」に優れていそうな車で、即戦力が期待できそうなを物を絞り出します。8年前に作った走行距離10万キロ以下という基準は見直し、20万キロでもオッケーと大幅に緩和する、柔軟な私です。

その結果絞り出した三台のオーナーと連絡を取って現車確認のアポイントをとるのが次の仕事です。現車確認もさることながら、オーナーの人物確認のための面接みたいなものですから、個人売買のケースではこのステップで得る情報が決め手になると言っても過言ではありません。この三件の中に適当な候補が見つからない限りMVP君の続投に期待するつもりです。

一人目はメールの反応が遅くてこちらのニーズにはマッチしないのでカット。二人目はオーナーが旅行中でタイミングが合わず、これも除外。残るはシニアが大事に乗って来たと宣伝文句に謳うT社の2003年製SUVハイランダー。走行歴22万キロの猛者です。



オーナーはオカナガン湖の向こう岸、West Kelownaに住むシニアです。お互いの都合が合えば30分ほど走って現車を確認に出かけるつもりでしたが、電話口のシニアは何やら気ぜわしそうな口ぶりで「実はこれからカミさんを空港まで送りに出かけなきゃならないので」と、現車確認はまた後でってな雰囲気充満です。

空港?空港なら我が家から5分の距離。West Kelownaまでわざわざ行かなくても空港で現車確認が出来るってことじゃないの?こりゃツキが廻って来たぞ!

またまた長くなったので、今日はこの辺で。

ケロウナ便り(126) MVP殿堂入り

2013年07月18日 23時22分19秒 | Weblog
今季限りでの引退を宣言して先日のMLBオールスターでMVP表彰を受けた、ヤンキースのセーブ王リベラの話ではありません。まだまだ活躍を嘱望されていた我が愛車MPV君が、ボロボロになる前に殿堂入りさせてあげようとの、私の温かい心遣いの話です。

今年初めて足を踏み入れたカーオークションで一目見てちょっと気になった中古車がありました。T社の高級ブランドLシリーズの最高峰SUV、4700ccエンジンを積んだLX470。新品を買えば一千万円を下らない超高級車だそうです。野次馬根性丸出しにしてキーを借り出してエンジンを始動してみたら、1998年製20万キロの走行歴にもかかわらず超静かなエンジン音です。



ミネソタ往復の長旅をこの静かで力強い車で快適にぶっ飛ばす自分をイメージしただけで、維持費や、燃費の問題はもう頭の隅から消えてなくなり、この車にオークションでどれほどの値段がつくのか、どんな人が競り落とすのか後学のために見ておきたい、なんなら、値段によっては「やったろか!」とだんだん自分のなかでテンションが上がって行くのを押さえきれなくなって行きます、オークションの魔手に陥って行く自分を感じる瞬間です。

同じようにこの車が気になって精査しているカナダ人がいました。私と違ってメカに強そうな御仁ですが、ボンネットを開けて「タイミングベルトは交換が必要。エンジンを20分以上回しておくと『チェック・エンジン』のウオーニングランプが点きっぱなしになるのが気がかりだ」とのたまう。内も外も見た目には年相応の汚れや小傷はあるものの、結構程度は良いと思うけどね、と機械音痴の私。でも、安心して乗り出すためには、落札額にそれなりの金額の整備費上乗せは覚悟しなければなるまい程度の常識は備えてもいる私です。上乗せ整備費の額がどのくらいになるのかが読めないのがド素人の悲しさです。

そこにもう一人のカナダ人が登場して、オークション全般に関するもっともらしいコメントを連発。曰く、「この車はもう何週間も競りに出ているけど誰も応札しない。大体この手のオークションで高額の買い物はリスクが高すぎるからやめた方が良いよ」どうやらこのカナダ人は近所に住んでいてチョクチョク顔を出しているらしい。「おっしゃることは至極ごもっとも、よ~くわかります」「一般論としては分かるけど、こいつ良い顔してるし、オイラが競り落とすのを何週間もかけて待っていたのかも知れないし・・・」私の心が叫びます。私の思い入れはもうほぼピークに達しています。

ミネソタへの旅行に使うためには、今週末のオークションがラストチャンスです。出来ればオークション会場の敷地内だけでも試乗してみて自分なりに腹を固めるつもりで下見に出かけてみると・・・・・・、あれれれ・・・・、あの車の姿が敷地内に見えません!

自分の愛車を誰か他人に持ち去られたような、もっと言えば、この人こそと自分が心に決めていた娘さんが、いつの間にやら自分の手の届かない所に連れ去られたような・・・・。

居合わせたスタッフに聞いたら、「ついさっき買い手がついて売れちゃった」だと。
何週間も競りにかけて売れない物件は、出品者の意向を代弁するオークション業者と買い手との間での直接交渉で売買が成り立つのです。私にも直接交渉のチャンスはあったのですが、「4週間も買い手がつかなかった車が、まさかオークションまでの2~3日の間に売れることはあるまい」と油断があったのです。

「貴女しかいないってわけじゃないけど、いっしょになれたら嬉しいな」程度の中途半端なスタンスだったので、こちらの気持ちが娘さんに伝わらず他の男の手に落ちたってところですかね。ま、もともと「どうしても!」って気はなかったし、ご縁が無かったということを自分に言い聞かせて前編は終わりです。

それがどうして「MVP殿堂入り」になるかは後編のお楽しみ!


ケロウナ便り(125)北米大陸を東へ東へひた走り(予告編)

2013年07月04日 17時07分47秒 | Weblog
50年余り前にAFS交換留学生として高校時代一年間お世話になった、ミネソタ州北部の田舎町Chisholmで卒業50周年クラス会が開かれるので、これに出席しがてら、永年夢見ながらも実現できなかった北米大陸横断ドライブに出かけることにしました。古希を過ぎた爺さんには100パーセントの大陸横断はちょっと無理とあきらめて、この際「半横断」で手を打つことにしたのです。

8月1日にスタートする往路はカナディアン・ロッキーの玄関口レイクルイーズ、バンフを経てカルガリーを通り抜け、アルバータ州→サスカチワン州→マニトバ州の大平原をひた走るカナダ横断国道一号線(Trans Canada Highway)をひたすら東に向かって走り、ウイニペッグから南下してアメリカ国境を越えミネソタ州に入るおよそ2,500キロの行程。Chisholmには8月7日に到着する計画です。

日頃刺激の少ない田舎町Chisholmにとっては、毎年この時期に開かれる同窓会Reunionが恒例の大イベントで、メインストリートにはパレードが繰り出し、故郷を離れていた仲間が久しぶりに戻って昔話に花を咲かせて大いに盛り上がる一週間なのです。我がクラスの50周年記念大会も週末のディナー(といっても、まともなレストランは街に一軒だけ、どの学年もここで開くので最大の書き入れ時)を挟んで2~3日イベントが続きます。







復路は8月12日からアメリカ合衆国北部のミネソタ、ノースダコタ、サウスダコタ、ワイオミング、モンタナ、ワシントンの諸州を走り、マウントラッシュモアイエローストーン国立公園をはじめとした観光地、史跡を訪ねていささか遠回りをする約3,500キロの10日間コース。

往復約6,000キロの行程を往路一週間、復路10日間ほどかけて走破するので、一日の走行距離は300~400キロ、凡そ4~5時間のドライブで、これならあまり体に負担もかかるまいと調子こいている、「お調子古希ジジイ」です。

二年前のサンフランシスコ往復5,000キロドライブ最終日に体調を崩した経験のあるカミさんが、その時の苦痛を忘れきれず今回の挑戦に若干腰が引けていますが、前回の反省を踏まえて電気釜と米を車に積んでいって、旅先で握り飯でも食べながら元気とやる気を奮い立たせることにしようなどと、慰めにもならない理屈を並べて、カミさんの背中を押し続けているところです。

道中記本編はいずれまた。